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こつこつと足音が鳴る。
「江戸川くん、何故糸目なのだい?」
静かに森が問う。「なんとなく、?」や「目をしっかり開けるのめんどくさい」と
返ってくるのかと思い、静かに待っていると、
「、、、周りからの情報量が多すぎてね。少しでも視野を狭めてるの。」
「、、、!!!」
予想外の回答。まさかだが、乱歩は森の想定を超える頭脳を持っているのかもしれない。
乱歩は、もうすでに森が何の組織に入っているのかも判っているのだろう。
「じゃぁ、私の組織を当ててみなさい。」
「ポートマフィアのボス。」
即答。やはりすでに気付いていた。この天才児がポートマフィアに加わったら、
ポートマフィアはどれだけ最強、、いや、最狂になるのだろうか。
森は試したくて仕方がなかった。
「、、、。」
愛する幼女、エリスは否定気味な顔をしていたが。
「ここだよ、あ、あとこれ。」
「ん、なにこれ、、、」
渡したのは、少し大きめの黒い探偵外套。森にはサイズが少し小さかったものだ。
「プレゼントだよ。ささやかな、ね?」
「うげ、、、。」
乱歩はとても嫌そうな顔をする。其の頬には固まりかけた返り血がついていた。
「、、、おいで、返り血を落とそう。」
森は、乱歩のやせ細った腕を引っ張り、シャワー室に向かった。
「、、、あの童、何者じゃ?」
片目を隠した女性、、、ポートマフィア五大幹部の一人、尾崎紅葉がぽそりと呟く。
どうしても気になった紅葉は、着物を引きずって二人の跡をつけていった。
「ん”、ぁッッ、い、だぃっ゙!!」
そこには、ごしごしとぬるま湯に付けた布で乱歩の頬を擦っている森が居た。
ボスと言うよりは、保育園の先生である。
「君、この返り血、もしかして五時間前くらい、ッ?全然落ち無いのだけれどッ、」
ただ、会話は保育園ではない。
「童、一つ良いか?」
森は手を止めた。乱歩は此方を向いた。そして聞く。
「ん?なぁに、?(ニコ、」
此処まで、殺しのために生まれた人間のような顔は見たことがなかった。
感情を持っていないような、裏すらもないような。
「ゾワ、、ッ、、名は?」
「乱歩、江戸川乱歩だよ。」
「うむ。私は尾崎紅葉、五大幹部の一人じゃよ。」
「あっはは、なぁんでわざわざ教えるひつよーあるの〜、?」
「そんな事云われなくても、僕は知ってるよ、其れ位。」