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数年後。
朝の光が、
静かな部屋へ差し込んでいた。
🦈「すちー、朝ぁ……」
ソファで丸まっていたこさめが、
眠そうな声を出す。
すちはキッチンから振り返って笑った。
🍵「もう昼だよ」
🦈「うそだぁ」
🍵「ほんと」
ふにゃふにゃ言いながら、
こさめがのそのそ起き上がる。
寝癖だらけの髪。
緩い部屋着。
まだ半分眠ってる顔。
あの頃と変わらない。
……いや。
少し違う。
前より、
よく笑うようになった。
窓辺には、
小さなオブジェが置かれている
数年前、
約束していた水族館で、
二人で買ったクラゲのオブジェ。
本物の水族館にも、
ちゃんと行けた。
すちは生きている。
あれほど弱っていた身体が嘘みたいに、
今では普通に歩ける。
料理だってできるし、
買い物にも行ける。
奇跡みたいな日常。
でもその奇跡の代わりに。
こさめは、
たくさんのものを失った。
昔の記憶は、
ほとんど戻らなかった。
学生時代のこと。
すちと出会った日のこと。
恋をした過程。
思い出せないことの方が多い。
だから今でも時々、
不安そうな顔をする。
🦈「……ねぇすち」
🍵「ん?」
🦈「こさめ、昔のこと全然覚えてないじゃん」
すちは少しだけ手を止める。
こさめはクッションを抱えながら、
小さく眉を下げた。
🦈「なのにさ」
🍵「うん」
🦈「なんでこんなにも、すちのこと好きなんだろ」
その瞬間。
すちの呼吸が止まりそうになる。
こさめは真剣だった。
本当に不思議そうに、
でも少し照れたみたいに笑っている。
🦈「毎日好き更新されるんだけど」
🍵「……っ」
すちは思わず顔を覆った。
🦈「え、なに!? なんで隠すの!」
🍵「……かわいすぎるから無理」
🦈「はぁ!?」
こさめがけらけら笑う。
その声を聞きながら、
すちは静かに思う。
忘れても。
思い出がなくても。
こさめはまた、
自分を好きになってくれた。
それが嬉しくて。
苦しくて。
どうしようもなく愛しかった。
すちはそっと、
こさめの左手を握る。
するとこさめは自然に指を絡めてきた。
まるで、
ずっと前からそうしてきたみたいに。
『君に生きてほしいから』end
これにて完結です‥!
ここまで読んでくださってありがとうございます。
これからは一応番外編的なのを用意しているので、そちらを投稿する予定です
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