「、、、諦めたのか。」
そう云う福沢の腕の中には、外套を揺らしながらすっぽりハマっている太宰。
「だって、おじさん力強いじゃないか。僕では勝てないよ。」
はぁ、と呆れながら手をぱっぱと振る太宰。
外套で隠しているが、太宰のシャツには血がついているため、歩かせることが出来ない。
目的地につくと、女性が待っていた。江川女史だ。
「!福沢さん、、、と、其の子は?」
「、、、まぁ、家族的存在だ。」
そう云い、下を見ると、太宰がすやすやと寝ていた。寝不足だったのだろうか?
しかし其の瞬間にぱちり、と目が開いた。視線に関してはすぐに気づくらしい。
「天使が演者を、本当の意味で死に至らしめるでしょう____。V、、、か。」
その時、太宰が口を開いた。
「V、じゃなくてファイブだよ、おじさん。」
「、、、ファイブ?」
「そ、ふぁいぶ。」
太宰は手のひらを掲げてパーをつくった。五本の指のことだろう。
しかし、此れになんの意味があるのかよくわかっていなかった福沢は、「そうか」と
聞き流すことしかしなかった。
否、このことを今思い出してみれば_______…。
太宰は、この時すでに、
真犯人がわかっていたのではないだろうか____。
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