アイが死んだ夜。
あの日は、忘れられなかった。
ーーーーーーー
「あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!!!!!」
喉が痛む。誰かの叫んでいる声。視界が霞む。
目の前にぼたぼたと落ちる水滴が、何処かも分からない部屋に響く声が、今日の昼間の記憶が、俺の絶望を表していた。
_____「愛してる」
目を瞑る度にアイの姿が見える様な気がする。
如何して、如何して、如何して。
幾度も自分に問い掛けた。
『アイドルが恋愛したんだから死んで当然』?
そんな訳無いだろう。
____「みんな忘れてるけどさー、私達にも人生があるんだよ」
彼女だって、人間だ。
『i’m in love with you』。
彼女だって、彼女だって。
『I love you』。
人だって理解している筈だろう。
如何して本人の感情を消し去る?
人は、そう言う者なのだ。
1度盲目になり、夢中になる。好きになる。
なのに他の人を好きになったら、石を投げる。
嗚呼、自分も周りも、どうしようも無い程『人間』だったんだ。
ーーーーーーー
太陽も昇っている昼。
嗚呼、残酷な程に時だけが過ぎて往く。
真白い、病室の様な部屋。
「……起きましたか?」
知らない人。
黒髪の男。恐らく医者。
その近くには、太宰さん。
「……此処に居て善いんですか?太宰さんは幹部でしょう?」
「今日は偶々休みなのだよ。一応君の側に居てあげて欲しい、と云う首領の命令でもあるけどね。」
……成程。カウンセリング。
俺はPTSDの症状が在るし、其れも人前で出てしまった。
まあ、カウンセリングさせられるのは当然だろう。
数十分のカウンセリング。
受けたくなかったけど渋々受けた。
結果は知らされていない。
太宰さんは知ってるが、如何やら俺に言う心算は無いようだ。
「…」
其の後は部屋に帰され、ベットに潜ってスマホを弄っていた。
……俺の死体は、未だに発見されていない。
自分の死体等どうでもいい筈だが、心の中では『見つけて欲しい』と願っているのだろうか。
俺の本心は、俺が思っている以上に寂しがり屋らしい。
PTSD__心的外傷後ストレス障害。
酷く衝撃的な出来事___俺の場合はアイの死___を体験した後、一ヶ月以上の時間が過ぎても、其の時の体験や記憶を無意識に思い出したり、夢に見たりする事等が続き、日常生活に支障が出る事。
あーあ。折角完治していた振りをしていたのに。
他の人に迷惑を掛けない、と誓ったのに。
〜〜
其の日の夜、自分の部屋。
丁度六年前の事を思い出す。
其れだけで亦発作が出そうになる。
俺にとっての呪い。其れは今世を生きている限り、忘れる事等出来ないであろう。
でも、此で善い。
ルビーにとって、アイの死を其の眼で見る事は、かなりの苦しみになる。
アイが死んだ後もルビーは佳くも悪くも純粋だった。
其れは俺よりもアイの死から離れていたからだろう。
ルビーはもう完治している。
俺が引き摺っているから、ルビーと一緒に居たら何時か思い出させていた。
此で良かった。
___「2人は、どんな大人になるのかなぁ……」
___「…ぁ、これは言わなきゃ…」
___「愛してる」
「っ、は、…アイ、」
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