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岸side
数日後。
今日は俺が今の家から追い出される改め、廉の家に引っ越す日!!
引っ越す準備もバッチリ!!
廉には十時以降にくるように言われているので、スマホをいじって暇を潰す。
家賃、半分になるからバイト減らしてもいいかもなー。
そう思いながら、バイトの希望日時を書いたり、SNSを見たりしているとあっという間に十時になった。
外に出て、鍵を閉める。
何年いたかな……高一からだから……4年か。
廉と初めて会った日もここだったし……
四年前。
高校の入学式の日。
「やっべっ!間に合うかな……」
高校までそんなに遠くはないけど、迷子になったらどうしようと少し早めに出ようと思っていた………ハズが、気付いたら家を出る予定の時間を5分すぎてしまっていた。
急いで靴を履き、ドアを開ける。
ドアを開けると、たまたま通りかかったのか、俺と同じ高校の制服を着たまるで少女漫画の世界から出てきたようなイケメンが立っていた。スタイルがよく、顔もめっちゃ整っている…羨ましい。髪は前髪が長めのサラスト。でも子供っぽさがなく、どちらかというとクール。え、こんな人が学校にいるの?少女漫画じゃん。
「え、あ、おはようございます。」
とりあえずご近所さんだからと挨拶をし、外に出る。
「あ、あの!」
イケメンに声をかけられ、振り向く。声も男性の中では高い方…だな。ちょっと可愛い感じ。
…じゃなくて!
「あ、はい。」
「あの、同じ学校ですよね…?一緒に行きませんか?新入生なので道がよくわからなくて……」
しかも、同い年!?
「あ、はい。…僕も新入生なので危ういですけど…」
自信なんかないよ!イケメンと一緒に学校行くとか、初めて家から学校まで歩くのもさ!
「え、同い年…!?えーと、よろしくお願い………しゃす。」
しますと言いたかったんだろうけど……噛んだな。
「あ、もう行きましょ、遅刻したら大変だし!」
敬語とタメ語が混じったけど、向こうは気にしていないようだった。
「あ、はい!」
通学路を歩いている途中、そのイケメンは『永瀬廉』と名乗った。もはや名前までイケメンなんだけど、どうしたら良い……。
高校では廉と三年間同じクラスだった。
紫耀と海人、ジンとは一年の時に同じクラスになって仲良くなった。その後、ジンとは二年から違うクラスになって、紫耀と海人は三年の時に別のクラスになってしまった。別のクラスでもめっちゃ仲が良かったことは今でも鮮明に覚えている。
……特に廉とは。
はっ!
やばっ!昔のこと思い出してたらもう五分過ぎちゃったんだけど!?
俺は急いで廉の家に行く……二件隣だから一秒で着いたけど。
俺はインターホンを一応押す。
ピ…
ガチャッ
その間約0.001秒。
「おはよ〜岸さんっ!」
「ドア開けるの早過ぎない!?」
ピンポンのピの時点でもう空いてたよ!?
「だって、十時になる五分前からドアの前でスタンバイしてたんやで?」
よく見ると、廉はゲームを手にしてる。
待っている間、ずっとゲームしてたんだな。
ていうかスタンバイって!!
「待っててくれてたんだ、ありがと♡」
廉はニコニコして、上機嫌だった。
「まー入ってよ〜荷物、重たいやろ?」
それがそうでもないんだな!俺が持ってきたのは服と漫画ぐらい。
廉の家にある漫画と必要のない家具は全部売ったし、お陰でお金はガッポガポだし、廉は包丁すら持っていないぐらい料理をしないから、キッチン用品は同褄が決まった次の日から遊びに行っては色々置いてきたのだ。流石に炊飯器はあったけど。廉の好物、白米だし。
「あー置いて行ってたからかー!あとさ…岸さん」
廉に呼ばれて振り向くと…
ちゅっ
…いや、流石にあざとすぎ!!
「え、廉?今のめっちゃあざとかったけど……??」
「知らんわそんなん!ほら、はよ片付けよー!」
少し照れながら言って俺が持ってきた漫画を本棚に片付ける。廉のあざとテクは誰に教えてもらったんだろ……。
その後、三回ぐらいゲームで対戦をし、全て負けた。
いつものように。マリカーなら負け……たことしかないわ。
俺のメンタルすげーな。
「ねー岸さんー。ゲーム負けたんやから、お昼作ってー」
時間は十二時を少し過ぎたぐらい。
ペナルティじゃなくても作りますよ!
「えーっと」
俺は冷蔵庫を開け、中を確認する。
お惣菜ばっかじゃん。
でもハムとチーズ、それから今日の夜ご飯にしようとしていた、俺の好物でもある蕎麦が入ってる。
野菜室にはミニトマト、キャベツ、にんじん……なんで包丁も使えないクセにこんなの入ってるんだ……??
「野菜はねー近所のおばちゃんにもらたー。貰ったの昨日だからまだ食べれると思うよー。」
食べれるだろ絶対!!
んーそうだなぁ。
ホットサンドとサラダにしようかな。
「じゃあ、ホットサンドとサラダ作るわ」
「やったー!岸さんの手料理やー!!」
子供のようにはしゃぐ廉。いい加減、料理しろよ……。
「俺、この間カルボナーラ作ろうとしたら悲惨なことになってん。だからもう、作らん。」
そういえば以前、廉が例のカルボナーラを作った時、牛乳に浸かった麺みたいになったとLINEで写真が送られてきた。
たしかに悲惨だし、麺が一人前の量じゃなかったし、牛乳多すぎだし…とツッコミどころ満載だった。
「まあ、これからは俺がいるから大丈夫だよ」
そう言っているうちにハムとチーズのカットが完了。
パンに挟んでホットサンドメーカーに入れる。
あとは待っている間にサラダを作ろう。
例の野菜たちを水で洗い、キャベツとにんじんは千切りに、トマトは横に半分に切って盛り付ける。
見た目も完璧なサラダが完成。
「すごい〜この線みたいなのどーやってやるん?」
廉がサラダを見ながら興味深々に聞く。
家庭科ちゃんと受けてこなかったのかよ、千切りだぞ、それ。
「千切りー?俺とは一生縁ないわー」
めっちゃあるから!そうこう言っているうちにホットサンドが完成。
良いキツネ色になっていた。お皿に盛り付け、テーブルに運ぶ。
「「いただきまーす」」
俺たちはホットサンドを頬張る。
サクサクしているし、中のチーズもとろっとろ。成功したー!
廉を見ると、これはまた上機嫌で食べていた。
「廉、美味しい??」
「もちろん!岸さんの作るご飯、めっちゃうまいもん!」
嬉しいなぁ。
廉side
岸さんのご飯美味しかったなぁ……
んーでもちょっと眠いや。
昨日、楽しみすぎて全然寝れへんかったんよね……
「ねー岸さん。」
「何?」と岸さんが振り向く。
「俺、ちょっと眠いねん。ちょっと寝てきてええ?」
うとうとしちゃう…
ホント昨日は睡眠時間二時間とかやもんなぁ。
「うん、いいよ〜」
岸さんは優しい。だけど俺はそれだけじゃ、足りなくて、「岸さんも一緒に寝よ。」と言った。
岸さんは一瞬驚いたけど、一言で了解してくれた。
二人でベッドにお互い背中を向けて横になる。
岸さんが引っ越してくると分かった日からネットで色々探して昨日届いた新しいベッドだ。
二人で寝れるようにダブルサイズ。
もう一部屋あるんやけど、そこは勉強部屋として使うことにした。
「ねー岸さん…」起きとる?と聞いてみる。
「起きてるよ。」
俺は起き上がり…岸さんにキスした。
「え、廉……??」眠いんじゃないの…?と岸さんが聞く。
眠いねんけどそんなことより岸さんといちゃいちゃしたいねん。
「廉…」と岸さんも起き上がる。何するんやろ…と考えていたら、岸さんにキスされた。
「え……」今まで一回も自分からしてこなかった岸さんが……。
「廉。」
「俺は廉を世界で一番愛してる。」
え……唐突に何ー!?!?
「えーとえと?」よくわかんない……急に告白…?なんかしてどうしたん、岸さん!?
「いいから寝よっ!!」
俺は自分を落ち着かせるためにもう一度横になった。
どうゆうことなん!?岸さんはどうしてあんなことしたん!?眠くてぼんやりする中、俺は必死に考える。
んー眠っ。
結局、睡魔に勝てず、俺はそのまま眠りについた。
岸side
目を覚ますと四時を少し過ぎた頃だった。
俺は横で寝ている廉を見る。
「スースー」
可愛い寝息を立てながらぐっすり眠っていた。
ふふ。寝顔も癒されるぐらい可愛いなぁ。
俺は廉を起こさないようにそっとベッドから降りる。
何度か迷って廉のおでこにキスした。
寝顔、可愛すぎるんだよ!!犯罪級の可愛さっ!!
流石にやり過ぎかなーと色々反省しながらキッチンに向かう。
夕食の用意をするためだ。
蕎麦を茹でる用意をする。
結局、さっき言ったこと以外に言いたかったことは言えないままだった。
本当は……家を追い出されたのではなく、自分自ら廉と暮らすために、家を売ったこと。
そんなこと、言えるはずがない。
『嘘つき!!』って言われるかも知れないし、『そんな奴やったの!?』って引かれるかもしれない。
さっきの言葉が嘘だとは言わないけれど、むしろ本心なんだけど、これだけは言えなかった。
でも、ジンと紫耀、海人には昨日正直にメールで話した。
昨日。
廉と放課後、遊んで帰ってきた後。俺は新しく、廉を除いた俺ら四人のグループLINEを作った。
優太『みんな!ちょっといい…??』
先に反応したのは海人だった。
海人『どうしたの?岸くん?』
勇太『なんかあったのか?(廉のことで)』
半分くらい合ってる。
紫耀『あー、廉が好きすぎて死にそうってこと??』
んなわけないだろっ!!
勇太『そうそう、ハグしてもキスしてもしたりないとか』
紫耀『いろいろやべーな岸くん』
優太『そこまででは無いよ!?いやーまあ、廉のこと大好きだけどさぁ』
だって可愛いんだもん。
勇太『いや、絶対嘘だ!!今日も廉の家で遊んだんだろ!?それならキス50回……いや100回ぐらい……!!』
多すぎ!!
優太『そんなにしねーわ!』
紫耀『え、ジンいい加減病院行く……??』
海人『紫耀に心配されてるwwww』
いい加減、本題に入らないと。
優太『そういうことじゃなくて』
『ホントは俺、今の家売り払ったんだ。』
ちゃんと言えた。
紫耀『え!?』
海人『じゃあ、追い出されたんじゃないってこと…!?』
うん……
勇太『なるほどね。廉と一緒に居たいからわざと家を売って、廉と同褄するキッカケを作ったって事だよね。』
そうです。そうです。
紫耀『岸くん頭良くない!?』
それはないっす。
海人『いや、一歩間違えればはんざ…なんでもない』
優太『そうなの、犯罪までは行かないかもしれないけど……廉に……嫌われるかなって……』
紫耀『それはないって。じゃないとあんなに早く家おいでなんて言えないよ。』
海人『でも、家を追い出されるっていう設定で、でしょ……??これを聞いて廉が嫌がる可能性だって……』
うん………
勇太『言ってみるだけ言ってみたら……??』
え…
優太『でも……』
嫌われる……
勇太『だってさ、付き合ってからもしょっちゅう廉の家でゲームとかしてたでしょ。廉は岸くんとずっと一緒に居たいんだと思うよ?学校でもべったりくっついて離れないし、オンラインでゲームとかできるのにわざわざ家に呼ぶ』
たしかに……
紫耀『俺らはあんまり呼ばれないよね』
そうなんだ!?
勇太『廉は岸くんだけにデレデレでしょ』
海人『大丈夫だよ、一回言ってみたら??』
優太『うん、頑張ってみる!』
……と昨日、言う決断をしたのにもかかわらず、こんなにうじうじしてしまったのだ。
ちゃんと言わないと……
そうこう考えているうちに蕎麦が出来上がった。
伸びちゃうから、廉を起こしてこよう。
寝室に戻ると、まだ廉は寝ていた。
「スースー」
「廉、ご飯できたよ。」
「ん……あと五分……」
「伸びちゃうから早く。」
「ん……おはぁよぉ。」
まだ少し眠いのか眠そうな顔をしている。
ぎゅーっ
ハグしたらちょっとは目を覚ますかな…。
「ん!?岸さん…!」
よかった。目を覚ました。
ちゃんと起きといてくれないと大事な話できないからな。
俺は廉と俺の分の蕎麦をよそう。
「はい。廉の分。」
「ありがと。」
いただきます。と言ってそばを掬い、フーフーフーフーと格好冷ましてから麺を啜る。
実は廉が猫舌っていうのがまた可愛い。顔や雰囲気からクール系キャラと思われがちだけど、ちゃんと可愛いところ……いや、可愛いところしか無いのが廉だ。
お互い、蕎麦を食べ終わった頃。
「あのさ、廉。」
廉は俺の方を向いて「何?」と言う。
頑張れ、俺。
「俺…実は…前の家、売ったんだ。」
「え…!?追い出されたんじゃなくて……!?」
「うん。廉と一緒に暮らしたくて……嘘ついてホントごめん!!」
俺は座りながらも頭をさげる。何も言わないなと思い、顔を上げると廉が少し泣きそうな顔をしてた。
「岸さん……ありがとな。俺のために、家売ってくれて。俺も……ホントは……岸さんと一緒に暮らしたかったから……」「廉………」
恥ずかしそうに「ふふ。」と笑う、廉。
「あとさ、さっきおでこにキスしてくれたやろ」
廉が自分のおでこを指差し、いたずらっぽい顔をして言う。
どうしてそれを!!!廉、寝てたじゃん!!
「あの時、ちょーっと起きてたんだよね〜まだ眠かったから寝てたかったんだけどさ」
なんだ、そうなんだ。
すると急に廉は立ち上がり俺の近くにくる。
俺もつい立ち上がってしまう。
俺らは顔を合わせる形になる。
ちゅっ
廉はまた、俺にキスしてきた。
それに続けて…
「俺は、岸さんを世界で一番、愛してる。」
そう言って、ちょっとニヤリと笑った。
さっきの俺の……お返し……??
「廉…俺も…」
「岸さん。」
『好きだ。』って言おうとした時、廉に止められた。
ぎゅーっ
廉が俺に抱きついてきた。
「岸さんは俺の彼女や。」
唐突にすごい爆弾発言をする廉。
じゃあ、廉は……
「それなら、廉は俺の彼氏だ」