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自分夢の中
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#そのじん
佐野:正月は実家に帰省するの?
吉田:いや、帰省ラッシュえぐいので…
佐野:あぁ、そっか
吉田:佐野さんは?
佐野:今年の正月は帰らないかなぁ
そっか、帰省ラッシュとか仁人にとって辛いよな。じゃあ、いるのか。俺は意を決してさりげなく言ってみることにした
佐野:あのさ、もし暇なら俺ん家来ない?
吉田:は?!え、む、無理です
えぇ!?まさかの即拒否。マジか…ちょっとは悩んでくれると思ってたんだけど、自意識過剰すぎたわ
佐野:ちなみに理由とかって…
吉田:好きだから、
佐野:え、?
吉田:佐野さんの匂い、好きだから。強すぎたら逆に嫌いになっちゃうかもしれなくて、それが怖くて
あら、なんて可愛らしい理由なんでしょうか。でも、正直俺もそれは気をつけるようにしていた。仁人から求められる時だけハグするようにしたり、無理に近づかないようにしたり。でも、、
佐野:じゃあさ、仁人の家行ってもいい?
吉田:え、俺のアパート狭いですよ
佐野:仁人の部屋で俺の匂いに慣れたら、来れるんじゃない?
仁人は眉間に皺を寄せて黙り込んでしまった。俺、やってしまったか…?ズカズカいきすぎたか?
佐野:あ、嫌なら全然、
吉田:佐野さん!!!
佐野:はいっ、!?
吉田:…俺、佐野さんの匂いに包まれるの、やっぱ幸せなんです。だから、
吉田:マジでなんもないんですけど、お茶でいいですか?
佐野:俺のことは気にしないで!
俺の部屋に佐野さんがいる。誰も部屋に入れたことが無かったからすごく不思議な気持ち。本当に迷った。俺の部屋に佐野さんの匂いがついてしまったら、俺はその匂いに依存してしまう気がした。でもさ、誘われたのが嬉しくて…俺もいつか佐野さんの家行ってみたいし
吉田:匂いに慣れるって…どうすればいいんだろ
佐野:うーん…とりあえずハグしながら考える?
くっそ、その無駄に口角が上がった顔、俺が断れないこと分かった上で聞いてるだろ
吉田:…そうしましょう
佐野:じゃ、おいで!
ニコニコしながら手を広げる佐野さん。俺はあぐらの上に跨るように乗って佐野さんに身体を預けた。俺の背中に佐野さんの手の温かさを感じる。目を瞑るとより嗅覚に神経が集中して、強く感じる、気がする
佐野:…なんか、赤ちゃんのこと抱っこしてるみたい笑
吉田:ねぇ、バカにしてますよね?
佐野:してないよ!そんくらい可愛いってこと
佐野さんが笑うと俺の体も一緒に揺れる。 やっぱり佐野さんって何考えてるのか分からない。普通嫌でしょ、成人した男性に抱きつかれるなんて。なのに可愛いとか、俺が言うのもなんだけどイカれてる
佐野:匂いはどう?慣れてきた?
吉田:うん…かなり
佐野:でも、強い匂いじゃないと意味無いか
吉田:意味ない、かもだけど…それよりなんか変な感じするんですよね
佐野:変?
吉田:今まで俺の部屋に別と匂いが混じること無かったから、匂い酔いとはまた別の、変な感じ
佐野:…それは、大丈夫なの?
吉田:…初めてでよく分からない…でも強くなれば分かるかも
佐野:マジで無理しないでね…強くかぁ、どうすればいいんだろ
吉田:強いて言うならやっぱ首…
佐野:首?
吉田:首、っていうか、肌の露出がある部分だと、より強く感じる
佐野:じゃあ、俺脱ぐわ
吉田:は、はぁ?!何言ってんの?!佐野さんのえっち!!!!
佐野:だって俺の家来たいんでしょ?
吉田:う、そうだけどさ…
佐野:上だけだから
吉田:当たり前でしょ💢
佐野:はい、脱いだよ、、っ、仁人?!
俺自身でも何が起きたか分からなかった。頭で考える前に俺は匂いに吸いよされるように佐野さんの胸に飛び込んだ。かなり、やばい。なんなんだこれ、俺の家の匂いと、佐野さんの匂いが混ざって、、どうしよう。クラクラする、けどなんか心地よくて…
佐野:仁人?大丈夫?
出来るだけ優しく語りかけるが返事がない。けど、肩で呼吸をしているから、生きてはいる、んだろうけど。肌に直接手が触れているからなのか、さっきより強くしがみついているように感じる。これは、良い反応、なのか?どう見ても自分を制御出来てないようにしか見えないんだけど。まるで、俺の匂いに翻弄される小動物みたいで、心配しないといけないのに、求められているみたいで心が疼く
吉田:やばい、っ、はぁ、、
佐野:苦しくない?
吉田:良すぎ、て、っ、苦しい
佐野:え”?!じゃあ離れて!
吉田:やだ、、苦しいのに、、気持ちいの、
佐野:えぇ、、
どうしよ、絶対仁人辛いよな?多分頭が身体を上手くコントロール出来て無さそうだし、とりあえず、なんかで抑えないと
佐野:こっち向いて!
俺は近くに置いてあったマスクを取り出し、嫌がる仁人を無視して無理やり付けた。付けた瞬間は顔を抑えて苦しそうに呼吸していて、俺は背中をさすることしか出来なくて、申し訳なかった
吉田:っ、、ごめん、なさい
佐野:なんで謝るの、、俺の方がごめん
目からこぼれ落ちる涙を拭い、頭を撫でる。しばらくするとぐったり項垂れて俺の肩に頭を預けて寝てしまった。耳元で寝息が聞こえる
佐野:…ほんとに、赤ちゃんじゃん
目が覚めると部屋は暗闇に包まれていて、もう夜になったことを知る。ここは、ベットの上?俺、なんで、
吉田:あっ
急いで電気を付けるともう佐野さんの姿は無くて、残されていたのは一つののメモ書きだけだった
『今日はごめん。俺が近くにいるのはあまり良くないんだと思う。仁人に求められるのが嬉しくて、俺も自分が制御出来ない。だから、お互い離れる方がきっと良いはず。大学で勉強頑張れよ!』
ぼんやりする頭でさっきのことを思い出す。俺の家に誰かが来たことは一度もなかった。だから、俺にとって安心する匂い×2かつ、密閉空間で混ざり合う状況は、良くない、ってことに気付けなかった。佐野さんの匂いというよりかは、混ざったことが良くなかったんだけど…佐野さん絶対自分のせいだって思ってそう
吉田:…佐野さんに、謝らないと。でも、俺が会いに行っても逃げそうだし……ん?
メモ用紙の裏にも何か書いてる
『離れてても仁人を守れるように、コート置いて行くね。嫌なら捨てて』
佐野:…はぁ
塩﨑:さっきからため息うるさい
佐野:生きてるだけでも褒めて、、
山中:こりゃだめだ
塩﨑:そんなにため息ばっかついてたらケーキが美味しくなくなるやん!!
昨日、俺は仁人をベットまで運んでから色々考えた。これからどう接すればいいのか、辿り着いたのは離れるのが1番よくない?という結論だった。じゃないと俺が仁人を苦しめてしまう。勿論、助けることも出来るんだろうけど、その善意が悪意になるジレンマが付き物になるし。 だからメモを書いて俺は家から出た。 流石にコート着ないのは寒すぎたけど、それで仁人が楽になるなら、全然良かった
佐野:ねぇ、バ先の先輩がこんなに辛そうなんだよ?もっと優しい言葉くれない?
塩﨑:あんなぁ?こっちだって年末バイト出たくないのに、人手足りないからって借り出されて萎えてんねん!まじ、バイト終わったらすぐ帰省するもんね!
山中:まぁまぁ、今日は営業時間短いし、終わったらすぐ帰ろ?勇斗さんの愚痴もその後聞いてあげるから
佐野:ありがとう涙、やっぱりお前しかいねぇよ、、
山中:だから早くレジ行ってくれます?サンタ待ちらしい。あと俺も帰省するからやっぱり聞けないかも
佐野:…はい
曽野:いきなりごめんなぁ、お土産探し手伝ってもらっちゃって
吉田:大丈夫だよ。代わりにあの激ムズ授業の課題の答え見せて、な?
曽野:えぇ?数少ない大学の後輩に対してそんなこと言うん?
吉田:あーあ。そんなこと言うなら着いていかないぞ
曽野:ごめんて仁ちゃん!
こいつは授業のグループワークで仲良くなった大学の後輩。匂いは可もなく不可もなくだから居心地が良い。けど、帰省する時に家族に渡すためのお土産を一緒に探して欲しい、なんて言われる日が来るとはね。まぁ、意外と楽しいからいいんだけどさ
吉田:このお菓子とかよくない?
曽野:えぇ、それは微妙
吉田:お前面倒くさいな
曽野:俺だってこだわりあんの…あれ、?仁ちゃんってそんなコートだっけ
吉田:ん?あぁ、変えたんだよ
曽野:なんか、オーバーサイズで可愛ええな
吉田:うっせぇ、!早く選ばないと出発時間に合わないだろ
ほんとにこのコートには感謝しかない。サイズは大きいけど、そんなのどうでもいい。逆に守られている感がでて、確実に前よりも外の世界を歩きやすくなった。今日もコートが無かったら誘い断ってたし。 でも、佐野さん自体の匂いは完全に劣ってる。隣を歩くだけで、あんなに街がキラキラして見えたんだもん。でも、昨日は佐野さんの匂いだけじゃなくて、佐野さん自体の存在に甘えてしまった。困らせた。だから冷静になると、 会わないという選択肢以外は俺も考えられなかった。なのに、なんで、こんなにも佐野さんのことを考えてしまうのだろう
曽野:今日はありがとう!
吉田:おう、気をつけて帰れよ
改札口を抜けた先でも最後まで手振り続けて、ほんと可愛いやつ…やばい、話し相手がいたから気を紛らわせることが出来たけど、いないとちょっとしんどいな。早くイヤホン付けよ。はぁ、みんな帰省する人達なのか?早く帰ろ。
俺は人ごみに揉まれながら、駅から脱出するために歩みを速めた
山中:なんで着いてくるんすか
佐野:ごめん、気を紛らわせたくて
塩﨑:佐野さん、俺たちが次バイトに来るまで生きててね?
佐野:頑張る…だからお前たちの地元のお土産買ってきて
塩﨑:はぁ?心配して損したわ笑!!
山中:どんなお土産がいい?
塩﨑:…え、ガチ?
バイト終わり、2人とも同じような時間帯の電車で帰省先に向かうということだったから、少しでも仁人を思い出したくなくて無理やりお見送りすることにした。2人はブーブー言ってたがなんやかんや優しい奴ら。最終的には気落ちしすぎないようにと口酸っぱく言われ、そんな2人の後ろ姿を見送った
佐野:…行っちゃったな
「今日はありがとう!」
「おう、気をつけて帰れよ」
あぁやっぱりお見送りする奴いるよなぁ
「じゃあね仁ちゃん!」
仁ちゃん?
「もう、手振んなくていいから!早く行け笑」
佐野:仁人、?
あのシルエット。見覚えのあるコート。絶対仁人だ。でも、仁人は俺に気付いてないらしい。イヤホンを付けて人混みの中に消えていった。え、大丈夫なのか?こんな人沢山いるのに、
佐野:…あぁ、くそっ、、駅の中だけ、
う”、、やっぱキツイな。マスクもしてる。イヤホンをつけて外部の刺激も遮断してる。佐野さんのコートも着てる。なのにこんなに辛いなんて…
ドンッ
吉田:っ、すみません
痛ぁ、、もうさ、怖いわ。冷たい目が。俺がどければ良かったの?そんなに急いで歩かなくても良くない?
吉田:はぁ、っ、ダメだ、どっか、、座れる所、
さっきのぶつかった衝撃で一瞬マスクがズレたから、匂いが一気に身体を締め付ける。あの、クリスマスの日以来の息苦しさ。目もぼやけてきたし、足の感覚も分からない。視界の端に周りの人がどんどん追い越していくのが見える。あれ?今、俺は歩けているのか、?俺は、
「仁人っ!!!」
吉田:…っ、えっ、?
視界がぐらりと揺れ、崩れ落ちそうになった瞬間だった。俺が聞きたかった声と、求めていた匂いを近くに感じた
佐野:大丈夫、!?
吉田:なん、で……
佐野さんって俺が辛い時、いつも傍に来てくれるよね。あぁ、やっぱこの匂い……限界に達していた身体が、安心感を得たことで張り詰めていた糸が切れて、俺は意識を失った
次回最終回です
♥400超え次第いきます
コメント
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仁人可愛い...日々の癒し
うわぁ、第4話読み終えた……なんかもう、胸がぎゅってなったよ。 吉田くんが「良すぎて、苦しい」って言ったところ、めちゃくちゃ刺さった。それってすごくリアルな感覚で、依存と愛情の境目が曖昧になる瞬間ってこういうことなんだなって思った。佐野さんも「お互い離れる方がきっと良い」ってメモ残して、でも最後に駆け寄ってくるところが…もう、お互い離れられないんだって感じさせてくれて切ないし温かい。 コートを置いてく優しさも良かったな。次回最終回か…すごく楽しみにしてるよ。