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『これは偶然? それとも…』
最初の出会いはカフェだった。
でもその1週間後、今度は地元の駅近くの小さな本屋さんで再会。
あなたは絵本コーナーに、大森さんは音楽雑誌のあたりにいた。
ふと視線が合って、お互い「えっ…」ってなる。
「また会ったね」
「こんなとこで…!」
「偶然って、2回目からはちょっと運命っぽいね」
そのあと2人で並んで雑誌を立ち読み。
「この写真好きかも」って言うと、大森さんが「じゃあ買ってあげる」って。
「え!いいの?」
「だって、君の“好き”知れたから」
ちょっと照れくさい、そのやりとりが胸に残った。
それから少し経って、あなたが学校帰りに乗った電車。
イヤホンをつけてふと横を見ると、…まさかの大森元貴。
「うそ…」
「僕も思った。マジで?」
どうやらスタジオから帰る途中だったらしい。
「ねえ、何聴いてるの?」
「内緒〜。でも…Mrs. GREEN APPLE」
「え、本人の前でそれは強いね笑」
あなたがカバンにつけていたキーホルダーに、大森さんが目を留めた。
「え、それ…どこで買ったの?」
「駅前の雑貨屋さんだよ、可愛くて一目惚れしちゃった」
「……これ見て」
そう言って、彼がスマホの画面を見せると、
そこには同じキーホルダーを買って
「届いた!」って喜んでる写真。
「マジで…!?」
「やばいね、買ったタイミングも昨日」
(もしかして、趣味も似てるの…?)
2人でしばらく笑いながら「これもう運命じゃん!」ってツッコミ合った。
ある日、急な夕立。傘を持っていなかったあなたが、駅の屋根の下で雨宿りしていると、
「……また会ったね」
振り向いたら、そこにいたのは大森さん。
「私、傘忘れたんだよね」
「じゃあ、一緒に濡れよっか」
「えっ、傘あるじゃん!」
「君が濡れてるの、見てらんないし」
あなたが何気なく言った言葉。
「“空って、ちゃんと見てると落ち着くね”」
すると彼がピクッと反応して、
「……今、書いてる曲の歌詞と、全く同じこと言った」
「え!?ほんとに!?」
「うん、まだ誰にも言ってなかったのに…すご」
そのまま相合傘で駅まで歩いた帰り道。
少し肩が触れてて、心臓の音がうるさかった。
『もう、言いたくてたまらない。』
秋の夜。
いつもより少し肌寒くて、空がやけに澄んでる。
2人は、お気に入りの夜の散歩コースを歩いていた。
「今日も星、きれいだね」
「うん。君と見るから、きれいなんだと思う」
——心臓がドクン、と鳴る。
大森さんの隣を歩くだけで、
手が少し触れただけで、
こんなにドキドキするのは、
もう「友達」とか「偶然」じゃないって、気づいてた。
でも、もしこの関係が壊れたらって思うと、
怖くて、言えない。
「……ねぇ、大森さんは、運命って信じる?」
「うん。
というか、君と出会ってから信じるようになった」
その答えに、胸がギュッと熱くなる。
「僕ね、明日…どうしても伝えたいことがあるんだ」
「……えっ、なに?」
「それは……明日。ちゃんと、会って言うから」
そのとき、大森さんの目が、
いつもより真剣で、 ちょっとだけ照れてて、
でも確かに、あなたを見つめてた。
帰り道、あなたは何度も振り返ってしまった。
「明日って…何を言うつもりなんだろう」
(でもなんとなく、分かってる気がする)
その夜、ベッドの中。
胸がドキドキして眠れなかった。
「もし明日、“好きだよ”って言われたら…」
「もし違ったら…」
「でも、私も……」
枕を抱きしめて、目をぎゅっと閉じる。
——明日、何かが変わる気がした。