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こんにちは、作品を見てくれてありがとうございます。
作者のをーです。
自我を出すのは初めてかな…。
少しお知らせです。
僕は非常に飽き性でして、
この作品を書いている途中に、新たな書きたい作品が頭の中で生まれてしまって。
僕としても嫌いなパスタの話なんてしたくないので…(自分で始めた)
次回辺りで話を完結させようと思います。
少し話が急になってしまいますが、ご了承ください。すみません。
それでは、続きをどうぞ!
「あなたはパスタが好きですか?」
7話
夜の都会に雨が降り始めていた。
篠宮は冷静な口調で言った。
「あなたは、5年前に人を殺しましたね」
「……。」
「証拠も出揃っています。」
(——やはり、やるしかないか)
次の瞬間、僕は雨の中を駆け出していた。
「待て!」
篠宮が叫ぶ。
二人の影が、夜の街を駆け抜けた。
— 追跡 —
・・・
繁華街の路地、工事現場の鉄骨、非常階段——
二人は街を縫うように疾走していた。
僕は何度も撒こうと試みたが、篠宮は決して距離を離さなかった。
(……さすがにしつこい)
焦りを感じ始めたその時、目の前に高いビルの壁が立ちはだかった。
行き止まり——
いや、上がある。
僕は迷わず鉄骨を蹴り、足場を駆け上がった。
「滝川!」
篠宮が下から呼びかけるが、僕は振り向かず、雨の中を登り続ける。
やがて、ビルの屋上へとたどり着いた。
目の前には、隣のビルとのわずかな隙間——
僕は助走をつけ、飛んだ。
だが——
「っ……!」
足元が滑る。
距離は十分だったはずなのに、雨で濡れた靴底が摩擦を奪い、着地した瞬間に体勢が崩れる。
バランスを崩し、ビルの縁から転落しかける。
その時——
腕が、誰かの手に掴まれた。
「……!」
見上げると、そこに篠宮がいた。
「……ここで落ちて死んだら、本当におしまいですよ」
篠宮の声が、雨の音にかき消される。
僕は僅かに眉をひそめた。
(…僕を生かすつもりなんだ。)
…僕は微笑み、素直にその手を掴んだ。
— 面接室 —
・・・
数日後。
──面会室にて──
「意外と元気そうですね」
私が言うと、滝川は肩をすくめた。
「思ったより居心地は悪くないですよ。まあ、自由がないのは退屈ですが」
「それは何よりです」
皮肉を込めたつもりだったが、彼はまるで気にする様子もない。
「……結局、あなたは何をしたかったんですか?」
私は呆れたように静かに問いかける。
滝川は肩をすくめる。
「何も。…強いて言えば…ただ、面白そうだったから、でしょうかね?」
……
私はテーブルに手を置いた。
静かに、けれど確実に圧をかけるように、ゆっくりと言葉を続ける。
「…ここに来る前、あなたのことを考えていたんですよ」
「僕のことを?」
「ええ。あなたがどんな人間なのか、ずっと考えていました」
滝川は微笑んだまま、興味深そうに私を見つめた。
「それで、答えは出ました?」
「そうですね……」
私はわずかに視線を落とし、考えるふりをする。
そして、ふと顔を上げ、静かに問いかけた。
「あなたは──パスタが好きですか?」
一瞬の間。
滝川の笑みが、わずかに深まった。
まるで私の意図を見透かしたかのように。
「いいえ」
滝川はゆっくりと言葉を紡ぐ。
「僕はパスタが嫌いです。」
私は目を細めた。
──やはり、何も変わっていない。
沈黙が流れる。
しかし、滝川はどこまでも涼しげな表情だった。
「……やはり、あなたは根本的に何かが欠けているようですね。」
「そうかもしれませんね」
滝川は立ち上がる。
手錠の跡が残る手で、軽く片手を上げた。
「じゃあ、また」
「……ええ、また」
扉が閉まる。
私は静かに息を吐き、席を立った。
──終わりではない。
きっと、またどこかで会う。
それが“滝川栄斗”という男なのだから。
(完)
因果応報エンド