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side.Kt
「あ、けちゃさーん!!これやっといて貰えます?」
「これくらい自分で…って、いないし……」
同僚、先輩後輩関係なく押し付けられる大量の仕事。
「お前は本当に役立たずだな!!こんな事も出来ねぇのか?!」
「す、すみません………」
理不尽な事で怒り、怒鳴り散らしてくるクソ課長。
なんで僕だけがこんなにも息苦しい空間にいるのだろう。そもそもなんで僕はこの世に存在しているんだろう。
やだ、やだ、やだやだやだやだやだやだやだやだやだ!!
「もう、消えちゃいたい……」
終電は既になく、会社から家までの長い距離を重い足を引き摺りながら歩く。何時間…何日も寝ていない身体はがくりと崩れ落ちそうになる。
信号をモタモタと歩いていたら突然トラックがクラクションを鳴らしながら突っ込んできた。
……え?歩行者信号青だったよね?信号無視のトラックに轢かれて死ぬのかな…、痛そうだな……。
そう思いながら限界だった意識は飛んでしまった。
「…ろ、…きろ、起きろ!!」
「うわぁっ!!な、なに!!」
「あ、やっと起きた。お前3日起きないとかどんだけ寝てねぇんだよ……」
完全に死んだと思っていたが急に起こされた。目の前にいるのは白と黒のツートンカラーの髪に金色の双眸の整った顔をした男の人。けれども背中に大きな黒いコウモリのような翼が生えており、黒い服から覗く爪は鋭く黒光りしている。
悪魔だ。空想の生き物やファンタジーの住人としか思っていなかった悪魔が今僕の目の前にいる。
「あの、もしかして貴方が助けてくれたんですか…?」
「ああ、そうだよ。目の前で轢かれかけるから助けれるか微妙だったけど俺だから助けれたわ」
「でも、天使ならともかく悪魔が人を助けるんですか…?」
「今からそれ含めて自己紹介しようとしてたんだから黙って聞け。俺は”まぜ太”。この魔界における淫魔族のトップだ。お前の名前は?」
「けちゃです……」
このまぜ太とかいう悪魔、いちいち圧が強い。怖い。一族のトップというだけある。でも淫魔って女なんじゃ…?
「アホ、男の淫魔もいるわ。ただ女の淫魔…サキュバスが有名すぎるだけ。インキュバス…男の淫魔も存在するっつーの」
僕の心を見透かしたかのように彼は答える。勉強になるなぁ……。
「俺ら淫魔族はそこらにわんさかいる悪魔と違って人間の不幸を望まない。なんなら人間がいないと満足に生活することもままならない。お前、淫夢って知ってるか?」
「いんむ…?」
「エロい夢だよ。誰かとヤったり誰かにヤられたりした夢見た事ねぇか?」
「ない……。てか寝る暇もない…」
「そうだ、こいつ社畜だったわ。まあそういう淫夢を見た時は大概サキュバスかインキュバスの仕業。低級淫魔は人間の精気を食い散らかして取っかえ引っ変えするやつが多いが俺みたいな上級淫魔は人間と契約して番になることもある」
なんだか次の言葉が理解出来た気がする。ごくりと唾を飲んで彼が放つ次の言葉を待つ。
「俺ちょうど番になれる人間探してたんだよね。助けた礼で俺の番になれよ」
ほら、ほらやっぱり!!やっぱり契約持ちかけられた!!
「いやいやいや!!助けてくれたのは嬉しいけど僕男!!女の人じゃなくていいの?!」
「お前が男なのは知ってる。最近淫魔社会でもそれぞれの多様性を認める動きが広まってるから男同士、女同士で番う奴もいるぞ?」
淫魔社会って何?てか淫魔社会にも多様性とかあるの?若干人間社会より進んでない?
「と、とは言っても……」
「まあ俺と番わないんだったら魔界に捨てて低級淫夢の餌食にされるだけだぞ」
「ひえっ……」
告げられた言葉にゾッとする。出なくなるまで搾り取られ、許容量を超えてもなお種付けされる恐怖に襲われる。
「ふはっ、いいねぇその顔。めっちゃ唆る……」
急に顎クイされ、強制的に目線を淫魔に合わせられる。突き刺すような目線にじわじわと体が熱を持ち始める。顔を近づけられ、耳元で囁かれた。
「で?契約するの?しねぇの?」
「し、します………」
「よく出来ました♡」
そう言われると同時にキスされる。舌を絡めるような深いキスに息ができなくなる。でもどこか気持ちよくなってしまう自分もいて。
「顔トロットロじゃん♡そんなに気持ちよかった?」
「きもち、かった………」
「はぁぁぁ、可愛い♡これからよろしくな、けちゃ♡」
甘い声で囁かれて淫魔…まぜちに堕ちてしまいそうになる。僕とまぜちの番生活がはじまる。
設定
けちゃ
優しさに付け込まれて仕事を押し付けられがちな社畜。クソ課長に何度も怒られて限界を迎え、死にかけたところで淫魔のまぜ太と出会う。
まぜ太
淫魔族のトップ。番を探しに人間界に来ていたところ偶然死にかけのけちゃを見つけ、助けた礼として番契約を結んだ。
他メンもそのうち出てきます