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Lyric Story ~SixTONES~

Lyric Story ~SixTONES~

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セピア

♥

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2023年01月07日

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〈ストーリー〉


「ちょっとこっち向いて!」

先を行く彼女に声を掛けると、長い髪を揺らして振り返る。その爽快で明るい笑顔を、持っていたカメラに収める。カシャッと良い音がした。

「もう、何撮ってるの」

とむくれながらも、

「どんな感じ?」

カメラをのぞきこんでくる。

「かわいいよ、ほら」

その言葉に照れたようだ。「だから何言ってるのってば」

その表情もまた、愛くるしい。

いつもデートのお供に連れていく愛用の一眼レフカメラには、たくさん彼女の写真がある。

たまにはツーショットもいいかな、とレンズを向けて、肩を抱き寄せた。

「一緒に撮ろ。はい、チーズ」

またカシャッとシャッターが切られる。

見せてというので、画面を彼女に向ける。写真の中の君と僕を見て、満足げにうなずいた。

「ねえ、次はどこ行く?」

「好きなとこでいいよ。俺は付いてくから」

「いつもそれじゃん。たまにはリクエストして」

じゃあ…としばらく考えたあと口を開く。「カフェ行こう」

珍しいね、と彼女は笑った。「あんまグルメのイメージない」

「一軒だけ、気に入ってるところがあるんだ。家の近くだけど」

じゃあそこ行こ、と歩き出す。

「そのカフェって何があるの?」

「えー、ふつうにコーヒーとかケーキとか。今の季節だとイチゴもあるかな」

イチゴ、というワードに反応して振り向いた。「食べたい!」

ふふ、と抑えきれなかった笑みをこぼしながら手を取った。



「どれにしよう……」

ちょうどそのカフェでは期間限定のストロベリーフェアを開催していた。

赤い果物で埋め尽くされたメニューを前に、迷う彼女。

僕はいつものコーヒーだ。

やがてそれぞれが注文したものが運ばれてくる。彼女は、迷った末にイチゴのパフェにした。

「美味しそう」

パフェの頂上で輝くルビーみたいな宝石に負けないくらいの笑顔。

それもまた、自分のカメラで撮った。思わずこっちまでニコリとなる。

その笑顔が、ずっと見られると思っていた。

大好きな彼女の写真を、これからも残していけるはずだったのに。


続く

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