バタンッ
転がる首を冷たい瞳で見つめた八左ヱ門は、そのまま倒れた。
身体は動かない。
「はは、ここまでか~。」
腹の傷から大量の血が出る。
〜視界もぼやけてきたし、本格的にやばいな。〜
どんどん部屋の中が熱くなってきた。
「‥‥もう、ここまで来たんだ。壁とかに油塗っといてよかった~。仕留めそこねてたら危なかったな~。」
扉が燃え始め、壁や天井にも火がついた。部屋は一気に火の海となった。
最上階に来るまでに仕掛けたからくりが上手く役にたった事に八左ヱ門は喜んだ。
「‥‥父さん、母さん。兄さん、姉さん達‥‥やっとそっちに行けるよ。また、私の名前を呼んで‥‥。」
「八左ヱ門!」
薄れていく意識の中、誰かに呼ばれた気がした。
「邪魔だ。道を開けろ。」
勘右衛門達に送られ、上を目指す三郎は向かってくる敵を容赦なく切り捨てていく。
「チッ。どんだけいるんだ。コイツラのせいで全然前にすすめない。」
八左ヱ門が居るであろう最上階までまだまだ先だ。
斬る、走る、斬る、斬る、走る、斬る。
三郎が通った廊下には、沢山の死体が転がっていった。
「あともう少し。」
三郎が頬を伝う汗を拭った瞬間。
ボカーン!
「なっ!」
急に視界が真っ赤になった。見渡すと、あたり一面火の海となっていた。
「爆破か?」
先程の音が爆破と推測した三郎は直ぐに違和感を覚えた。
「何故こんなに火の回りが早いんだ?」
恐らく爆破がおきたのは一階。三郎がいる階とは遠い。ただの爆破でここまで火が回るのはおかしい。
クンクン「油?」
漂ってくる独特な香りに、三郎は顔をしかめた。
「チッ!このままじゃ十五分ももたんぞ。」
三郎は近くの部屋に入り水が入った水瓶を頭の上にやり、水を頭から被った。事前に城の見取り図を見ておいて良かったと思った。
そして階段を駆け上がり燃えている一番奥の扉を開けた。
「八左ヱ門!」
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