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幼なじみとの両片思い

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幼なじみとの両片思い

23 - 【2】

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2025年08月24日

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まなみのペンを持つ手が小刻みに震えてるのを、そらとはちゃんと見てた。

「……お前さ、そんなに俺の声で震えるん?」

「ち、ちがうもんっ」

「ふーん……」

そらとはわざと低い声でそう言って、

まなみの肩に片腕を回すように少し体を寄せる。

「ねぇ、そらと、勉強中なんやけん離れてってば」

「離れたら問題解けるん?」

「……そ、そんなん、解けるもん」

「ほんなら、証明してみ?」

にやっと笑って、そらとは問題集を指差す。

「この問題、三十秒で解けんかったら──

 俺がまなみに“ヒント”出したる」

「ヒントって、耳元で言うやつ?」

「正解」

「そ、そんなの集中できんしっ」

「ほら、タイマー、よーいどん」

案の定、焦るまなみはあっという間に間違える。

そらとはそれを見て、ゆっくりとまなみの耳元へ顔を寄せた。

「……なぁ、sinの導関数ってなんやったっけ?」

低く囁かれた声と、耳にかかる吐息で、

まなみは「ひゃっ……」と小さな声を漏らしてしまう。

「おい、可愛すぎやろ」

「か、可愛くないっ」

「んじゃ、もう一回聞いたろか」

そらとはわざと、耳たぶに息をかける距離まで近づく。

「sinの導関数は──」

「っ……や、やめっ……!」

「やめてほしいん?」

「……やめてほしくないけどっ」

「……正直でよろしい」

まなみは恥ずかしくて顔を真っ赤にしたまま俯くけど、

そらとは満足そうに口角を上げた。

「なぁ、まなみ」

「……なに」

「そんな反応するくらいやったら、最初から大人しく教わっとけって」

「……だって、そらと意地悪やもん」

「んー、意地悪っていうより……」

そらとはまなみの顎先に指先をかけて、

そっと顔を上げさせる。

「……お前が可愛すぎて、ちょっと試したくなるだけ」

「っ……」

「ほら、次の問題。これ解けたら、俺、ちゃんと大人しくするけん」

「……ほんとに?」

「約束はせんけど」

「そ、らと……!」

「冗談やって。ちゃんと見とるけん、安心せぇ」

そらとが耳元で落とした最後の低い声に、

まなみの心臓は破裂しそうだった。

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