テラーノベル
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紫苑じっと見つめる中四季は手を後頭部に回し包帯を固定している結び目に指を挿し緩めた。
束ねた髪を避けるように包帯を外していった。
瞳を隠している睫毛は長く、持ち上げられていく瞬間は時間にすれば数秒なのに酷く遅く感じた。
包み込むように深く暗い深海のような紺色と、全てを燃やし尽くし照らす鮮やかな朱色。左右で色の違う瞳。
じっとその双眸に見つめられてしまえば全てを見透かされているような気がした。
けれどもその両目を覆い隠すかのように大きな火傷痕が広がっている。皮膚が赤く変色し爛れている。
「ぁ、」
四季の膝上に座って居た紫苑が小さく息を呑んだ音が聞こえる。
あぁ、やっぱりこの目は皆の恐怖の対象なのだろう。左右の色が違うこの目。
炎を司る神だというのに、傷付いたこの火傷。
「…ごめんな、やっぱり怖いだろ…?」
「嫌なら隠しておくよ…」
隠すように両目を閉じて笑った四季、その笑い方には見覚えがあった。
今まで自分たちがしていた我慢と哀しみが込められた、自分を押し殺し誰かを優先する笑い方だったから。
「怖いわけないだろう」
「何よりも綺麗で優しい目をしている」
幽が即座に否定して、四季を見つめる。
「燃えるような赤も、包み込んでくれそうな青も」
「どちらも美しいです」
目を細めた馨が瞳を射抜く。
「俺らを守ってくれた神の目だぞ」
「怖いどころか、敬愛しまくってるに決まってんだろ」
波久礼が猫の耳のように髪を跳ねさせながら真っ直ぐ四季だけを瞳に映す。
「その傷含めて、愛してる」
「俺は、俺らは四季が大好きなんだ」
四季の頬を紫苑の小さい両手が包んで両目を逃さないように覗く。
「隠さず全部見せてくれよ」
その言葉に四季の目は緩み一つ二つと涙を溢した。その涙はそれこそ宝石のように光り輝き美しかった。
神に使うべき言葉かと紫苑達は悩んだものの、『神秘的』だと思った。
「聞いてくれるか…?過去の話を」
未だ涙を浮かべながら四季は、膝上の紫苑達に語りかける。話してしまえば彼らはどう思うのか、どう接してくれるのだろうか。
もし、もし彼らがそれすらも受け入れて、側に居てくれることを選択したくれるのならば。
俺は2度と彼らを、紫苑を、幽を、波久礼を、馨を
手放せなくなってしまう。
コメント
5件
四季くんも段々重たくなって来て最高です! 次回も楽しみに待ってます!
よし!四季くんを傷つけた人ッッ( ᐕ)🔪 今回もめっちゃ面白かった✨✨ 続き楽しみにしてるね!!