夏の 暑いある日。
『君』は突然言ったんだ。
『 楽しかったよ 』
その あっけらかんとした顔と 声で
冗談でも言ってるのか 、と思い
軽く流した。
「 楽しかった 、ってなに (笑 転校でもするの? 」
「 まぁ 、 俺らはうるさいのがいなくなって」
「 スッキリするけど (笑 」
こう言ったのが いけなかったのか、
『君』は 、数日後 学校に来なくなった。
俺は 、 「きっと 自分のせいだ。」と、
罪悪感に押し潰されそうになりながら
生暖かい風が吹く 隣を見ていた。
クラスの皆んなは 、 『君』が居なくても
普段通り 、 過ごしていた。
正直 、俺は『君』が居ないと つまらないんだ。
馬鹿やって 、先輩に怒られて それで 、
チャイムがなった 、 もう授業は終わっていたみたいだ。
ヤバい 、 … バカ2人かぁ…
北さんはな… ダメだ 2時間説教コースしか見えない
やっぱり 『君』が居ないと調子が狂うな…
… 会いたいし 会わなきゃいけない気がするけれど、
学校行けなくなった原因に 「学校行け」って言われてもだし。
また始まった。
今日 『君』は学校に来ているかな。
今日 『君』に会いたい。
そんな事しか考えてない頭に
一つ 入ってきた。
《~~で 、最近~~~。》
母さんが 何時も見ているニュースだ。
ふーん。 やっぱり 物価上がって来てるんだ。
《次のニュースです。》
《○○県○○地区 16歳の女の子が》
《自殺しました。》
『自殺』 ニュースではよく聴く言葉だ。
でも 、なぜか 今は 、
ドンッと 、現実を見せられたかのような
絶望感を感じた。
「大丈夫。」
母さんにはそう言ったが 、
正直 今も感覚が残っている。
あの言葉を聴いた時 、 一番最初に思い浮かんだ
人が 、
『君』 だった。
授業中 、 今日も余り集中出来ない。
この心のモヤモヤは きっと 『君』に会わなくちゃ
消えない。
今の俺は 、 きっと自分の事しか考えてなかった。
前は 、都合のいい 言葉を並べていた癖に。
「 お邪魔します。 」
… 返事が返ってこない … 、
今の俺に 『そのまま帰る・待つ』なんて選択肢は無かった。
早足で部屋に上がった。
鍵は掛かっていたが 、 合鍵を持っていたから
勝手に上がった。
「 ねぇ … 」
『 … 』
「 最近 学校来れてないよね。 」
「 … 前の怒ってるなら謝るから 、 ごめん。 」
『君』は 黙りこくったまま 、
立ち上がった。
『 ねぇ 』
「… なに 。」
『外行こう?』
「 … うん」
嬉しかった。 何時も『君』と通った道を
もう一度歩けるという事が。
嬉しかった。 また『君』と 手の触れそうな位の距離で 話せる事が。
俺のそんな幸福はものの数分で壊された。
「 ふ 、みきり … ?」
『そうだよ 。』
踏切って … ニュースで 、…
『ねぇ 、私さ ██君の事 好きなんだ。』
『 ██君は 、?』
「 お 、俺も好きだよ 」
『そっか 、 ██君ならそう言ってくれると』
『思った。』
『君』は 俺の手を引っ張って
踏切へと 飛び出した。
踏切をバックに『君』は 、
君は …
君は 、…
、 君って誰だっけ。
白いベットから見える 、
綺麗な青い空に 、 そんな
独り言は 消えて行った。
《○○地区 『氷水 紗菜』さんは 、全身を強く打って 、 亡くなって居ました。》
《その 『氷水 紗菜』さんと 共に倒れていた
「角名 倫太郎」さんは 、 頭を強く打ち 、 … 》
コメント
4件
ここに感想書いてなかった、 表現の仕方や書き方が素敵でめちゃ魅入っちゃったよ✨️✨️ 書くのめちゃ上手すぎてすごいしか言葉が出ない
うっふぁんッ(?)うぁぁ!!切ないよぉ😭読み終わったとき心がギュってなったよぉ(泣) でもめっちゃよかった!小説の書き方めっちゃ好き💕