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「みんなに伝えなきゃだよね」
朝食も終えて再度、和室に集まって皆んなで座った。真剣な眼差しを紫苑経ったに向けた。
伝えて居ないことが多すぎる、俺の名前も、隠している目のことも
贄が必要だと言われている本当の理由も
「…?何をだ…?」
紫苑が不思議そうに声を出し、馨や波久礼は首を傾げる。
「みんなの名前は聞いたのに俺の名前を知らないのは不公平だろ?」
「だから、教えようかなって」
口元に笑みを浮かべながらそっと声に出せば、紫苑達は目を輝かせて嬉しそうに笑った。
「マジ!知りたい!!」
「教えてくれるんですか!」
「漸くかよ…待ってたんだぞ」
「これで名前を呼ぶことが出来るのだなっ!ゲホッ」
各々が言葉で表してくれる喜びは触れて居て心地がいい。その声に名を呼んでもらえるならどんなに嬉しいことだろうか…
僅かに手汗が滲む手をギュウと握り、固唾を一度だけ飲み名前を音にした。
「俺は、一ノ瀬。一ノ瀬四季だ」
こうして自分の名を明かすのは数十年前が最後だったから、受け入れてもらえない恐怖に目を包帯ごと目線を落とした。
「しき、四季…四季!!」
口の中で何度も転がすように呟いた後に真っ直ぐ言ってくれた。結局この名前を声に出してくれたのは親父が最後だった。
数百年ぶりに誰かの声で呼ばれる自分の名前。たったそれだけのことが凄く嬉しかった。
「…ありがと」
包帯の隙間から落とした涙が頬を伝った、初めて気付いた。自分は1人が寂しかったんだと、やっぱり嫌おうとしてたのに人間が好きだったことを、紫苑達を酷く愛おしいと思っていることに。
急に泣き出してしまった四季に目を丸くさせて、急いで駆け寄った。馨は背中を撫でて、幽は頭を撫でる、波久礼は握りしめている手に手を添え、紫苑はそっと抱きついた。
ずっと冷えている体が僅かに体温を取り戻した気がした。
(…ずっと側に居たい、居てほしい)
体温に触れながら四季はそう思った。でもその言葉は彼らを縛ってしまうと四季は口を閉じた。その代わりに小さい彼らを思い切り抱き寄せ抱きしめた。
「本当に…ありがとう」
「…なぁ、四季…」
腕に抱き留められている紫苑が上を見上げながら顔を出した。腕の中で僅かに頭を傾けながら紫苑はそっと包帯を指差した。
「ソレ外さないの…?」
俺も聞きたかったと言わんばかりに波久礼達は頷く。その小さな頭に手を乗せて親父がしてくれたようにガシガシと撫でた。
「見たい…?」
コメント
5件
見たいです見せてくださいっ!!!! 見るの遅くなってごめんねぇ😭😭 なんで隠してるのか気になりすぎるし名前呼ばれて嬉しそうな四季くん可愛いよぉっ💓 続き楽しみだっ!!!!
包帯してる方の目が違う色とかだから隠してるのかな? 今回も面白かったです! 次回も楽しみに待ってます!
めっっちゃ泣くんですけど?? 四季くん悲しすぎて...... 最高です!続きが楽しみです!
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