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彼の部屋で2人で座る。
今度は距離を離さず。
「ねぇ、名前なんて言うの……?俺、涼架。」
俺は彼へ聞いた。
「元貴。」
彼はそう短く答えた。
「元貴って呼んでもいい?」
俺は彼に更に聞く。
「いいよ。涼架。」
彼は静かに淡々と答える。
「ありがとう。」
俺はそう答えて微笑んだ。
「聞きたいこと、色々あるんだ。」
俺は元貴を見ながら言った。
元貴の事、吸血鬼のこと。全部知りたかった。
元貴はこちらを見て微笑んで言った。
「いいよ。全部教えてあげる。」
それから俺は元貴へ色んなことを聞いた。
「元貴は…働いてる…の?」
俺は元貴に聞いた。
元貴はうん、と言って
「夜に仲間がいっぱいいる所でね。人間のところじゃきっと働けないから。昼間も外出られないし。」
と続けた。
そうか、日光が苦手なのか、
だから部屋もカーテンを閉め切っているのか。
そう思いながら質問を続けた。
「そっか。あのさ、いちばん気になってる事あるんだけど…。」
俺は元貴を見て言う。
元貴は何?という顔をしていた。
「吸血鬼に吸われた人間って、どうなるの…?」
俺がそう聞くと元貴は目を伏せた。
「死ぬ…?」
俺が短く聞く。
元貴は違う。と言った。
「死にはしない。俺らが吸いすぎなければ。血が足りなくなったらもちろん死ぬ。でも噛んだだけじゃ死なない。けど…。」
そう一旦話すのを辞めた。
俺は続きを静かに待つ。
「人間ではいられない。半分吸血鬼、半分人間。血を求めるようになる。俺らみたく元々吸血鬼よりは飲まなくても大丈夫だけど。犬歯が生えるし目は光る。日光も苦手になる。もう人間じゃないものになっていく。」
そう答えた。
「そ、か。」
俺はなんて返したらいいか分からなかった。
死にはしない、それだけ安心した。
俺は別に吸われたくはないけど。なぜか安心したのだ。
「怖い?」
元貴は俺を見て聞いた。
俺は「分からない…。」そう答えた。
元貴は優しい顔になって
「安心して。噛まないよ。」と言う。
「うん…。」
俺はそう返事を返した。
お互いのことを軽く話してこの日は終わった。
ちょっとだけ元貴を知られた気がする。
怖かったはずなのに、今は嬉しかった。
この日から俺は土日に元貴の家へ行くようなった。
夜勤の元貴は土曜日が明け。
だから俺は土曜日も行って昼寝にも付き合ったりした。
「トマトジュースとか飲むの?」
俺は赤いものを連想して言う。
「いや…あんまり…。て言っても無理矢理飲むけど。」
元貴は少し嫌そうに答えた。
「トマト、嫌いなんだ。」
俺がそう言うと
「あんなん食べ物じゃない。」と真顔で言った。
そんな元貴を見て
「あははっ大嫌いじゃんっ。」
俺は笑ってしまった。
元貴も「そうだよ。」と微笑む。
この時間がすごく楽しかった。
そんなある日だった。
いつものように元貴の家へ行く。
何も変わらない時間を過ごしていた。
すると突然元貴が苦しみ始めた。
「ごめん…帰って。」
そう言って俺から離れる。
発作が来たのか。
「…血以外だと方法ない?」
俺は元貴へ聞く。
「今のうちに、トマトジュースとかワインとか飲むから。早く。」
元貴は苦しそうにそう言った。
「やだ…。」
俺は引かなかった。
「帰れ。涼架。」
元貴は冷たく俺に言う。
「やだ!」
俺は子供のように駄々を捏ねた。
「俺が何すると思う、このまま襲うんだよ。涼架を。」
元貴は眉間に皺を寄せて言う。
「いい、元貴なら。」
俺はすぐ答えた。
元貴は一瞬驚いた顔して
「ダメ。絶対に手出さない。誓ったんだ。 」
そう言った。
元貴はそのまま手錠の様なものを持ってきた。
「元貴…?」
俺は元貴を目で追う。
そして自分の腕に付け、片方を家具にも付けた。
「何してるのっ…。」
俺は元貴へ近付こうとした。
「来るなっ!」
元貴はそう苦しそうに叫んだ。
「絶対に、手は出さないっ…。お願いだから言う事聞いて、涼架。」
元貴はそう目を瞑った。
そうしてすぐ目が光り、暴れ始めた。
俺を睨むように見て。
「っ…ごめんっ…俺、何も出来なかった…。」
俺はトマトジュースとワインを元貴の方へ距離を取って置いた。
「ごめんっ…元貴っごめんねっ…。」
俺は泣きながらそう言い残して帰った。