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ここはどこ私は誰?

えー、状況を説明しよう。俺は今、超絶美人に抱きかかえられている。そして彼女は規則的に腕を揺するため、高所恐怖症の恐怖心を煽ってくるが、不思議と嫌な気持ちはしない。 ここまでで勘の良い方にはもうお察しいただけただろう。

そう、俺は……赤ん坊になりまちた。

何も、左手を広げて時を戻したわけじゃない。 いきなり視界が真っ白になったかと思ったら赤ん坊になっていただけだ。

「あぅうぅ(これが転生というものなのか……)」

「クァペール! 今この子喋ったわ!」

「あぁ! しっかり聞いていたとも!」

喋るだけでこんなにも喜んでもらえるなんて、赤ん坊も捨てたもんじゃないな。

「アルシュパ! ママよ! さぁ言ってごらん?」

この世界の俺は”アルシュパ”という赤ん坊らしい。

「あんぅあぁ(お母様)」

地味に発音するの難しいな。世の赤ん坊どもはこんな高度なミッションをこなしているのか……。すごいや。

「メアル、まだ喋り始めたばっかりだぞ? そんなすぐに言えるようにはならないさ」

父親が『クァペール』で、母親が『メアル』か。 両方ともれっきとした人間……良かった、俺は人間だ。見たところしっかりとした家だから、金もそれなりにあるだろう。これも神さまのおかげなのかね。神さまありがとー。

かなり恵まれた家庭に産まれることができたと言えど、やはり問題もある。 母親、メアルの奥にチラリと見えたあの字。あんな文字、見たことがない。きっとこの世界の文字なのだろうが、何とも難しそうな形をしている。……まぁ、他のメリットらに比べたら? こんなのちっぽけな事に過ぎないけどさ? めんどくさいもんは、めんどくさいじゃん……。 とはいえ、この世界はもう俺の知っている世界とは違うんだ。これからはもっと大変なことが起きるかもしれない。こんな事でうじうじ言っているようじゃ先が思いやられる。

「はぁ…」

俺の小さなため息は、誰の耳に届く事もなくこの世界に溶けて消えた。


転生してから早五年、俺ももう五歳になる。

「時が経つのって早いなぁ…」

こんな事を言うのはオッサンくさいかもしれないが、前世が前世だったもんで、現世がやたらと楽しく感じてしまうのだ。そのせいで時間の流れが早く感じるというかなんというか……。この五年間、この世界について色々な事を知った。この世界はまるで漫画の世界のようだ。

「こんな事、前世では信じてなかったんだがな。『違う世界』があるなんて…」

それにしてもこれからどうするか……。俺には全くと言っていいほど目標がない。生きるために目標を立てるのは違う、と言ったらそうかもしれないが、だとしてもそんな大層なもんじゃなくてもいいから小さな目標だけでも欲しいよなぁ。……これから何をしていこうか。せっかく繋げた命だ、できるだけ楽しく余生を生きたいと思っている。

「そのためにも、もっと情報収集をする必要があるな…」

俺がこの五年間で知った事は、信じがたいことに『魔法が存在する』ことと『魔物が存在する』こと、そして人々の間に階級が存在することなど……よくあるファンタジーの世界みたいだ。俺はこんな殺伐とした世界で生き抜いていけるのだろうか、情報を集めるたびに心配になってくる。……どうであれ結局は生きなければいけないんだ。気軽に行こうよ、うん。

「アルシュパ〜! そろそろ出掛けるわよ〜!」

そうだ! 今日は街に出かける日だった! やっべ、何もしてねぇや。

自室でダラダラと読書をしていた俺は、その事実に気づくや否や持っていた本をベットに放り投げ、慌ただしく支度を始めた。

食パン咥えてたら転生してた

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