幸せだと感じるとあっという間に時間がすぎて家に着いた。荷台にのせてある荷物に手をかけると、いつの間にか春千夜くんに取れていた。その後ろ姿はすごくかっこよくてこの人と居れて幸せだな。なんてずっと惚気けていると春千夜くんが惚気けている俺を迎えに来た。無言で腕を掴まれ玄関に着いた。掴んでいた腕を離して俺と向かい合わせになった。相変わらずかっこいい顔してるなと思っていると抱きしめられた。小声で「おかえり」と言ってきた。1ヶ月前も必ず抱きしめて「おかえり」って言ってくれてたな。「ただいま」って抱きしめ返さないといつも離してくれなかったっけ?俺の恋人世界一可愛い!「ただいま」と声をかけると照れくさそうにリビングに荷物を運んでくれた。あとを追うように俺もリビングにむかった。
春千夜「今日は俺が飯作る。」
武道「やったー!久しぶりに春千夜くんの手料理だ。」
春千夜「ゆっくりしてて。」
武道「うん。ありがとう。」
手を洗いに行った時気づいたことがあった。朝はなかったものが洗面所に置かれていた。春千夜くんがよく使っていたヘアオイルにワックス。見慣れない洗顔用の石鹸に乳液や化粧水など。全て新品の物だった。俺はそもそもこんなもの使わないしさっき買った覚えもない。という事は、春千夜くんが家に戻ってきたってことだよね。また一緒に住むってことだよね。いや、俺の間違いかもしれない。とりあえず夜ご飯の時に聞こう。
春千夜「そろそろ出来るから」
さっき帰ってきて俺手洗い行っただけなのにもうできるの?と思ってしまった。確かに手際もいいし頭もいいからなんでも上手に出来るんだよね。きっと仕事も早いんだろうな。急な残業はあるけどその日は必ず連絡してくれる。比較的家で俺の帰りを待っててくれる方が多い。
春千夜「出来たよ。」
武道「お疲れ様。ありがとっ。」
春千夜くんが作ってくれたご飯を食べ終えて食器を片している時。コップの棚に2人で買ったお揃いのマグカップがあった。片方春千夜くんが1ヶ月前に居なくなった時に持ってちゃって無かったけど戻っていた。それを見て俺は勇気をだして聞いてみた。
武道「春千夜くん。あの…」
春千夜「どうした。」
武道「家に春千夜くんの荷物があったからさ。いや、勘違いだったらアレなんだけどね。もしかしたらって思ってさ。」
春千夜「はっきり言えよ。」
武道「うん。春千夜くん戻ってきてくれるの…」
春千夜「戻ってくるも何も、俺の居場所はお前の隣だろ。」
武道「うん。」
勘違いじゃなかった。春千夜くんの顔を見ると茹でダコのように赤くなってた。
春千夜「何見てんだよ。」
武道「かっこいいなって思って。」
春千夜「あっそ。風呂入るぞ。」
そう言うと照れながら俺をお風呂に誘ってきた。なんでも器用にできる君でもこういう事は不器用なんだと考えるとより愛おしくなった。
こんな幸せな時間がずっと続くって。
そう思ってたんだ。
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