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朝。ロンドンの空はどこまでも曇天だった。イギリスはコートを羽織りながら、カップから立ち昇る紅茶の香りに目を細める。
そこへ――玄関のドアがノックもせずに開いた。
フランス「グッモーニン、イギリス。相変わらず陰気な天気だなぁ」
イギリス「……フランス、せめてノックという文化くらいは学んでください」
フランス「僕たち恋人でしょ? 恋人にノックはいらなくない?」
イギリス「ふざけないでください。勝手に上がり込むのと恋人関係は、全くの別問題です」
イギリスは紅茶を一口含んでから、フランスにチラリと目をやった。
フランスはキッチンへ行き、自分用のマグを勝手に取り出しながら尋ねた。
フランス「今日の紅茶はアールグレイ?」
イギリス「いいえ。……少し香りの強いダージリンです。」
フランス「それって、僕の好きな紅茶…へぇー?」
イギリス「あなたの好みに寄せたわけではありません。たまたまです」
フランス「でも、それって僕の好きな香りだよね?」
イギリス「ですから、“たまたま”だと言っているでしょう」
フランスはにこにこと微笑みながらイギリスの隣に腰を下ろし、まるで当たり前のように膝に触れた。
イギリスは一瞬、びくりと反応したが、振り払うことはなかった。
フランス「そういえばさぁ、この前のこと覚えてる?」ニヤニヤ
イギリス「っ……知らないです。あなたの話は大体、ろくな内容じゃありません」
フランス「嘘だ、ちゃんと君、僕の名前呼んだじゃない。『フランス……♡』って、すっごく甘い声で――」
イギリス「――黙ってください。殺しますよ」
イギリスは耳まで真っ赤にしながらカップで口元を隠した。
その仕草がフランスにはたまらなく愛おしかった。
しばしの沈黙。
雨の音だけが、静かに窓を叩いている。
イギリスは、ちらりとフランスのマグを見た。
イギリス「……あの」
フランス「うん?」
イギリス「ミルク、入れすぎです。紅茶が死んでます」
フランス「愛の味にはこれくらいのミルクがちょうどいいんだよ」
イギリス「バカじゃないんですか。……ほんとに、」
イギリスはそこで口をつぐみ、フランスに背を向けた。
イギリス「……ほんとに、あなたって人は……どうしようもなく、面倒で、うるさくて、馴れ馴れしくて……」
フランス「でも?」
イギリス「……嫌いじゃありません」
フランスは一瞬黙った後、にやけた顔でイギリスの背中を抱きしめる。
フランス「イギリス……今、それデレってことでいい?」
イギリス「違います。……たまには、勘違いさせておいた方が静かかと思っただけです」
フランス「……そういうとこが、世界で一番かわいいよ、君は…やっぱり抱きなおそうか?」
イギリス「ふざけてると、また紅茶ぶっかけますよ」
終わり!
急ですけど、ヘタリア可愛すぎる件について語らせてもらいます。アーサーが可愛すぎます。なんであんな素晴らしい形態が産まれてくるのでしょうか。以上です。終わります。ではまた!