テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「あ、すんません。このお姉さん、俺のファンなんですよ」
光がニカッと笑って、とんでもない爆弾を投げつけた。
「……はあ!?」
私は思わず素の声で叫んでしまった。
「いやー、昨日もわざわざ俺のライブまで来てくれて。しかも一番後ろの席で、誰よりも大笑いしてたでしょ? ありがたいっすよね、こんな綺麗な人がファンでいてくれるなんて」
光はそう言って、部下たちの前で私の肩を親しげにポンと叩いた。
「ちょっ、日比谷くん……!」
「えええええっ!? 桜川さんがお笑いライブに!?」
部下たちが絶叫に近い声を上げる。
「しかも、こんな……失礼ですけど、バイトしてる芸人さんのファン!? 桜川さん、お笑いなんて興味ないと思ってました!」
パニックになる部下たちを前に、私は顔が火が出るほど熱くなるのを感じた。
でも、光は涼しい顔をして、私にだけ聞こえるような小さな声で囁いた。
「……『完璧な上司』、ピンチじゃん。このまま『熱狂的なファン』って設定で行く? それとも、ボロアパートの隣人ってバラす?」
光の瞳には、あの夜、健太を追い払った時と同じ、鋭くて楽しそうな光が宿っていた。
私は観念して、小さく「……ファンってことでいいわよ」と呟くしかなかった。