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「…らんく〜………ん?」
LANのクラスに向かう。教室を覗くと大体の生徒は帰っていたみたいだ。
「え…あ、らんくん?」
LANが椅子に座って天井を見ている。目が死んでいる。魂が抜けているようだ。
「……」
カバンを膝に乗せ、天井を見て…気絶している?
「ら、らんくん?」
「うわっ!?」
頬を指で思い切り突くと、急に動き出した。
「びっくりしたぁ!?」
「え、らんくん今気絶してたよ?」
「…え」
LANは頭を掻きながらこさめを見つめた。疲れが隠しきれていない。
「あぁ、先輩に呼ばれててさ、早く部活行きたいのに…」
そう言ってLANは教室の外を見た。
「え、先輩いないじゃん」
「あぁ、もうすぐ来るらしい」
「百代ぉ!!!!」
「ひぃ!?」
突然ドアが開き、詰襟を着た先輩が入ってきた。LANの表情が一瞬で固まる。
「ちょっと屋上来い」
「はいっ…」
そう言ってLANは先輩に連行されていった。何が始まるんだろう。そう思ったこさめは、行動に移すのが早い。小柄な体躯を生かし、先輩にバレないように後を追う。廊下を抜け、階段を駆け上がり、屋上への扉の前で立ち止まる。こさめは息を潜めて様子を伺った。扉の向こうから、先輩の厳しい声が聞こえてきた。
「百代、お前この前殴りかかって来たな?」
「…そっちが悪いと思います、」
LANの声が静かに聞こえる。
「殴ってきたのはそっちだろうが!!」
先輩の言葉に、LANの拳がギュッと握られる。
こさめはその光景を見て、何とか助けになりたいと思ったが、今は見守ることしかできなかった。
「……ガキかよw」
思わず声が漏れる。やばい、バレたかも。そう思ったが遅かった。扉が開き、先輩が見下ろす。思わず一歩後ずさる。
「なんだお前」
「……」
声が出ない。背筋が凍りついて動かない。
「…なんか言ったらど…うぉ!?」
急に先輩の後ろからLANが出てきた。そしてこさめの腕を掴んで逃げ出した。
「うわぁああ!?らんくん!?」
「やばいやばいやばい……!」
「待ちやがれぇ!!」
先輩が後を追ってくる。階段を駆け下り、一年生の掃除道具入れに駆け込む。先輩の足音が遠ざかるのを待つ。
「…らんくん、あの人だれ?」
小声で言うと、LANは静かに言った。
「……この前入学式で喧嘩してた人」
「あ〜…あの時の。」
入学式の出来事がフラッシュバックする。しばらくして、安全なのを確認するとこさめはロッカーから出た。LANはもう少し身を潜めると言ってロッカーに引きこもった。なんだか滑稽でニヤニヤするのを抑えられなかった。笑いを堪えながらこさめは部室に向かった。