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#異世界転移
花月夜れん
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ユキ
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第二十二話 それぞれの進む道
「同じ場所にいることだけが、繋がっている証じゃない。」
二月。
冬はまだ続いていた。
朝の空気は冷たい。
吐く息は白い。
でも、少しずつ日が長くなっていることに気づく。
春は近づいていた。
「もうすぐ進路の話増えるね。」
昼休み。
美桜が言った。
その言葉に、教室の空気が少し変わる。
高校生活。
楽しい時間。
でも、誰もが
少しずつ未来を考え始める時期だった。
「蓮は?」
美桜が聞く。
「俺?」
「進路。」
「まだ考え中。」
蓮は笑う。
「でも、やりたいことは探してる。」
「そっか。」
湊はその会話を聞きながら、
自分のことを考えていた。
*
放課後。
写真部の部室。
湊は一人で写真を整理していた。
最近、よく考える。
自分は何をしたいのか。
写真は好き。
でも。
写真家になりたいのか。
それとも。
ただ大切な時間を残したいだけなのか。
答えはまだ分からなかった。
「悩んでる顔してる。」
声がする。
紬だった。
「朝比奈。」
「進路?」
湊は少し驚く。
「分かる?」
「分かるよ。」
紬は笑う。
「神崎くん、考えてる時すぐ黙るから。」
「そんなに?」
「うん。」
「写真より分かりやすい。」
湊は少し笑った。
*
「私はね。」
紬が窓の外を見る。
「海外に行ったら、もっといろんな人の写真を撮りたい。」
「景色だけじゃなくて。」
「その人の人生が分かる写真。」
湊は聞いていた。
紬の言葉には迷いが少なくなっていた。
昔。
写真を見ることが怖かった少女。
今は。
写真で誰かを残したいと思っている。
「朝比奈は、もう決まってるね。」
「うん。」
紬は笑う。
「怖いけど。」
「進みたい。」
その姿を見て。
湊は思った。
自分も、探さなければいけない。
*
数日後。
先生との面談。
「神崎は、何か興味があるものはあるか?」
湊は少し考える。
昔なら。
何も答えられなかったかもしれない。
でも今は。
「人の記憶や思い出を残すことに興味があります。」
先生が少し驚く。
「写真?」
「はい。」
「でも、それだけじゃなくて。」
湊は続ける。
「人が大切にしているものを知ることに興味があります。」
言葉にして初めて気づいた。
自分が惹かれていたもの。
写真そのものだけじゃない。
写真に写る人の想いだった。
*
帰り道。
湊は紬に話した。
「少しだけ、やりたいこと見えたかも。」
紬が嬉しそうに笑う。
「本当?」
「うん。」
「何?」
湊は空を見る。
「まだはっきりは決まってない。」
「でも。」
「人の大切な瞬間を残すことを続けたい。」
紬は頷いた。
「神崎くんらしい。」
またその言葉。
でも。
今は嬉しかった。
*
夕暮れ。
二人は駅前で立ち止まる。
「ねえ。」
紬が言う。
「もし未来が変わっても。」
「写真は続けてね。」
湊は頷く。
「朝比奈も。」
「写真、続けて。」
「うん。」
約束。
それは離れないためのものじゃない。
それぞれが進むためのものだった。
📷 Photo.022『それぞれの未来』
撮影日:2月14日
同じ道を歩けなくても。
同じ景色を見ることはできる。
コメント
4件
ほんとですか!ならよかったです! そうなんですよね!このお話の全体のテーマでもありますね! たとえどれだけ離れててもみんな同じ地球に住んでるんだし、絶対どっかで繋がってるんですよね! そうなんですよね、、 紬も湊と一緒に成長していってますよね! 2人の成長もこれからの未来も温かく見守ってもらえたら嬉しいなって思ってます! ありがとうございます!
第28話、読了しました。進路という「未来」を前に、湊くんが自分の言葉で「人の大切な瞬間を残すこと」と気づけた場面、とても良かったです。昔は写真を見ることすら怖がっていた紬が「進みたい」と言い切るところも、彼女の変化が感じられて心に響きました。最後の「同じ道を歩けなくても、同じ景色を見ることはできる」というフレーズ、静かな余韻が残る終わり方で、この作品の好きなところです。