attention
青黒
エセ関西弁有
誤字脱字あったらごめんなさい
通報×
ご本人様には関係ありません
ふわりと宙を舞う彼が美しい
「どうなってんねん、ここ」
彼がそう呟くのも可笑しくない
それ程、ここは荒れていた
「さっさと終わらせるでっ!」
言い終わるや否や敵は切られ、動かない
刀を鞘に仕舞う音が聞こえた
「帰ろか、“まろ”」
突然名前を呼ばれて驚く
そうか、もう終わったのか
仕事が早いなぁ
「そだね、“悠佑”」
久し振りに名前を読んだからだろうか
彼の顔は真っ赤で
それが何とも愛おしい
「っ/// はよいくでっ!」
先程まで刀を振るっていた掌は、俺の手を握っている
嬉しくて、思わず強く握り返した
「あ、お帰り〜!」
見慣れたドアをガラガラと開ける
待ち構えていたようにお帰りを告げる男
頭髪は珍しい桃色である
「ないこ、お茶」
ぶっきら棒に呟く
「俺はお茶じゃありませ〜ん」
なんやねんこいつ
こちとら戦い帰りで疲れとんのやぞ
「落ち着けって…二人共…
俺がお茶注ぐからなっ!
これで解決やろっ!」
「「それは駄目!!」」
「ええ〜…?」
彼に無理は絶対にさせたくない
その気持ちは彼奴も同じだったようで
そのまま台所へ向かっていった
「ないこと仲良くせえよ」
「いや、別に仲悪いわけじゃないし」
「ほんまか…?」
訝しげな顔で見つめてくる彼の視線から顔を逸らす
「お待たせっ」
ことり
机に置かれる湯呑と皿
皿の上にはみたらし団子が置かれていた
「ん〜っ!美味いなぁ〜」
一足先に食べ始めた彼が幸せそうな顔で言い放つ
「でしょでしょ!」
そう言われて嬉しそうなないこ
軽く嫉妬してしまう
俺の方が彼のこと、好きなのに……
そんな考えは胸の中に隠した
ごくごくとお茶を飲み干す
喉が熱くなる
「あにき、行こ」
今すぐ彼を抱き締めたい
この胸に蔓延る微かな不安を否定して、消し去ってほしい
そんな心から、帰りを少し急かす
「え?そんな急がんくっても…」
「いいから。行こう。」
「わ、分かった…
ほんじゃな!ないこ!」
「うん!ばいば〜い!」
「まろ…?どしたん?そんな急い、」
ぎゅっ
彼を引き寄せ、抱き締める
「あにきはっ…ないこの方が好きっ?」
自分でも中々に面倒臭い性格だなぁとは承知している
それでも、不安を少しでも拭い去ってほしくて
「ないこも好きやよ
でも、それは恋愛感情じゃない
まろのことは愛しとーよ」
彼の愛してるよ、その言葉で一気に心が明るくなる
嬉しくて何だか擽ったくて
この愛をもっと確かめたくて
「あにき…」
接吻をする
舌を絡める
もっと、もっと、もっと…
彼の手を俺の手で壁に縫い付ける
酸素が足りないのか、目尻に涙を溜める君が何とも可愛らしくて愛おしい
唇を離してやると、肩で息をする彼
「まろっ…///」
彼の手を取って寝室まで向かう…
筈だった
コンコン
響くノック音
「っ/// はぁい!」
その音で魔法が解けてしまった
顔の火照りを冷ましながら扉へと向かう彼
訪問者に怒りと少々の殺意を覚えながら俺も彼のもとへと向かった
「おっ!まろちゃん!」
屈託なく笑う彼
その笑みに多少の暗黒さを感じるのは俺だけなのだろうか
「依頼しに来たで!」
俺や彼と同じ関西出身の白髪
肩には謎の兎を乗せている其奴
名前は初兎
簡単に言えば闇の方の住人であった
「今晩、此奴殺してほしいねん」
先程までのへらりとした様子が嘘のように、真剣な様子で写真を指差す初兎
「強盗に殺人未遂……」
それを見つめながら唸る彼
初兎が殺してほしいと頼むのは、決まって罪人
それもたちが悪いものばかり
「金は…これくらいでどうや?」
提示してきた額はかなりのもの
かなり若い見た目をしているのに、何処からそんな大金を仕入れてきているのか謎に満ちている
まぁ、俺らにとってはどうでもいい
「金なんていらへんわ」
真っ直ぐ言い放つ彼
「毎回毎回それやね
ちょっとは欲張ってもええと思うんやけどなぁ……」
少し残念そうな表情を浮かべるが直ぐに戻す
「ま、ええわ
てなわけで宜しゅうなぁ!
金は幾らか振り込んどくわっ!」
それだけを言い残し、駆けていった初兎
今晩って……
くそがっ…!!
「まろ、準備しとこーなぁっ!」
そう言って羽織を羽織る彼
漆黒の布地に映える金色の刺繍
腰につけた刀の鞘がきらりと光る
「…そうだね」
また明日…そう明日がある
そう自分に言い聞かせ、俺も刀を準備した
コメント
1件
コメント失礼しますm(_ _)m なんか言葉に表せないんですけど最高でした!! フォロー失礼します。