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朝の喧騒が教室に満ちるHR前
いつものように鞄を肩に提げた僕は、窓際の自分の席に向かおうとした。
途中でふと目に飛び込んだのは、天馬くんの席で輪になっている男子たちの姿だった。
天馬くんを中心に
彼とよく一緒にいる騒がしいムードメーカーな須藤くんと少し大人びた雰囲気の加賀くん。
三人はテーブル越しに小さな菓子箱のようなものを囲んでいる。
「おう、水瀬」
僕に気づいた天馬くんが爽やかに声をかけてくれる。
それに釣られるように、残りの二人もパッと視線を向けてくる。
慣れない注目に戸惑いながらも
「お、おはよう……」と小さな声で返した。
「あっ!ちょうどいいとこ来た!」
須藤くんがニヤリとしながら箱を僕の方へ押しやってくる。
「えっ、な、なに?」
「今さー、ロシアンキャンディーやってんの!普通の甘いのが5個と、甘さの後に超辛いのが1個入ってるやつ!」
箱の中には色とりどりの可愛い飴玉が数個。
丸みを帯びた包装紙がかすかな光を反射している。
「……ろ、ロシアン?」
思わず聞き返す。
そんな遊びやったことない。
けれど須藤くんは自信満々で続けた。
「そ!俺と加賀はもう食べた。甘いやつばっかりだったけど。で、残りはこれ一個と天馬用の一個。ってことで……水瀬も食ってみ?」
「えっ?」
天馬くんは「水瀬、無理しなくても」と言いかけて、須藤くんに「天馬は黙ってて」と遮られてしまった。
そして、金魚鉢のような瞳で僕を見つめる須藤くんと目が合い
「い……いいよ」と頷いてしまった。
手のひらサイズの箱から赤い包みの飴玉が一つ取り出され、僕の前に差し出される。
それを恐る恐る摘み取ると、指先がじんわりと温かい。
「いただきます……」
飴を舌に乗せた瞬間――甘い。
まるで果物園を彷彿とさせる瑞々しい甘さが広がった。
目を閉じて楽しんでしまうほど美味しい。
「おいしい……」
思わず呟いたその時
天馬くんが「よかった。水瀬辛いの当たったらのたうち回りそうだもんな」とからかい混じりの声を上げる。
けれど、数秒後────
ぴりりとした刺激が舌先に走る。
(あっ……)
次の瞬間、脳裏に閃光が走った。
まるで炎を飲み込んだかのような灼熱感が口全体を支配する。
「……っ!?」
声にならない悲鳴が喉を詰まらせた。
視界が白く霞む。
涙がじわりと浮かんでくる。
「ええっ!?マジ!?」
須藤くんが椅子を蹴倒さんばかりの勢いで立ち上がる。
「すげぇタイミングで当たり引いたな!」
加賀くんが冷静に言った瞬間
「ちょっ…それどころじゃないって!大丈夫?!」
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#シリアス