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《今日、一緒に帰りませんか?》
僕は亜季さんにメールを送ろうとした。
その瞬間メールが受信された。
僕は受信されたメールに構う事なく、メールを送信した。
亜季さんから、どんな返事が返ってくるのかドキドキしていた。
もしかしたら、断られるんじゃないか…。
でも、スマホの番号もアドレスも教えてくれた訳だし、少しくらいは可能性はあるかもしれない。
そんな事を考えながら、亜季さんからの返信を待った。
そう言えば、亜季さんにメールを送信する直前にメールが受信されていた事を思い出した。
僕は受信メールを確認した。
あれ? 亜季さんからだ。
《誘ってくれるんですか? 嬉しいです。もちろん大丈夫ですよ》
どういう事だろうか?
亜季さんからのメールの内容は、僕のメールに対しての返答だった。
内容を見ただけなら、どこもおかしい所などない。
でも、このメールは明らかにおかしかった。
なぜなら亜季さんのメールは、僕が亜季さんにメールを送信する直前に受信したのだから…。
つまり亜季さんは僕のメールを見ていない。
僕のメールを見る事なく、僕のメールに答えていた。
《あの…亜季さんからのメールなんですけど、僕がメールを送信しようとした直前に受信したんです。でも、これっておかしくないですか?》
《違います。私は、紺野さんのメールに返信した訳じゃありません。廊下で話してる時に紺野さんが“学校が終ったら”って何か言いかけていたから、誘ってくれてるもんだと思ってメールを送ったんです》
亜季さんの返信が来るまで5分以上かかっていた。
《そうなんですか?》
亜季さんの返答に納得など出来る訳はなかったけど、他に考えられる理由が思い浮かばなかった。
《学校が終ったら下駄箱の前で待ってます》
《わかりました。でも、お姉さんの葵さんは?》
《学校が終ると、たぶん慌てて教室を出て行くと思います。でも気にしないで下さい》
《どうしてそんな事わかるんですか?》
《妹だから、わかるっていうか…》
理由がある訳ではなさそうだった。
メールを終えて隣の席の葵さんを見ると目が合ったが、ソッポを向かれた。
怒ってる?
6時間目の授業が終わり、帰りのホームルームが始まると、葵さんが妙に落ち着かない面持ちでソワソワしだした。
「佐藤さん、一緒に帰ろう」
帰りのホームルームが終わると、葵さんの後ろの席の船橋が一緒に帰ろうと誘っていた。
「えっ!? ありがとうございます。ちょ‥ちょっとこの後、急用が入ってしまって、直ぐに行かなきゃいけないんです。ごめんなさい」
すると葵さんは、船橋に頭を下げると、慌てて教室を出て行ってしまった。
「佐藤さん慌てて出て行ったけど、どうかしたの?」
葵さんの前の席の増田が船橋に対して質問をしていた。