テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
41
817
22「ごめんね」のあたりからの
🦈様が寿命を渡さなかった場合の物語です
🦈「……ごめんね」
こさめは泣きながら笑った。
でも。
その手は、
端末へ伸びなかった。
震える指を、
ぎゅっと自分で握り締める。
使いたい。
今すぐ渡したい。
そうすれば、
すちは少し楽になるかもしれない。
また笑ってくれるかもしれない。
でも。
『俺、こさめちゃんに残ってほしい』
その言葉が、
頭から離れない。
🦈「……っ」
こさめは唇を噛む。
怖い。
失うのが。
すちを失うのも。
自分が自分じゃなくなるのも。
全部怖かった。
すちは苦しそうに呼吸を整えながら、
こさめを見上げる。
その目は、
泣きそうなくらい優しかった。
🍵「……ありがとう」
掠れた声。
こさめが目を見開く。
🦈「え……」
🍵「こんな俺のために何度も寿命を渡そうとしてくれて、」
🍵「今も‥我慢してくれて」
その瞬間。
こさめの涙がぼろぼろ溢れた。
🦈「我慢なんかしたくないよぉ……」
子どもみたいに泣く。
🦈「こさめ、すち助けたいもん……」
🦈「苦しそうなのやだもん……」
すちは弱々しく笑った。
🍵「うん」
🦈「でも」
震える手で、
こさめは端末を胸へ抱き締める。
🦈「こさめのこと覚えててほしいって言ったの、すちだし……」
その声があまりにも苦しくて、
すちは静かに目を伏せた。
本当は。
こんな選択、
させたくなかった。
自分がもっと強ければ。
もっと長く生きられれば。
こさめは、
泣かなくて済んだのに。
🍵「……こさめちゃん」
すちはゆっくり手を伸ばす。
こさめの頬に触れる。
冷たい涙。
🍵「えらいね」
その瞬間。
こさめは耐えきれなくなって、
すちへ抱きついた。
🦈「えらくない……っ」
ぐしゃぐしゃの声。
🦈「こさめ、ほんとはいっぱい渡したい……」
すちは細い腕で、
そっと抱き締め返す。
弱い力。
でも優しい温度。
🦈「……うん」
🦈「でも、すちが悲しい顔するから……」
その言葉に、
すちの胸が痛む。
こさめは泣きながら、
すちの服を握り締めた。
🦈「だから、がまんする……」