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キーンコーンカーンコーンといつものように学校のチャイムが廊下に響く。友達と話す人、外で遊ぶ人、本を読んでいる人。この騒がしい学校はいつもより何故かソワソワしていた。その理由は…
「ねぇ、光莉。転校生が来るの知ってる?」
と、友達の美怜が話しかけてきた。
「転校生…?知らなかった。」
「だからみんなソワソワしてるんだよ!噂によると女の子みたい」
「へぇ〜、女の子なら話してみようかな」
「え〜光莉、男子には話しかけないの?」
「う〜ん…男子と話すの苦手だから」
その時、教室の前の扉が、ガラガラっと音を立てて開いた。その扉から先生が入ってきた。
「おし、これからホームルームを始めます…と言いたいところだが、お前らが知っている通り転校生が来ている」
先生がそう言うと周りは
「転校生ってどんな子なんだろうね」
「女子らしいよ」
「私話しかけてみようかな〜」
と、ザワついていた。先生は
「はいはい、静かに。…入っていいぞ」
そう扉に向かって声をかけると、再び扉が音を立て開き、人が入ってきた。
その途端、教室がシンっ…と静かになった。少ししたあと、誰かが呟くように
「…きれい…」
その転校生は、腰あたりまでの黒い髪に、ルビーのような大きな赤い目に、キリッとしていた。その子はとても綺麗な子だった。その子は黒板の前に立ち、口を開いた。
「初めまして、藍菜 神奈と言います。気軽に話しかけてくれると嬉しいです。これからよろしくお願いします。」
そう言い終わると、教室は拍手に包まれた。その後口を開いたのは先生だった
「えーと、じゃあ…華舞の隣に座ってくれ」
と、私の隣を指した。転校生ら頷いて私の隣の席に座った。
「よろしくね」
そう言われて
「私は華舞 光莉 こちらこそよろしくね」
そう言って前に向き直った。
放課後何気なく屋上へ行った。扉を開けるとそこには先客がいた。
「…!藍菜さん」
すると彼女はこちらに振り向いて
「あら、光莉さん。奇遇ですね」
そう微笑んで言った。風になびくストレートの長い黒髪と宝石のような赤い目が夕日で輝いていた。その姿はとても見とれてしまうほど美しかった。
「あの…藍菜さんはどうしてここに…?」
「なんだか懐かしい感じがするの」
「懐かしい感じ?…っでもここに来たのは初めてなんじゃないんですか?」
そう言うと少し困った顔をして
「ふふっ…私でも不思議なの。何故か懐かしいような、切ないような感じがするの……なんでかな」
すると彼女は手すりの上に立って。歌を歌い出した。透き通った声で力強くとても綺麗だった。
「私ねアイドルになりたいの」
「…!私と同じ!!」
「え?本当?!」
私は頷いた
「良かったら私と一緒に練習しない? 」
「いいの?」
「もちろん!!」
私は彼女に聞いた
「藍菜さんはどうしてアイドルになろうと思ったの?」
彼女は実はね…と話し出した
「私ね、自分の歌でみんなを助けたいの。困ってる人も悩んでる人も少しでも心が晴れたらなって」
そういった彼女の目はとても輝いていた。
「ところで光莉さんは?」
「私は昔、あるアイドルを見たの、その人に憧れたんだ」
「とっても素敵!!」
私たちは微笑みあって室内へ戻った。少しでも彼女仲良くなれたかな。そう思った。