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大学の期末テスト前、「どうせ一緒にやった方が効率いいやろ」ってことで、
そらとの部屋で勉強会をすることになったまなみ。
「ねぇ、そらとー。ここの公式、なんでこうなるん?」
まなみが問題集をそらとの方に差し出すと、
そらとは眉をひそめながら画面を覗き込んだ。
「これ?……ここ、符号逆になるやん」
「え、ならんでしょ?」
「なるっちゃ。ほら、俺が教えちゃるけん」
そう言って、そらとはまなみの隣に座る。
でも、机が狭いせいで肩がぴったり触れる距離。
まなみは意識しないように必死でノートを見つめた。
「ここがこうで、ここにマイナスつくっちゃ」
「え……あ、ほんまや。なんで?」
「だから、ここでこの式展開したやろ?そしたら──」
そらとがまなみの手元に体を寄せるたび、
耳元にかかる吐息がくすぐったくてたまらない。
「っ……そ、そらと……近いんやけど」
「ん?見えんけん寄っとるだけや」
「……そんなん言われても……」
まなみはぷいっと顔を背けるけど、
そらとは逆にゆっくりと顔を近づけてくる。
「……そんなに意識しとるん?」
「しとらんし!」
「じゃあ平気やろ」
「……っ、ずるい」
そらとがニヤっと笑う。
その笑顔が意地悪そうで、余計に心臓がうるさい。
「ここ、全然覚えきれてないやん」
「……うん、ちょっと苦手で」
「……じゃあ、こうしよっか」
そらとはペンを置くと、
まなみの耳元にそっと顔を寄せて低い声で囁いた。
「次、間違えたら──ご褒美やけん」
「っ、ご褒美!?」
「……違った、“罰ゲーム”やった」
「な、なにそれっ」
「答え合わせのたびに耳元でヒント教えちゃる」
その声が耳にかかるたび、
まなみはびくっと肩を震わせた。
「おい、今の反応……可愛すぎやろ」
「か、可愛くない!」
「じゃあ、もっとやってみよ」
そらとは意地悪そうに、
まなみの耳元すれすれで低くささやく。
「cosの逆は……sinやな、まなみ」
「ひゃっ……!」
「……震えすぎ」
「そ、そらとの声が、近いんよ……」
まなみが耳を赤くして俯くと、
そらとは小さく笑いながらまなみの頬に指先をそっと触れた。
「じゃあ、もうちょい離れた方がいい?」
「……いや、べつに」
「べつに、ね」
そらとが口角を上げた瞬間、
さらに顔を近づけて、耳たぶすれすれに囁いた。
「んじゃ、もーちょい頑張れ。俺が横で見とるけん」
耳にかかった低い吐息と声が重なって、
まなみはペンを持つ手すら震えてしまう。