テラーノベル
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フランス×イギリスです
政治的意図・戦争賛美などは一切ございません。
cpを含みます。苦手な方や地雷な方は回れ右でお願いいたします。
それではどうぞ!!
<1800年代初頭>
重く垂れ込めた鉛色の雲が、地平線の彼方までを支配していた。湿った風が荒野を突き抜け、今にも嵐が来そうな不穏な空気がその場を漂っていた。
その中にあるのは対峙する二つの影。
🇬🇧「…ようやく見つけたぞ、フランス。お前がこんなとこまで逃げるとはな。」
不敵な笑みを浮かべた大英帝国が目の前の影を見つめながら、銃口を相手に向ける。
🇫🇷「はっ、わざわざこんな辺境の地まで僕を追いかけるなんて…君も物好きだね?」
対するフランスも、表情ひとつ変えず静かにサーベルを抜く。
🇬🇧「お前をここで仕留めれば我が大英帝国は栄光に輝く。どこに行こうと見つけ出す。」
🇫🇷「おー怖い怖い。さすがは大英帝国様だね。」
2人の距離が少しずつ縮まる。1人は引き金に手を当て、もう1人は一気に詰め寄る体制に入る。
🇫🇷🇬🇧「______!」
今まさに戦闘の火花が散ろうとした瞬間、
__ポツリ、と
2人の頭に冷たい雫が落ちる。
次の瞬間、バケツをひっくり返したかのような豪雨が地上を襲った。途端に2人の視界を真っ白に染める
🇫🇷「?!うぇ、ちょ、待って。急に何これ!」
🇬🇧「…っ急だな。これではまともな勝負にならない。」
イギリスが銃を腰にしまい、視界の悪い中フランスを声で捉える。
🇬🇧「フランス」
🇫🇷「ああわかってるよ。君が言いたいことは。ここはともかく…」
🇫🇷🇬🇧『休戦だ!』
フランスもサーベルをしまい、周りを見渡す。2人とも豪雨の中で戦う醜態を嫌った。互いの美学に反する。武器をしまった2人は荒野の端に見える古びた教会らしき建物へと、同時に走り出した。
🇬🇧「おい、ついてくるな」
🇫🇷「はぁ?!君バカなんじゃないの、建物これしかないからに決まってんでしょうが」
言い合いながらも教会の扉にたどり着き、重い木製の扉を乱暴に押し開け、フランスが室内に滑り込む。その直後、滑り込んできたイギリスが吹き付ける雨を遮るように、扉を強く閉めた。
🇬🇧「っはぁ、最悪だ」
🇫🇷「うげぇ…中までびちょびちょ」
室内に滑り込んだ2人はハットを脱ぎ、窪みに溜まった水をはらう。
ふと、フランスは隣のイギリスを見やる。昔から犬猿の中としてやってきた隣国の姿を、改めて眺める。
華奢な体つきで、左右の青と赤の瞳が微かに揺れていた。
🇬🇧「何だ…人の体をジロジロと。変態か?」
フランスの視線に気づき、コートで体を隠す。
🇫🇷「君に言われたくないな、変態紳士。意外と貧相な体つきだと思ってね。」
🇬🇧「貧相?失敬な。私は大英帝国だ。世界を制するもの。その体が貧相だと?」
あからさまに苛立ちを表しながら、ぐちぐちと文句を言う。全く、昔から変わらないと、フランスは小さく息を吐いた。
自分も上の服を脱ごうとゴソゴソと動き出す。
寒さのせいか、それともこの奇妙な状況のせいか、フランスの肩が僅かに震えた。
🇬🇧「…」
それをイギリスは確かに捉えた。深くため息をつくと、自分の濡れていない乾いた衣服をフランスの肩に投げつける。
🇫🇷「っ?何の真似だよ」
🇬🇧「勘違いするな。戦いの途中だというのに、体調を崩されたら困る。そんな状態の敵を討っても、我が国の名誉にはならない。」
急に話し出したかと思うと、そっぽを向いて早口で答える。その横顔がどこか赤いのは気のせいだろうか。
🇫🇷「…ありがと」
投げかけられた言葉とは反対に、優しい温もりのある服を羽織り、小さな声で。微かにお礼を言った。
🇬🇧「…」
きっと言葉は聞こえていた。聞こえていたからこそ、無言なのだ。
そこからしばらく沈黙が続いた。体を冷やさないために、イギリスがたいた焚き火だけがパチパチと音を立てて笑う。外は相変わらず豪雨だ。イギリスは壁に背をつけ、膝を抱えて焚き火を見つめる。フランスはそこから少し離れた場所で、借りた服を羽織りながら、建物の奥を見つめていた。
続いていた沈黙を破ったのはフランスだった。
🇫🇷「ねぇ大英」
🇬🇧「…イギリスでいい」
🇫🇷「…イギリス、僕たちいつまでこんな関係を続けるの?」
フランスの質問に、イギリスの肩が僅かにびくりと震える。
🇬🇧「…こんな関係とは?」
🇫🇷「殺し合いだよ。互いに互いを呪って、憎み合って。僕たちはかつて作った、歪んだチェスボードの上で、何百年も血を流して転がりあってる。」
2人の手が無意識に、それぞれの古傷へと置かれた。「こんな関係」見たままの通りだ。こうして何百年も2人は歪みあってきた。
いつもなら冷笑するイギリスが、今回は珍しく言葉を、すぐに返さなかった。
慎重に言葉を選ぶ。
🇬🇧「…国というものはそういうものだ。お前もわかってるだろ」
🇫🇷「それはそうだけど…」
フランスは膝に頭を乗せ、自分の震える指先を見つめた。
🇫🇷「時々、ひどく寒く感じるんだ。何万人もの歓声を聞いても、どれだけ領土を広げても。僕の中にある何かが空っぽなんだ。常に冷たい風が音を立てて鳴ってる。…君にそんな夜はない?」
その問いはあまりにも無防備で、あまりにも致命的な弱音だった。大国して世界に君臨するフランスが、長年の宿敵に本音をこぼしている。一番見られたくない者に、孤独を晒している。
イギリスはフッと小さく自嘲的に笑った。
🇬🇧「馬鹿げた質問を。…ないわけがないだろう。」
🇫🇷「…え?」
🇬🇧「世界をこの手に収めようとすればするほど、比例して孤独の海の底へ沈んでいく。 私を恐れ、さまざまなものが私に背を向けて行った。」
イギリスはそっぽを向き、どこまで続いているかもわからない教会の暗闇を見つめた。
🇬🇧「だがフランスは…お前だけは私の喉元にその剣を突き立てる。」
🇫🇷「…」
🇬🇧「私を1人の敵として見つめ、命懸けで勝負しようとするのは、お前だけだ。だから…」
そこでイギリスは口をつぐんだ。このまま言ってしまっていいのだろうか。本音をこぼしてしまって構わないだろうか。しばらく考えた後、ポツリと言葉をこぼした。
🇬🇧「だから、私はお前を誰にも渡したくない。お前を終わらせるのは、他の誰でもあって欲しくない。…この私が終わらせたい」
その言葉は残酷で、歪んでいた。しかしそれはまるで…
🇫🇷「…告白みたい」
🇬🇧「は?!」
フランスの呟きにイギリスが即座に反応する。
今こいつなんて言った?!告白?
🇬🇧「ど、どこが告白だ!どこにそんなのを感じた!」
しどろもどろになるイギリスの様子を見ながらフランスはクスクスと笑う。
🇫🇷「だって、僕のこと他のやつに奪われたくないんでしょ?自分だけを見て欲しいんでしょ?立派な告白じゃん!へぇ〜僕のことそう思ってたんだ〜意外と可愛いとこあんじゃん」
ニヤニヤとイギリスとの距離を詰めるフランス。すっかりいつもの調子に戻ってしまった。さっきまではあんなに静かだったのに。
🇬🇧「か、可愛くなんてない!私は大英帝国だ!つ、常に威厳で保たれている!」
🇫🇷「はいはい、わかったから。…うわっ、めっちゃ顔真っ赤だよ」
🇬🇧「…ッチ」
イギリスが顔を赤く染め、腕を組みそっぽを向く。その横顔をフランスがじっくりと眺める。
🇫🇷「あ、イギリス。手出して」
フランスの急な要求に少したじろぐ。
🇬🇧「…なぜ」
🇫🇷「いいから、別に変なことしないよ。」
🇬🇧「…」
意図がわからず、しぶしぶと手を差し出した。
ゆっくりと差し出された手をフランスが優しく受け取り、そっとキスを落とした。
🇬🇧「…なっ///」
🇫🇷「これが僕の気持ち。今はこんな時代だけど…いつか変わるかもね。」
頬を赤く染めるイギリスを見ながら、フランスがそう呟いた時、教会のステンドグラスから光が差し込んできた。嵐が止んだのだ。柔らかい光が2人を優しく照らす。
🇬🇧「雨…やんだな」
🇫🇷「そうだね。で、どうする?また戦う?」
🇬🇧「…今日はもういい。これ以上お前と一緒にいると調子が狂いそうだ。」
🇫🇷「あはは、それもそうだね」
2人は立ち上がり、乾かしたそれぞれの衣服を着込む。フランスは羽織っていた服をイギリスに返した。
教会の扉を開けると、空は青く澄み渡っていた。まるで嵐など嘘のように。教会から出た2人は、また正面に向かい合った。
🇬🇧「ではな、フランス。これで休戦は終わりだ。次会った時は容赦しない。」
🇫🇷「わかってるよ。次からは待ったなしだ」
2人が同時に背を向け、歩き出す。
🇬🇧「次からどんな顔して会えばいいんだ…」
背を向け歩きながら、イギリスがそう呟いたことは、誰も知らない。
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<そして現在:20世紀>
🇫🇷「はい!これは僕たちの馴れ初め!どう?感動したんじゃない?」
🇺🇸「あーなんつーか…あんな親父にも春があったんだなぁって」
🇯🇵「いいですねぇ…純愛って」
🇺🇸「純愛にしては物騒すぎないか?」
ここは国際会議場。フランスがアメリカと日本に自分たちの馴れ初めを語っていた。アメリカが頬杖をつき、日本はお茶を飲みながら聞いている。
🇯🇵「それにしても意外ですね。告白したのはイギリスさんの方だったとは」
🇺🇸「しかも本人自覚ないしな」
🇫🇷「そんなとこがいいんだよ、イギリスは」
🇬🇧「私がどうかしましたか?」
三人の会話を聞きつけ、扉の後ろからひょこっとイギリスが顔を出す。
🇬🇧「三人とも、そろそろ会議が始まりますよ。会議室に移動しては?」
🇯🇵「そういえばそうでしたね。急がなければ」
🇺🇸「あ、おい、日本置いてくなよ」
バタバタと日本とアメリカが部屋を出ていく。
フランスは椅子に座ったまま、イギリスを見つめていた。
🇬🇧「何ぼさっとしてるんです。さっさと行きますよ」
🇫🇷「ハッ、ごめんごめん。ぼーっとしてた」
🇬🇧「全く、あなたは昔から変わりませんね」
🇫🇷「君に言われたくないなー。昔と全然変わってない」
🇬🇧「そうですか?」
言い合いながらも、2人は肩を並べて歩き出す。関係性は昔と比べて大きく変わった。だが、心の底にある互いへの気持ちは形を変えず、ずっとそこにある。
🇫🇷「ねぇイギリス」
🇬🇧「何ですか?」
🇫🇷「 Je t’aime 」
🇬🇧「… I love you too 」
#アナログイラスト
すみ
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なまり
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コメント
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おお、これ1800年代初頭の雨宿りで急に距離縮まるやつか…!宿敵同士が「お前を誰にも渡したくない」って本音漏らすシーン、めっちゃ刺さったわ。最後の「Je t'aime」→「I love you too」もオシャレで可愛いし、因縁の関係がどう変わっていくのか続き気になる🔥