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零の周囲に不気味な静けさが漂う中、彼の背後から黒い影が蠢き始めた。それは巨大な蟷螂(カマキリ)のような形をしており、鋭い鎌のような前肢を振り上げている。
「な…なんだ、あれは…?」
南無が床に倒れたまま呟く。
零は余裕の笑みを浮かべながら答えた。
「これが俺のストックした異能、『蟷螂』の力だよ。異能者の能力を再現するだけじゃない。俺は自分流に進化させるんだ。」
巨大な蟷螂の影が零の背後で形を整え、まるで生き物のように動き出す。その鎌は壁を軽々と切り裂き、粉々にした。
教皇はその様子を見つめ、冷静に立ち上がった。
「零…君がどれほどの力を持とうとも、私たちは屈しない。」
零はその言葉に小さく笑い、蟷螂の影を指で操る。
「そうかい?なら、試してみればいい。君たちがどこまで耐えられるか。」
蟷螂の影が前進し、その巨大な鎌が渋谷に襲いかかる。
「くそっ…!」
渋谷は咄嗟に身を翻し、辛うじてその攻撃をかわした。しかし、影の鎌は壁を砕き、部屋全体を震わせた。
「こうなったら、異能に頼らずやるしかねえ!」
南無が立ち上がり、拳を握りしめる。
「南無!」
法師が叫ぶが、南無は構わず蟷螂の影に向かって突進した。
蟷螂の鎌が彼を迎え撃つように振り下ろされる。しかし、その瞬間、港がワイヤーを使って鎌を絡め取った。
「異能が使えなくても、俺たちは戦える!」
港が叫び、石動が素早く続く。
「零を狙え!」
石動は地面を滑るように走りながら、零の足元に爆薬を投げつけた。それが炸裂し、零のバランスが一瞬崩れる。
だが、零は笑みを浮かべたまま蟷螂の影を操り、狩り手たちを押し返す。
「面白いね。君たちがどれだけ足掻こうが、俺の力には届かない。」
蟷螂の鎌が再び振り下ろされ、狩り手たちは次々と追い詰められる。
「くそ…!どうすりゃいいんだ…!」
渋谷が叫ぶ中、教皇が一歩前に出た。
「私に任せろ。」
教皇は零の目を真っ直ぐに見つめた。
「零、君は自分の力に酔いしれている。しかし、その力は君自身を滅ぼすだろう。」
零は笑いながら教皇に近づく。
「それで?君が俺に何をするつもりなんだ?」
教皇は静かに目を閉じ、何かを唱え始めた。その瞬間、部屋全体に不思議な光が広がり、蟷螂の影が一瞬動きを止める。
「これは…?」零が僅かに眉を寄せる。
「君の力を止めることはできなくとも、その一瞬の隙を作ることはできる。」
教皇の言葉に応じ、狩り手たちは再び立ち上がり、零に向かって突進していく。