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ガタッ
「ヒィ!」
音をたてて部屋を入ると、情けない声が耳に入ってきた。
声の主は、夕立氷樹郎。この城の城主であり、八左ヱ門の家族を死においやった張本人。
「たっ竹谷!何のつもりだ!こんなことして、ただじゃすまんぞ!」
‥‥呆れた。今この状況が分かってないのだろうか。
足を一歩前に出すと夕立氷樹郎も一歩下がる。
「まっ待て!話そうじゃないか!」
「お前と話すことなどない。」
苦無を夕立氷樹郎の首に当てる。
「今ここで死ね。」
「まっ待て!」
腕を振り、夕立氷樹郎の首に刃先が当たった。
〜よし。あとは振り抜くだけ。〜
そう思った瞬間。
グサッ
何かを貫く音が部屋中に響いた。
「ゴホッ」
気づくと、八左ヱ門は血を吐きお腹を抑えてうずくまっていた。
「‥‥な、んで‥‥‥。」
後ろを振り向くと、血のついた短刀を持った組頭が肩で息をしながら立っていた。
「はっ!敵に息があるかどうか確認するのは忍びとして当たり前だろうに、」
そう言い、夕立氷樹郎の前に立った組頭は八左ヱ門の喉に短刀を向けた。
「ぬかったな。竹谷。」
八左ヱ門は悔しそうに見上げる。が、直ぐにその顔は笑みへと変わる。
ボカーン!!
と同時に何かが爆発した音が城内に響き渡った。
「なっなんだ!?」
爆発の衝撃で床が揺れ、組頭がよろけた。
その瞬間、八左ヱ門は組頭に突進し彼の持つ短刀を奪い取り、そのまま喉を斬った。
「なっ!」
そんな短い言葉を最後に、組頭は今度こそ絶命した。
「‥‥死んだと思ってたのに生きてたのには焦ったけど、油断しすぎ。」
見下す瞳はおぞましく、取り巻く空気は重たい。
「城を一人で落としにきて、私が何も仕掛けてないとでも思ったのか?私が死んでも、今の爆破で起きた火事がお前を殺すだろう。」
瀕死のはずの八左ヱ門のあまりの恐ろしさに、夕立氷樹郎は冷や汗が止まらなかった。
「さぁ、次はお前の番だ。」
「待ってくれ!殺さないでくれ!私はお前の主だぞ!」
刃先を夕喉に突きつけた八左ヱ門は泣いて命乞いをする夕立氷樹郎の首を斬った。