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プレゼントのお返しをしたい。そう思ったのは、あのクッキーを受け取った次の日のことだった。
独「なあ、イギリス。少し時間をくれないか」
昼休みの屋上。紅茶をすすっていたイギリスが、珍しく真面目な顔をしたドイツに視線を向けた。
英「……お返しというのは、イタリアさんへのことですか?」
独「ああ。彼が用意してくれたクッキーは、どこか懐かしい味がしたんだ。……子どもの頃に似たようなのを食べた気がしてな」
ドイツの言葉に、イギリスは小さく笑った。
英「なるほど、そういうことでしたか。で、何を用意するおつもりなんです?」
独「……実は、あいつと子どもの頃に会ったことがあるんだ。場所はたぶん、今も残ってるひまわり畑。そこにもう一度、連れて行ってやりたい」
イギリスは目を丸くしたあと、ふっと優しく微笑んだ。
英「ずいぶんとロマンチックな計画ですね。良いと思いますよ。協力させていただきます」
仏「イギリース!今日のお弁当、ボクの分も一緒に作ってくれたの〜?すっごく美味しかったよ!」
英「……あなたがご自分で作ると仰っていたのではありませんか?」
伊「えへへ、でもドイツの分はちゃんと作ってきたから!」
イタリアが明るく笑いながらカバンから包みを取り出すと、ドイツがタイミングを見計らって声をかける。
独「イタリア、今日は付き合ってほしい場所がある。……少し遠出になるが、時間はあるか?」
伊「え?もちろんあるよ!ドイツとなら、どこでも行きたいなんね!」
イギリスとフランスが目を合わせて、にやりと笑った。
英「では、我々はここまでですね。あとはおふたりで、どうぞ」
電車に揺られ、車窓の景色が徐々に開けていく。
伊「……ねぇ、ドイツ。今日行くところって、もしかして……」
イタリアがぽつりとつぶやいた。
降りた駅からしばらく歩き、見えてきたのは――
黄金色に染まった一面のひまわり畑だった。