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その日の夜、春海は自分の部屋のクローゼットの中に、家にある分の猫用品などを集めて隠した。幸い、母の家族が昔に猫を飼っていたことがあり、その時の猫用具を物置に置いてあったという。とりあえず今日は、拾ってきた子猫をそのままクローゼットの中に入れて、細かい物は明日揃えることにした。
結局、家に帰ってからは映画を見ることはできなかったけど、映画はいつでも見ることはできるし、何よりこの猫の命を最優先に考えた春海なのであった。
そして、翌日。
「お母さん、私ちょっと買い物に行ってくるけど、今日はどこかに行く予定はある?」
「夕方は夏海を塾に送らなきゃだけど、夜には帰ってくるわよ」
これは猫用資材を一気に買い揃えるチャンスだ。今はまだ昼過ぎ。春海は走って、ホームセンターに向かった。家からホームセンターまでは歩いてでも行ける距離だから、荷物の重さだけを考えれば1人でも行ける。
10分くらい歩けば、目の前にホームセンターが見えてきた。
春海は中に入ると、真っ先に細かい猫用品の所に向かった。そこで、色々な猫に必要なものを買いそろえる。色々買い過ぎてしまったが、春海が帰ってきた後の、子猫の様子を想像することで少しばかりお釣りが来た。
「おーい」
背後から聞き覚えのある声がした。振り向くと、そこには颯馬が立っていた。
「お前、今から帰るんだろ?その荷物、俺が持つよ」
「でも、颯馬君は今大丈夫なの?一人だし」
「どうってことない。むしろ、俺も丁度たまたまここを通りかかったとこだし」
「…ありがと」
あれから、颯馬にも少し手伝ってもらって、何とか春海の部屋のクローゼットに全部を押し込むことができた。