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サラサラと音を立てて風が吹き抜ける。朝日が射し込み始めた流転砂漠の一角、三人はようやくたどり着いた。
岩肌に風化の跡を残しながらも、そびえ立つその建造物は、明らかに自然のものではなかった。柱には複雑な模様が彫られ、中央にある巨大な扉には文字のようなものが浮かび上がっていた。
リク「……ここがアルカディア文明の遺跡……?」
ロビン「オレ……見たこと、ない。こんな、デカいモノ。」
アイビー「この砂漠の奥に、こんな建物が……。なんか空気が……ピリピリする……」
リクが扉に近づくと、不意に光が浮かび上がる。
そして、彼の体にうっすらと光の輪が走った。
リク「(スキル発動……!)解析!」
【解析結果──】
遺跡名称:封印されしアルカディア
構造種別:文明遺産・起動中
状態:封印維持中
脅威ランク:不明
アクセス権:解析者に限定的許可──
扉の中心に刻まれていた紋様がゆっくりと動き出す。
リク「動いた……!? 俺のスキルで、反応したのか……!?」
ロビン「開ケ……バ、何カ出ル……」
アイビー「それ……言わないでよっ……!」
重々しい音と共に、扉がゆっくりと開き始めた。
奥から吹いてくるのは、明らかにこの世界のものではない、ひんやりとした空気。
扉の向こうには、薄暗いホールが続いていた。無数の浮遊する結晶と、宙に文字を描くように漂う光の粒たち。
アイビー「……キレイ……でも、なんか胸がざわざわする……」
リクは一歩踏み出した。
この先に、ドリームコアの秘密がある──そう、直感で分かっていた。
「……ここ、今までの場所と全然雰囲気が違うね……」
リクが呟くと、ロビンが石壁を指差す。
「コレ……文字。見たコト、ある」
壁には、歪んだアルファベットのような記号が並んでいた。しかし、よく見るとそれは英語に近い構造を持っていた。
「これ……“ARCADIA RESEARCH ZONE”って書いてある……研究施設だったのか……?」
リクが声を震わせた。
奥へ進むと、かつてのラボらしき部屋に到着した。壊れたガラス容器、機械の残骸、そして壁に焼け焦げたような手形。
「ここ……人間の匂い、スル」
ロビンの感覚が何かを感じ取っていた。
その時だった。奥の暗闇から、金属を引きずるような音が響く。リクたちが構えると、朽ちかけた研究服を身にまとった、半ば骸骨のようなクリーチャーが現れた。
その目だけは、かすかに人間のものだった。
「マ……マ……ママー……」
言葉にならない言葉を繰り返しながら、倒れかけたそれは、懐から一枚の紙切れを落とす。
拾い上げたそれには、こう記されていた。
「第9研究室にて異空間生成実験。事故により対象世界分離。コード名:DreamCore。外部アクセス不可能。観測継続中。」
「……やっぱり……この世界は、元々現実とつながってたんだ……」
リクの手が震える。アイビーは黙ったまま、リクの袖をきゅっと掴んでいた。
ロビンは少しだけ顔を上げる。
「ココ、ただの遺跡ジャナイ。秘密……もっと、奥に、アル」
三人は顔を見合わせると、さらに奥へと足を進めた。
ドリームコアの真実に、また一歩近づいて――。