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#ワンナイトラブ
「えっ……あ、いや、それは……」
「Googleの検索履歴。……見ちゃいましたよ?『元カノ 会社で迫られる 穏便に断る方法』でしたっけ? 蓮沼さんが元カノだなんて、私、一言も聞いていないんですけど?」
――そうだ、あの日だ。 白石さんの家で、どうしても新作のゲームがやりたくて、彼女のPCを借りたんだ。そこで自分のGoogleアカウントにログインして……彼女に後ろから抱きつかれて……そのまま……。ログアウトする余裕なんて、1bitも残っていなかった。
「あ、そうそう。Geminiに『仲間と会社を救う』なんて素敵な履歴も残ってましたね。お仲間のお二人がぜーんぶ教えてくれましたよ♡」
「……っ、あの二人が!?」
「ふふ、佐藤さんも王子谷くんも喜んで私に協力するって、(恐怖で)震えながら仰ってましたよ。……ねえ、陽一さん。私だけ仲間外れなのはどうしてなんですか♡?」
「……それは。その、涼香(元カノ)のことで余計な心配をかけたくなかったし……会社の不正を調べるなんて危ないことに、白石さんを巻き込みたくなかったんだ」
僕なりの誠実な、そして精一杯の言葉だった。けれど、彼女はネクタイをさらに強く引き寄せ、首を振った。
「……私、陽一さんの嬉しい時も、悲しい時も、困って苦しんでいる時も……。全部を共有したいんです。陽一さんのすべてを知る権利は、私にだけにあるんですよ? ♡」
彼女は僕のネクタイを指先に絡め、弄ぶ。
「私、パパにお願いしておいたんですよ。 陽一さんたちが集めた証拠を活かせるように、常務の口座を洗っておいてねって」
「……じゃあ、お義父さん……専務が来たのは」
「ぜんぶ私の指示です♡陽一さんたちのヒーロー計画を、失敗させないためにね。完璧だったでしょ? ♡」
彼女は僕の耳たぶを甘噛みせんばかりの距離で、息を吹きかける。細い指が、僕の喉元をゆっくりとなぞった。
「……私との間にはもう、隠し事は一切『禁止』です。次、同じことしたら許さないから♡」
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