テラーノベル
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──────メテヲ視点──────
救済は、一つ一つの『呪い』の絡みを解いていく。頭の中で、覆われていた何かが、姿を現していく。その真実を覗けば、メテヲはどうなってしまうのか。分からない。分からない。神という存在になってなお、他者からの能力の影響を受けるというのか。そんな思考を遮るかのように激痛が脳内に流れる。神経一つ一つを逆撫でさせられているかのような不快感と異物感。《救済》とは嘘だったのでは、そう思わされるほどの乱れ、魂すら怖気立つ。
───目の前に立つそいつが、説明し出す。その目はいつの間にか金色な染まり、悪意の籠っためでメテヲを見下す。
「よく聞いただろ?《救済》。便利な言葉だな、これ。能力も驚く程に便利だ。『自身の瞳を見たものに救済を与える。』…か。ま、今回は魔法として使ったから瞳を見させることはしなくていい、とか他にも条件みたいなのがあったみたいだったが…。」
そう言いながらそいつは淡々と語る。───メテヲの知っているいえもんでは無い。警戒しろ、と脳は言うが、体は既に動かず、気持ち悪さに吐き気がしてくる。これが救済とかふざけるな、と喚きたかったが、どうやらその前に血が喉を通り、反射的にそれをはき出す。ブシャッと汚い音を鳴らして、その血は広がっていく。───肺がやられた?いや、のどか。そんな、怪我の出処を探しつつ、そこを再生させようとする、が。それを許さないとばかりにいえもんがメテヲの腹を指す。───もう一度、血を吐き出す羽目になった。腹からも出血が止まらない。
「聞いてくれよ。この救済さ、ガンマスが天界から堕ちたことによって『自分が思う救済』を他者に与えられるようになったんだってさ。でもって、今回、いえが使った救済は『他者を本当に救済したいと思う気持ち』がないと使えないんだ。」
だから、といえもんは続ける。───この話を聞くと、こいつは二重人格なのか?…そんな情報、伝えられていない。
「だから、俺には使えないんだ、これ。お前を救済なんて、これっぽっちもしたくないから。」
「あ゛だりま゛えッ!!だ、ろ..ッ」
敵なんだから、そう続く言葉は出ず、メテヲは大きく咳き込む。もう出血は止まったらしく、乾いた咳だ。
いえもんは俺を哀れむような目で見ながら続ける。
「だけどな。いえがお前を助けたいって言うんだ。できないと思ってガンマスの残した魔法を使わせたんだ。───そしたら、なんとできちゃいましたーって感じだよ。こんなクソ雑の流れでお前は、今、俺の事を見上げてるんだよ。」
「…ッは!ふ、ざけッ───ガハァッ」
文句を垂らそうとしたが、その前にまたしても咳き込む。咳が止まらない。自然治癒が止まっているのか?自分でも、自分の体がどうなっているか理解できない。
「んーいえが与えた《救済》はっと…。真実を知るって感じだな〜。…まあ、メテヲのことをよく知らないもんな。いえにとってはメテヲが歪んだのは神に盲目的だからだと思ったんだろうな。だから、神は正しくないっていう真実を救済として与えようとしたんだろうな…。間違いじゃないが、それはお前の意思なんだから歪んですらないのにな。」
「…ッ!じゃぁッ!な、んでぇ…ッ」
「なんで酷い目にあっているか、ってことか?」
メテヲの疑問を先回りするかのように先に言う。その通りだ。救済の内容が『真実を知る』なら、今メテヲの体を傷つけているのは一体何なのか。真実は時にここを抉るが、身体を傷つけることは無い。そいつは嘲笑うかのように言う。
「───ふはっ。分からないのか。そうか。実に可哀想に。」
そう言って、そいつはメテヲを笑う。バカにされている、そう分かってはいるが、反論する口が上手く動かなくなっていく。黙って、こいつの煽りを受けるしかない。屈辱的だが、仕方がない。───段々と、記憶が鮮明に、霧が晴れたかのように思い出されていく。
「そう、メテヲ。君は神に裏切られたんだよ。───メテヲが神を裏切る前に。」
「───?何を言って…ッ!?」
記憶が、鮮明に戻ってくる。───そうだ、思い出した。メテヲは、ある時、予言を視た。
その方は、最高神様に似てはいるものの、全くの別物───初代最高神様だと、一目見てわかった。その方は仰る。
『現最高神が自らの力を用いて、世界を壊そうとしている。あなたは、それを止める使命を持ったものである最高神を、仲間と共に止めて。仲間は下界に全員いるわ。探して、そしてあなたが導いて止めるの───。』
そう、言われた。しかし、その直後。メテヲは現最高神様に神界へと連れ去られて、その方の力を無理やりねじ込まされた。───その時に、記憶が───。
「ぁ、あ゛ぁ…ッッ!!」
思い出してしまった。その、記憶を。
───それと同時に、《呪い》が発動する。
「あ、あ───ッ!!いや…ッ嫌だァ!!!こ、これはッッ!!これはメテヲのせいじゃッッ!!メテヲのせいじゃないんです…ッッ!!!」
メテヲは必死にそう叫ぶ。だが、最後の宣告と言わんばかりにその声は聞こえる。
───『役ただずが。』
「───あ、ぁ…。ゆる、して…ッ」
その瞬間、メテヲの時空神として手に入れた力が、メテヲの内側から食らう。中を、侵食していく。神経を、臓器を、血液を。まるでメテヲの存在ごとくらうかのように。
「───あ゛、ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァアアアアアアアアアアアアッッ!!!!」
メテヲの最後の絶叫。その喉が裂かれ、思考が消えるまで叫び続けた──────。
ここで切ります!メテヲさん退場でーす!いやーちゃんと絶望させてから殺せて良かったです!その為だけに再登場させたと言っても過言では無い()まあまあ、でも今回で少し考察できる幅が広がったのでは?メテヲさんも神解体のために動くはずだった1人だったんですよね〜。
あ、救済の魔法はだいぶ前のガンマスさんの日記編のものですね!魔法が記されてますよー。それについて直接触れたかどうかは思い出せませんでしたが…。
まあまあ、細かいことは気にしないでくださーいよ!
それでは!おつはる!
コメント
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私考察の余地が他の人に比べて少ないんだけど…
…仲春さん…もしかしてヒプノシスマイク持ってたりしません?
やっぱり作者って死神だよね・・・もはやそうとしか思えないよ?