タングルド

「焼き加減はこれでいい？それともガッツリ焼いた方が？」

「うん、ちょうどいい」

目の前の皿に焼き過ぎずそれでいて火がきっちりと通っているカルビが賢一が操るトングから落とされる。

サンチュにエゴマの葉、ナムルをのせその上に今焼き上がったカルビをのせると中の具を包み込むように丸めて頬張る。

エゴマの葉の風味と甘辛のタレ、そして油の多い肉がナムルで中和されいくつでも食べられそうだ。

「美味しい〜」

思わず頬が落ちそうで手で抑える

「ここの焼肉は絶品なんだよ、特にデジカルビは一番のおすすめ」

そう言うとトングと鋏を器用に使って豚バラ肉をチョキチョキと切っていく。

「至れり尽くせりなのね」

「一家に一人は欲しくなっただろ？」

そんなことを言いながらも手は休まずに動き続ける。

「仕事ができる男は肉を焼くのもうまいのね」

「褒めてもらえて嬉しいけど、店のチョイスは失敗だったかもな。折角、雪がセクシーな格好していたのに」

「別に、焼肉は久しぶりだし好きだし、自動で食べごろになるし」

確かに最初からお泊まりが前提だったから、かしこまった所だったりしたら緊張するし、お酒がメインだと前回のように飲んだ勢いみたいになりそうだし、私がグルグルと考え込んでしまうのを先回りで解されてしまっているみたい。

でも、それが心地いい。