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ゆ。
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仁人side
仁人「お化け屋敷…」
勇斗「なんか日本一怖いらしい!!」
まぁ、これは俺の自業自得でもある…
ホラーも得意じゃないから
さっきの苦手なものに入れておけば
よかったものの、
男として最低限のプライドが邪魔して
正直に伝えることが出来なかった。
俺は佐野さんに手を引かれ
足早にお化け屋敷に入った。
勇斗「おおー結構リアルだな!
・・・ん?仁人?」
仁人「はい…?」
佐野さんは俺の返事がなかったせいか
くるりと振り向いた。
当の俺はお化け屋敷にビビってるだけだが。
勇斗「どうした?体調悪い?」
仁人「・・・言っても怒らないですか?」
勇斗「当たり前でしょ」
もうプライドとかどうでもいいから
早くここから抜けたい。
仁人「実は…ホラー系が苦手で」
勇斗「あっ…そうだったのか!?」
仁人「でも、言えなくて…」
俺が下を向いていると
急に手を握られた。
仁人「えっ!?」
勇斗「ごめんだけど一方通行だから
最後まで行くしかねぇわ。
でもこれでちょっとは安心できんじゃね?」
手を握ってくれた佐野さんはまるで
王子様みたいだったけど
俺の方が少し後ろを歩いているからか、
前を歩く王子様の耳の裏が
真っ赤なことに気づいて
こっちまで真っ赤になりそうだ。
でも、なんだかそれが、とても安心できた。
歩いてから少し経った時
分かれ道があった。
勇斗「ちょっと此処で待ってて。
こっちの道が大丈夫か見てくるわ」
左の方を指さしてそう言った。
勇斗「で、なんか驚かし要素とかあったら
戻ってきて右に行こう」
本当は一緒にいて欲しかったが
俺のためにやってくれているのに
これ以上我儘を言うことはできなかった。
仁人「気をつけてね」
すぐに戻ってくるだろう。
この時は、そう思っていた。
30分後
一向に佐野さんが帰ってくる気配がない。
何かあったのだろうか。
仁人「佐野さーん!!!!」
大声で左の道に呼びかけても返事はない。
左に行って探しに行きたいけど
今までずっと暗く静かな場所にいたせいで
そんな事をできる勇気も気力もなかった。
すると、左の道から足音が聞こえた。
佐野さんだろうか?
しゃがんでいたので立ち上がり、
左の道の入口で待っていると
人影が見えてくる。
ようやく顔が見えるまで距離が近づいた時、
そこに居たのは佐野さんではなく
“ピエロ”であると分かった。
そのピエロは、俺が見えるや否や
手を振りながらダッシュで向かってきた。
仁人「あ、ああ…ああ」
「や、やめ」
近くなるほど足音が頭の中に響く。
恐怖で腰が抜けて逃げたいのに歩けない。
ピエロに手を掴まれた。
仁人「やめて!!!やめて!!!
やだ!!!佐野さん!!佐野さん!!!
佐野さん助けて!!!!佐野さん!!!
やめて!!!やめて!!
やめてやめて!!」
手で顔を隠して泣きながら佐野さんの
名前を呼ぶことしかできなかった。
「仁人!!!落ち着け!!」
そのピエロは被り物を脱ぐと
俺の唇にキスをした。
驚きで何も言えなかった。
急にピエロがキスしてきたことも、
そのピエロが佐野さんだったことも、
佐野さんが、俺にキスをしたことも。
仁人「えっ…?さの、さん?」
勇斗「ごめんごめん。
奥行ったらこれ被って喋らず元の道に
戻れっている指示があってさ。
被ったらこれひとりじゃ脱げないやつで
手振ったら気づいてくれるかなって
そんなにビビられると思ってなかった…」
なんだよそれ、なんなんだよそれ。
俺、めっちゃ怖かったのに。
仁人「・・・暗闇からピエロ出てきたら
驚くだろ普通」
安心からか、気づけば涙が出ていた。
見かねた佐野さんは俺を抱きしめて
頭を撫でてくれた。
勇斗「ほんとごめんなぁ…
好きなやつ泣かせるなんて最低だな俺…」
仁人「・・・じゃあさ、
お詫びに一個お願いある」
勇斗「ん?」
仁人「出るまで手繋いでて」
勇斗「・・・そんなのでいいの?」
仁人「それがいい…」
勇斗「仰せのままに。」
結局俺は、最後まで手を繋いで外に出た。
手を繋いでいる間は恐怖は一切なく
佐野さんの安心感を存分に体験した。
<お化け屋敷の外>
仁人「・・・あの、その、さっきは」
落ち着いて冷静になった俺は
さっきまでの状況を思い出して
悶えていた。
お化け屋敷でビビり散らかして
子供みたいに泣くなんて。
さっきまで大事にしていたプライドが
むしろ傷ついた気がする。
勇斗「ごめん!!!」
俺が言おうとしていた言葉を
先に取られてしまった。
仁人「え?」
勇斗「俺、仁人のこと何も知らなくて、
ただ好きってだけで
仁人を振り回してた気がする。
今日だって苦手なことなんて1つも
知らなかったし、好きな物も
分からなかった。」
「俺は…」
仁人「別に嫌じゃなかったです。」
勇斗「・・・え?」
仁人「佐野さんに振り回されるの。
楽しかったですよ」
世間一般的には、
追いかけられる恋より追いかける恋の方が
楽しい。なんて話もあるらしいが
俺は逆みたいだ。
誰かに、真剣に追いかけられる恋の方が、
幸せだ。
俺は、
目の前に居るこの人が
“佐野勇斗”が、
大好きなんだ。
𝐞𝐧𝐝☕︎︎𓂃 𓅇