_毒医 side
ふと目が覚める。
時計を見て、時間に溜息を付く。
会議に遅刻した。
能力に振り回される人生なんてうんざりだ。
アラームすらもオレの運の悪さを嘲笑うというのか。
面倒くさいな。
まぁその芽を撒いたのはオレだが。
近くにあった飴に手を伸ばし、口に放り込む。
『…まっず』
毒だな。
間違いなく毒だ。
睡眠作用もあるような毒だろう。
刹那、ぐにゃりと視界が歪み始める。
近辺にある小さな机が入り組んだように歪み出し、
薬品が入った棚が倒れていく。
いや、倒れているのはオレの身体か。
…能力に振り回されるのはうんざりだ、本当に。
今この状態で自力の解毒はほぼ不可能に近い。
今まで積み上げて来たオレの知識も、薬品も、抗体でさえも機能しない。
これじゃオレはただの一般人だな。
そして、誰かを呼べるような状態でもない。
この毒は効くのが早い。
相手には随分と良い薬師が居るようだな。
毒を扱うはずの医師が毒に刺されるとはなんとも笑えないジョークだ。
そういえば。
なりすましがあった、と報告を受けたような気もする。
誰かになりすました奴が居たな。
確か……、、そうだ。
筆走…、オレの部隊の副隊長。
同じようなやつだろうか。
あのときは”兎狩”が的確な対応をしていたが、今回もそうなるかは分からない。
さて、どうやってメッセージを残そうか?
刹那、ドアが開かれる音がした。
子「蘇芳です!!薬貰いに来ました〜」
…蘇芳妹か。
オレにしては珍しく運が良いじゃないか。
『足立、を、呼んでくれ』
朦朧としかけてきた意識の中で伝える。
蘇芳妹ならこの状況が理解できるだろう。
コイツは副隊長を任される程の実力があるから。
足立なら分かるんじゃないか?
オレが今、動けない状況ということがな。
残念ながらもう周りは見えない。
蘇芳妹がどんな表情をしているのかも、今すぐに動いたのかさえも分からない。
完全に毒が回ってきた。
意識が堕ちるのももうすぐそこまで迫っている。
そう考えながら、意識を手放なした。
_登龍 side
『面倒くさい男だなぁおい羅生雅!!』
俺と羅生、茜の部屋で軽いお茶会。
こんなことバレたらめあちゃんを始めとする色んな人に怒られそうだけど。
茜「紛らわしい〜〜〜」
と言って茜が羅生の腹を肘で突く。
あれまって、それめっちゃ痛いやつだよね??
羅「はいはいすいませんっした〜〜……」
10時くらいの方向を向きながら羅生が紅茶を飲む。
いや〜〜〜面白いな〜(白目)
そんなことよりこの紅茶美味しい←
『それにしてもよく生きてたよね、あの状況で』
『生命力ゴキb』
茜「足立」
『ハイ…』
年下に脅かされる生活なんてもううんざりです…。
いや今のはどう考えても俺が悪かったけど!
いつもこんなんじゃん、嫌になっちゃった…。
茜「確かに結構ちょっとヤバいヒトだよ、雅お兄さん」
羅「お前らさっきから何??」
眉を潜めて珍しく表情を歪ませる。
毒飲んでキャラでも壊れました??
羅「まぁ生きてるからなんでもいいだろ」
「……、おいそんな顔すんな」
『命のことなんだと思ってんの…??』
茜「砂時計に命かけてそうだよね」
羅「どんな偏見だよ」
少しの笑いが起こったあと、静寂が訪れた。
しん、と静まり返った空気はまるで肌を裂くようで、
居た堪れないというか、気まずいというか。
時計の針だけが活発に行動する。
あれを活発と言って良いのかは別として、今だけは針の音が無いことを恨む。
誰かの心音と、呼吸音だけが木霊する部屋で、すぅ、と誰かが少し大きく息を吸う。
羅「いや〜ほんと…、」
静寂を裂くように羅生が口を開けた。
息を吸ったのは彼だったようだ。
羅「解毒出来て良かったわ、自分で」
冗談っぽく言っている羅生だけど、普通ならそんな事できない。
俺がもし医療に精通していたとしても到底出来る芸当ではない。
この組織、いや闇社会の中でもそんなこと出来る奴はお前くらいしか居ないよ。
嗚呼。
やっぱり怪物だ。
コメント
7件
いんや もう 好 〜 !! 🫶🫶 砂時計 に 命かけてる の 偏見 が 面白すぎて そっから 話着いてけてないです … 😉
やっぱこの組織ヤバいやつしかいないよ(歓喜) 自分で解毒できるのやばすきだろ…🥺🥺 あとすおーちゃん可愛い…好き…
最近 長く ない ??