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焼肉店を出てタクシーを拾うために大通りに抜ける道を二人で並んで歩いている。
至れり尽くせりの上にたくさんの野菜と共に食べるデジカルビが豚ということもあって罪悪感を柔げてしまうためついつい食べ過ぎてしまった。
泊まるということは賢一と・・・
そう思うと急に恥ずかしくなって、何を話せば良いのか分からなくなった。
私って、こんなに恋愛下手だったんだ。
「雪?」
名前を呼ばれて慌てて顔を上げると賢一の頭上に街頭のライトがイケメンオーラに拍車がかかって見惚れて固まっていると、一瞬触れるだけのキスを落とされ現実に引き戻された。
「今から俺の部屋にお持ち帰りしようと思ってるけど、いい?」
「たいしたものではありませんが、お土産にどうぞ」
「どこかに忘れるといけないからしっかり手に持っていきます」
そう言うと賢一は「ふっ」と笑ってから私の手を握り手の甲に軽く唇を当ててから歩き出すと、ちょうど空車タクシーが走ってきた。