テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
番外編36『主様誘拐事件』前編
とある日――。私は百合菜にプレゼントをあげたいと言ったラムリとムーと一緒にエスポワールに買い物に来ていた。
『主様ありがとうございます!これで喜んでくれますかね?』
『えぇ。百合菜は可愛いものが好きだからきっと喜ぶわ。』
『主様の反応が楽しみですね!』
『えへへ、ありがとうございます!百合菜様のことは主様がよく知ってると思って…忙しいのに誘っちゃってすみません…。』
『いいのよ、ちょうど息抜きに外出たかったから。早く帰って渡しましょう。』
『はい!』
ラムリと私は屋敷への道を歩く。と、その時――。
『悪魔執事とその主だな?』
私たちの周りを黒装束の男達が囲む。
『…そうだけど?』
『痛い目に合いたくなきゃ大人しく来い。』
『そう言われて大人しく来ると思ってんの?主様、僕の後ろに隠れてください。』
『ラムリ…。貴方達何者なの?』
『何者かなどどうでもいい。こちらもあまり手荒なことはしたくない。自分たちの身分上な。』
『自分たちの身分上? 』
(ということは平民ではなく貴族か…。)
『主様に何するつもりですか!』
『ムー…。すみませんが、生憎私達は構っている暇などないのです。それに……。痛い目を見るのはそちらですわ。』
『何だと?』
『ラムリ、私の剣を貸して。』
『は、はい!』
ラムリは私の剣を渡した。
『ラムリ、背中は任せてもいいかしら。ムー。離れててね。』
『あ、主様、ラムリさん……。』
『はい!もちろんです!』
『ふん、愚かな。この数に勝てればだけどな。』
一方その頃――。
『人身売買か…。狙われてるのは女性ばかり…胸の痛い記事だね。』
私は新聞を読む。
『ルカス、主様を見なかったか?』
『ミヤジ…いや、見てないよ。ラムリ君と買い物に行ったけど…もしかしてまだ帰ってきてないのかい?もう1時間近く経つけど…。』
『…嫌な予感がするな。』
『え…?』
と、その時――。
エントランスの扉が開く。
『みなさん大変です!主様とラムリさんが……!!』
『『ムーちゃん!?ムー君!?』』
急いでエントランスに向かいムーちゃんから事情を聞く。
『そんな、主様が誘拐…!?ラムリ君も一緒かい?』
『はい…。買い物の帰り帰ろうとしたら怖い男の人達に囲まれて…。主様とラムリさんは応戦したんですけど…っ。』
数時間前。
『呆気ないな。悪魔執事。』
『ラムリ!!』
ラムリは足蹴にされる。
『あ、主様…っ。』
『っ、ラムリに何するのよ!』
『おい、この猫も一緒に連れてくか?』
『は、離してくださいー!!』
『ムー!!』
『要らん。我々が用があるのはお前だ。』
『私…?』
男は私を凝視する。
『仮面で隠しているつもりだがお前のその美しいルビーのような瞳…高く売れるぞ。』
『まさか、最近エスポワールを騒がせている人身売買の正体は貴方達なの…?貴族が金儲けの為に人を売るなんて最低よ!!』
『なんとでも言え。お前のその瞳をくり抜いてさる御方に献上するのだ。』
『っ…。』
『おい、女一人に何手こずってる。さっさと捕らえろ。』
『は、はい!』
『近付かないで!!1歩でも近付けばこの瞳を貫いて死ぬわ。』
『いいのか?お前が暴れれば執事を殺すぞ。』
ギリィ…っ。
『うぐ…っ。』
『やめて!ラムリに酷いことしないで!』
『主、様、僕のことは気にしないで…。』
『ラムリ……。…。』
私は剣を収める。
『好きなようにするといいわ。ただし…。
その猫…ムーは見逃してあげて。』
『構わない。我々が用があるのはお前だからな。おい。その猫を話してやれ。悪魔執事も馬車に詰め込んでおけ。』
『それ以上ラムリに何かしたら許さないわ。』
『あぁ。』
『あ、主様!ダメですよ、行かないで……っ。』
『ムー。』
私はしゃがんでムーを抱き締める。
『大丈夫。私とラムリは無事に屋敷に帰るわ。その代わり、みんなにこのことを伝えて。それと、これを百合菜に渡して。』
先程買った紙袋をムーに咥えさせる。
『ほら、行きなさい。』
『何してる、早く乗れ。』
私は馬車に乗り込む。
『むぐぐー!(主様!!ラムリさん!!)』
『そんなことが…。主様もラムリ君を人質に取られたら何も出来なかったんだろう。それに…相手は貴族だ。いくら主様でも、躊躇してしまったんだろう。』
『ぐす、ぐすっ。ごめんなさい、僕が一緒にいたのに、ごめんなさい……っ。』
『ムーちゃんのせいじゃないよ…。よく知らせてくれたね。』
私はムーちゃんを撫でる。
『お姉ちゃん……っ。どうしよう、お姉ちゃんが危険な目にあって、もし、もしもの事があったら、私…っ。』
『主様…。』
俺は主様の頭を撫でる。
『泣くな、主様。主様は必ず俺達が助ける。主様が泣いてたら麻里衣も悲しむぞ。』
『ボスキ……。』
『ルカスさん、主様をさらった貴族に心当たりはありますか?』
『心当たりか…。貴族が人身売買してる話はグロバナー家の会議でも上がっていた。まさか主様が攫われるとは思わなかったけどね。主様が目的なら我々悪魔執事に恨みを持つ者の反抗だろうけど、金儲けなら話は変わってくる。お金を稼げるなら誰でもよかったんだろう。』
『許せませんね。主様を痛めつけた挙句、売り物にしようなんて。』
『とにかく、主様とラムリを助けるために策を練りましょう。こうしてる間にも2人はどんな目にあっているか……。』
貴族の屋敷 牢屋
『う…。ここは…。』
『あるじ、さま、大丈夫ですか…?』
『ラムリ!こんなに血だらけに…っ。』
『僕なら、大丈夫です。主様は怪我してないですか?』
『かすり傷位かしら、とにかくここからにげないと。』
『そうですね…でも暗くて見えないですね…。ても縛られているので身動きも…。』
と、その時――。
『誰か、いるの?』
『え?』
『お姉ちゃん達も……売られて来たの?』
端っこに座りこちらを見ているのは小さい子供達。
『君達は…?』
『私達は1週間前にここに連れてこられた…。ママとパパと出掛けていたら、ここに連れてこられて……お金を受け取ったパパとママは……嬉しそうに出ていった。』
『そんな……っ。』
(こんな小さい子を…っ。)
『でも、ママとパパが私達を売るはずない…私達のことを大好きって…っ。』
『っ……。』
『君達は姉弟?それとも…。』
『姉弟だよ。私は姉のリリ…この子は弟のハルア…。この子達は私達が来る前にいた子達…。』
(こんなに沢山の子供が……人身売買に…。)
『お姉ちゃん…お兄ちゃん…私達って売られたの?パパとママに…。』
『それは…っ。』
『……。大丈夫だよ。』
『ラムリ…。』
『必ず僕達の仲間が助けに来る。僕達が君達を助ける。それに、この主様は強いんだよ。』
『お姉ちゃん強いの…?』
『!えぇ。私とこのお兄ちゃんが必ず助けるわ。』
『本当?』
『えぇ。約束よ。必ずみんなでここを出ましょう。』
『う、うん!お姉ちゃん、名前なんて言うの?』
『私は麻里衣。このお兄ちゃんはラムリよ。』
『麻里衣お姉ちゃん、ラムリお兄ちゃん…。必ずここから出ようね。』
『えぇ。もちろんよ。』
(許せない。こんな小さい子を売った親も。
人身売買しようとしている貴族も。でも、手は縛られてるし牢屋には鍵がかかってるし……。剣も取られた…他になにか使えるものがあれば……。)
と、その時だった。
ガチャッ。
牢屋のある部屋に先程の男が入ってくる。
『!!』
『ほぉ、早速子供達を手玉にとったか。だが無駄な仲間意識はよせ。居なくなった時の失望感ほど計り知れない。』
『この子達をどうする気なの?』
『さぁ?買い手次第だな。生きたまま弄ぶものもいれば内蔵を売る貴族もいる。』
『ひ…っ!』
子供達が私の後ろで震える。
『……大丈夫。大丈夫よ。せめてこの子達に食べ物をあげて。』
『売り物が偉そうにものをいうな。』
『…あら。売り物に傷がついたらお金儲けにならないんじゃないかしら。』
『…チッ。後で食料を持ってきてやる。
逃げれると思うなよ。それと、悪魔室執事の主。お前にはこれをつけてもらう。』
左手の薬指に輪っかを嵌められる。
カチッ。
『っ!』
『どうやらその指輪は不思議な魔法が込められているようだな。確か、元の世界とこちらの世界に行き来できる、とか。』
『どうしてこれの指輪のことを…。』
『これでお前は逃げられない。逃げたければ指を切ることだな。』
バタンッ。
『麻里衣お姉ちゃん…っ。』
『大丈夫だよ。あいつは私たちをすぐには殺さない。必ず、私達が守るから。』
一方その頃。デビルズパレス
『……作戦は練り終わりました。これで主様達を助けることが出来ます。』
『では早速参りましょう。』
『場所の目星はついてるのか?』
『貴族が隠れそうな場所は把握しております。人目につかず、遺体の処理にも困らない。森の中に屋敷を構えてるでしょう。』
『皆さん、主様とラムリ君に危害を加えた人達に情けをかける必要はありませんよ。』
『はい。もちろんです。』
(待っていてください、必ず助けますから。)
次回中編へ続く⬇️