テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
通行人:あの人、男の人おんぶしてるくない?
通行人:え、まじ?ウケるんだけど笑
すれ違う人達の視線が突き刺さる。別に男性が男性をおんぶしても良くない?仁人が気を失った時はパニクったけど、今はそっちの方が良かった気がする。じゃないと、こんなに目立つ行為恥ずかしいとか言ってやらせてくれないだろうし
佐野:…くすぐったい
無意識に求めているのかな。俺の首を仁人の鼻が掠める。懐かしい。初めて会った日もこんな感じだったけど、その時よりは安心して身を任せている気がして嬉しい
さて、どこに連れていこう。仁人のアパートまでは距離あるし、ホテルだと匂い気になるだろうし…ってなったら、必然的にここから近い俺のアパートになるんだけど。でも、大丈夫なのか?仁人は耐えることが出来るのか、俺は苦しむ仁人を助けることが出来るのか、この行動は本当に正しいのか
…さっき、俺が仁人を支えた時、一瞬驚いた顔をしてたけど、その後すぐに柔らかい表情になったんだよな…はぁ、あんな顔見せられたらさ、起きた時、少しでも安心出来るように
俺のアパートに連れて行きたくなるじゃん…
苦しい しんどい 気持ち悪い
外に出る度に溢れるこの三拍子
歳を重ねるごとに慣れる、なんてことはなくて、俺は一生こいつを背負って生きていくんだなぁと思っていた
でも、佐野さんがいたから、初めて前を向いて外を歩けた。誰かの誘いなんて、いつもなら断ってたけど、行けるかもっていう希望を持てた
でも、やっぱり外に出るのは辛くて、苦しくて、苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて
誰か……助けて
吉田:はっ、、
夢、か…?ボーッとする頭の中で必死に思い出す。今日、舜太を見送って、やっぱ苦しくなって、意識を失、、
そういえば、佐野さんがいたんだった。なんで、?いつから、?っていうか、あの人混みを思い出したら、また、
吉田:っ、はぁ、、ん、はぁ、、
初めて見る場所。だけど、この匂いが正しいなら、ここは、佐野さんの部屋だ
吉田:っ、ごめん、、はぁ、っ、、
頭上に置いてあった枕を抱きしめる。あぁ、やっぱり佐野さんの家なんだ、と確信する。快適な屋内は俺の部屋しかないと思ってたけど、佐野さんの部屋も、かなり良い。やっぱり昨日は俺の部屋の匂いに混じって、佐野さんの匂いも入ったからおかしくなったんだ
昨日の痛い気持ち良さは無い。佐野さんだけの匂いが俺に溶け込むような、優しい気持ち良さ。だからこそ、 足りない。もっと、強い匂いがほしい。くそ、ダメだ。冷静になんないと、とりあえずこの枕で耐えないと、また佐野さんに迷惑かけるだろ、、
佐野:起きた?
吉田:…佐野、さん?
顔を上げると、部屋着でいつもよりラフな格好をした佐野さんが立っていた
佐野:…ごめん、俺のアパート連れてきたけど、大丈夫?
吉田:っ、平気です
佐野:そっか、よかった。あの人混みやばかったでしょ笑、もうちょい寝な?
佐野さんは少し微笑むと後ろを向いた。佐野さんも俺と距離を開けないといけない、と思っているのだろう。責任感の強い佐野さんなら尚更、昨日俺を苦しめたのは自分だとか、そんなこと思ってそうだし。でも、
吉田:佐野さん、!
#snjn
なゆ
825
#ご本人様には関係ありません
𝕔𝕠𝕔𝕠
5,139
#さのじん
自分夢の中
7,378
#そのじん
佐野:ん?
やっぱり、こっちは見てくれない
吉田:…佐野さんの、っ、はぁ、匂い、ほしい
佐野さんの動きが固まる。ごめんなさい。また困らせている。俺はなんて自分勝手なんだ。佐野さんがこんなにも配慮してくれているのに
佐野:…だめ。俺が近付くとより辛くなっちゃうでしょ
吉田:辛くない、!っ、俺の部屋の匂いと、佐野さんの匂い、っ、が混じった、、っはぁ、から止まらなくなった、、の、だから、今は、佐野さん、、っ、の匂いしかないっ、から
すげぇ苦しい。そりゃそう。ただでさえ苦しい状態で喋ればもっと苦しくなるに決まってる。でも、伝えたいんだ。佐野さんが変な責任を抱え込まないように。勘違いしたまま、俺の目の前からいなくなってしまわないように。こんな 些細なすれ違いのせいで、二度と会えなくなるなんて、そんなの、耐えられない
吉田:だから、、っ、、ここは平気なの、、佐野さんの、匂いしかないから、、
佐野:……それ、ほんと?
吉田:ほん、と、、今、っ、人混みの匂い、、思い出してっ、ぐるしぃ、のっ、、枕だけじゃ、足りない、、
ヒュウヒュウと情けないほどに荒い俺の呼吸音だけが、静まり返った部屋に響いている
しばらくすると、佐野さんが口を開いた
佐野:はぁ、、耐えないといけないのに
吉田:、、?
佐野:辛くないってことだよね、俺の匂い強くなっても大丈夫だよね?
吉田:っ、、うん
佐野:……分かった。信じるよ
佐野さんは振り向くと俺のことをジッと見つめる。こんな目、初めて見たな。苦しさとは裏腹にそんな冷静なことを思っていると、突然、佐野さんは俺の抱いてた枕を奪い取って床に投げ捨てた。腕の中が空っぽになって寂しいし、匂いが半減して、息もだけど胸が苦しい。枕触られるの嫌だったのか、早く、謝らないと。酸素が行き渡らない頭でぼんやり考えていたその時だった
佐野:失礼するよっ
吉田:……っ?!
いきなりの事で固まる俺をフル無視して、ゴソゴソと佐野さんが布団の中に入ってきた。硬めのマットレス、ふかふかの布団、そして、目の前に現れた綺麗な鎖骨。ほんの数十秒前まで枕があった俺の隣に、佐野さんがいる。求めていた、匂いに囲まれる。頭が、真っ白に、なる
佐野:…このベットに2人はきついな笑
冷静に、ならないと
吉田:っ、、はぁ、きつく、ないです
佐野:…大丈夫?
がっついたら、ダメだ
吉田:、っ、うん
佐野:……無理しなくて、いいよ
無理、してない、のに…佐野さんに、もっとくっつきたいのに
佐野:なぁ、仁人
吉田:?
困らせないように、しないと。佐野さんが困らないように、距離、おかないと、、
佐野:無理して離れないで、もっと、近づきな?
吉田:、、え、?
今、なんて…?
目線を上げると、そこには俺のこの不安定な気持ちを少しでも和らげようとしてくれる、慈愛に満ちた佐野さんの笑顔があった
佐野:俺、仁人のこと信頼してるからここにいるの!それに、仁人がまた昨日みたいになったら俺が止めるから、俺のこと気にすんな。俺だって、本当はもっと仁人にくっついて欲しいし…だから……おいで?
吉田:…うんっ
佐野さんの言葉を合図に、俺は佐野さんに抱きついた。この匂い、やっぱり最高だ。でも、それだけじゃない。佐野さんという存在自体の安心感。
好きだ。大好きだ。止まらない。体全体を循環する匂い、でも足りない。いくら嗅いでも足りない。昨日とは違う。純粋に、もっと、欲しい……
仁人、大丈夫かな?顎を引くと仁人の頭とゆっくりと呼吸する肩が見える
佐野:苦しくない、?大丈夫?
吉田:、うん、、最高、、です、
佐野:よかった…
昨日は過呼吸気味で酷かったけど、今回は冷静そうでよかった。念の為にマスク用意してたけど、そこまでの必要なかったみたい。返事もするし、大丈夫かな。まぁ、すげぇ嗅いでるけど
佐野:…やっぱキツくない?ここに2人は
吉田:やだ…これがいい、、
仁人の顔は俺の体に押し当てているから見えない。けど、俺を求めていることだけは、直感だけど分かる。たまに「う”ー」っていう声が聞こえるけど、頭を撫でると、鼻というか顔を俺に擦って、満足そうに落ち着く。その一連の動作が可愛くて仕方ない
佐野:…落ち着いてきた?
吉田:…うん、、ありがとう、ございます
気持ちよかったのか、安心したのか、涙目でこっちを見てくるから変な気持ちになる。はぁ、辛いはずなのに、俺の目を見てちゃんと伝えるなんて、ほんと健気な奴だな、なんて思いながら伝う涙をそっと拭う
対して俺は、
俺の枕を握りしめていた仁人を見て、最初に抱いた気持ちは、枕に対する嫉妬。ほんと、恥ずかしい。でも、俺がいるのに、なんで枕を握りしめているのか、ちょっとだけ、ムカついた。でも、その後すぐに気づいた。仁人は、俺に出来るだけ近付かないようにしているんだと。俺もそうするべきだと、分かってた。分かっていたけど。抱きつくなら、俺を抱きしめて欲しかった。だから、本心をちゃんと確かめた後、枕をすぐ奪い取った。悲しそうな顔、忘れられない。でも、俺がその枕代わりになった途端、頬を赤らめて、上目遣いで俺の顔色を伺った。その、戸惑いの後ろに隠れる嬉しそうな顔も俺は忘れない。よかった。俺は求められていたんだ。そして、俺も仁人のことを求めていたんだ。最初は気を使ってなのか離れていたけど、信じてることを伝えると、俺はもう逃げないのに必死に抱きついて、震えながら俺の匂いを嗅いで、俺も気持ちを伝えたくて更に抱きしめると耳が真っ赤になって
それが可愛くて、そして、また仁人に会えたのが嬉しかった。その夜は仁人の寝息が聞こえた安心感と共に、気付けば俺も夢の中へ誘われていた
吉田:…んっ、?
この感覚……あれ、?俺、の家じゃない
佐野:んー…おはよぉ
吉田:……はよ、ございます
え、あ、そうだ。俺、昨日、佐野さんの匂いが、全てが心地よくて、そのまま寝ちゃったんだ……抱き締めたまま寝たという事実が恥ずかしくて、急いで反対を向こうとするが途中で止められ、逆にもっと引き寄せられる。佐野さんの匂いがふわっと広がる
佐野:なんでそっち向くの?
吉田:いや、だって、え、?恥ずい、、から、
佐野:昨日、可愛かったよ、すげぇ抱きしめてきてさ……てかさ、この状況、一夜過ごしたみたいじゃね
吉田:あ”ー!!佐野さんのバカッッ!!!
佐野:ごめんて…そんな拗ねないでよ
あまりに反応が可愛すぎて、言い過ぎちゃった。そのせいで、仁人はソファーの端に座ってムスッとした顔でそっぽ向いてる。近づいて足元に座ると、より顔を俺と反対方向に向けられた。そんな反応も可愛いとか言ったら本当に嫌われそうだから言わないでおこう。うーん、このご機嫌ななめをどう対処しよっかな……あ、そうだ
佐野:あのさ、『デート』しない?
吉田:…え?
あ、やっとこっち向いてくれた
佐野:あの女の子2人組に言っておきながら出来てなかったよね笑、あ、でも31日だからなぁ、人意外と多そうだし、やっぱやめた方が
吉田:したい、!、、はっ、、
仁人は口を両手で抑えて固まった。その様子から察するに、自分の意思とは反して声が出てしまったようだ。みるみるうちに顔が真っ赤になっていったが、呟くように俺に言う
吉田:…デート、したい、かも
佐野:はぁ、、、もぉっ、!!
仁人は俺の反応に困惑してオロオロしているが、そんなの気にしている場合じゃない。こんなこと言われて冷静でいられる訳ないだろ
佐野:嫌じゃなかったたら、おいで
あぐらをかいて仁人が来るのを待つ。少しまだ不貞腐れた顔だけど、のそのそと床に座りコアラみたいに俺にしがみついて、おまけに肩に顎をのせてきた。さっきまでバチくそにキレてたのに、従順で可愛い
佐野:マジで嬉しい…でもやっぱ人混み大変だろうから、一緒に買い物行って、お家デートしよ?
吉田:……分かった……楽しみ、だな
佐野:あ”ぁっ!ほんと、可愛すぎるだろ!!
吉田´:力強っ!!離せっ!!!
数年後
吉田:っ、うん、今、ガード下
最悪だ。いつもリモートワークなのに、この人混みがえぐい週末に限って本社会議なんて。終わったはいいものの、苦しい。やっぱあいついないと、外出れん。くそ、今日は暇だよ〜とか俺が家出る前言ってたじゃん。早く、来てよ…
佐野:仁人、!ごめん、遅くなって
吉田:、っ、、遅い、、はぁ、っ
佐野:あのなぁ、こっちも忙しいの
吉田:、、ごめん、、っ、
佐野:…ぶっ
吉田:?
佐野:弱ってる時にしか純粋な仁人見れないから、からかいがいがあるな
吉田:、、、きら、いっ、
佐野:えっ?!ごめん!!まじごめん、つい可愛くて、あ、違う!いや、違わない、?
吉田:もぉ、、分かったから、っ、、早く
佐野:…うん、早く
吉田:勇斗で
佐野:仁人で
『補充させて』
END
最後まで読んで頂きありがとうございました!
最終話に収まらなかった『デート』と『数年後』は気まぐれで出す、かも、しれないです…『デート』と『数年後』の具体的内容は適当に書いたものしかないので、正直出すには及ばないんですよね、、でも、♥1500くらい頂けたら流石に考えます
それでは!
コメント
7件

ありがとうございます😭
最終話お疲れ様でした! お互いの補充になってる関係性がたまりませんでした…snさんの理性が心配でしたが、最後まで可愛いお二人が見られて最高でした! デートと数年後も楽しみにしています🥹素敵なお話をありがとうございました!
最終話ありがとうございました! 最高でした✨