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ゆきのはな

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7.【揺れる尻尾】

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2023年09月19日

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「ちっ、どこ行きやがった」


ガサガサといくつかの足音が近付く。

おそらく3人ほど。

そして声も近付いてくる。


「この辺隠れてんじゃねぇか?」


男の声。

更にこちらに近寄ってくる。


ガサッガサッと雑草を踏みしめる音が徐々に近付く。

木の裏に隠れる2人は更に身を縮こまらせ、ギュッと密着する。


「…いねーな」


息を止め、遠ざかるのを待つ。

どうやらグルグル眼鏡が追われているらしい。


ガサッ


すぐ近くで足音が鳴った。


…いざとなったらこいつを差し出して私だけ逃げる。


覚悟して息を潜めていた時、隣の木からボトッと何かが落ちてきた。


…落ちてきたのはケムッソ。


「うおっ、きもちわるっ」


ガサガサと足早に足音が遠ざかり、次第に人の気配も無くなっていった。



「………」

「んー」


もういいだろうとチーノを睨み上げながら塞がれたままの口から「離せ」と声を出す。


パッと口から手を離され、体も離れていく。


「人のこと巻き込まないでくれる?」

「お前が最悪のタイミングで現れるからやろ」

「知るか。まーた人のこと騙して反感買ったんだろ」


パッパッと木屑を払いながら冷たく吐き捨てれば、フンと鼻を鳴らして男たちが去っていった方を睨む。


「勘違いする馬鹿ばっかで困るわ」


何やらお困りの様子だが、自業自得だろ。

私には関係ないことだ、と背を向ける。

それにこれ以上ライバルと同じ空気を吸いたくない。


「いいか、二度と巻き込むなよ」

「勝手に巻き込まれたくせに」

「…っ、あの場で騒ぎ出しても良かったものを黙ってやってたことを感謝しろよなハゲ!」

「ハゲてへんわ」


青筋を立てながら雪乃はその場を立ち去る。


来た道を戻り、炊事場まで帰ってくる。



「あ、来た!雪乃ちゃんヘルプ!」


こちらを振り返ったシャオロンが必死の形相で雪乃を呼んだ。


「ちょっとあんた、どこ行ってたの?!」


その場にいた美希もこちらに気付き声を上げる。


やっべ怒られる。


「あ、ごめん顔洗ってて」

「サボったらご飯抜きって言ったでしょ」

「ごめんて」


そんな事より、と美希は炊事場のカレー鍋を指差す。


「あれどうにかして!」


指差された先にあるカレー鍋を、グルグルとかき混ぜるのは、コネシマ。

何だか変な煙が上がっている気がする。


「何があったの?」


「この人達と一緒に作ってたんだけど、変なものばかり入れるの!もうこのカレーは終わりよ!」


「すまんうちのコネシマが暴走して…もう誰も止められへんのや!」


カレー作りってそんな狂気めいた感じだっけ?


シャオロンと美希が「終わったぁぁぁ」と嘆いている中、雪乃は鍋に近づき中を覗き込む。


…変な色してる。匂いも変。


「おう!鬱先生の彼女!どうや俺の作ったカレーは!」


コネシマが意気揚々と聞いてくる。

何故得意気なんだろう。


「…何入れたんですか?」


「ん?普通に野菜と肉と隠し味にコーラとグミとプロテインとクエン酸とその辺に生えてた雑草と…」


「おーなるほど」


終わってんな。


「頼む雪乃ちゃん!もう誰もリカバリー出来へんのや!何とかしてくれ!」


「私も料理とかしたことないし、あんたサボってた分貢献しなさいよ!」


「私を料理研究家か何かと勘違いされてます?」


ここからのリカバリープロでもむずいぞ。

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