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皆様、フォロー及び、たくさんのいいねをありがとうございます🫶
保険として作ったアカウントでこっそり拝見させて頂いている作者様からも反応を頂いてしまい、文字通りひっくり返るなどありましたが、 これからも精進して参りますので、何卒🙌
「んーどこ置いたっけな、」
部屋に戻るまでの間に思い出そうとしてみる。
”『そ?僕は好きだけどなぁ』”
思わず足を止めてしまった。
「、っは、はは、」
・・・少しばかり、嫌なことを思い出してしまった。
2時間経とうが、その出来事は今日の・・・ついさっき起きた出来事だ。
つまり、今もなお奏斗の隣には、きっと、
”〖・・・どういたしまして。話せそうになったら俺とか凪ちゃんにでも話してね〗”
「ふ、」
セラおのあの優しい言葉を思い出して、気の抜けた笑いが出る。
「連絡、確認せんとな」
こんな真夏の中だけど、ほんわりと胸が温まる感じがした。
その温かさに、心地良さを感じて。
俺は軽くなった足取りで、また部屋へと歩き出した。
「最初見たのが最後だったよな、」
普段置いている、ベッドの横にあるナイトテーブルの上を見てみる。
ない。
「どこやったっけなぁ・・・」
キョロキョロと辺りを見回してみる。
、見つけた。
なんだ、机の上か。なんて思いながら机まで歩く。
ふと視界の端に映ったアイツに、思わず身体が硬直して、息を呑む。
ゆっくりとその方向へと顔を動かす。
「・・・っ」
これは俺と奏斗、二人で映っている写真だ。
最初はスマホで自撮りして、四人で撮る予定だったんだけど、男四人で撮るとなるとどうしてもぎゅうぎゅうになってしまうのだ。
もう少し寄れ。だの、映らない。だのという言葉通りに皆で寄り合った結果、転んでしまい、奏斗に押し倒されているような体勢になってしまう、なんてことがあったから、二人ずつ撮ることになった時のものだ。
その時俺は、今だから気づいた、という前提があるうえで正直に言うと、ドキドキしていた。
でもその頃は、ただの相棒だからそういう、恋愛的なドキドキではない。と、それを撮ったのも夏頃だったから、暑さのせいだ。と思っていた。
・・・今思い返してみると、既に惚れてたんだと思う。
奏斗に押し倒されているような体勢になる時、俺が頭を打たないように腕を回してくれていたところとか、暑い中撮ろうとしていたせいで汗が頬や首筋を伝っていたりとか、髪の隙間から入ってくる日差しが奏斗の瞳に倍ぐらいの光を取り込ませていたものだから、美しさと同時にかっこよさを引き立てていたりだとか、、
・・・まぁ、腕を回してくれたせいで距離もより近くなったんだけど。
あと少しで、キス、してしまうようなぐらいの距離。
この世の美しいものだけを詰め込んだような、それでいて、世界中どこを探しても見つからないぐらい美しい、宝石のような瞳に捉えられて、どうしても目が離せなくて。
俺が見つめたまま、ずっと目を逸らせずにいると、その後すぐに離れたくせに、意地悪な、いかにもからかってるような顔をしながら俺に顎クイをして、意図的に顔を近づけてきたりなんかして『ね、ドキドキした?』なんてふざけて聞いてきたり。
ただの相棒だと思っていたその頃の俺はうるさく鳴る心臓の音を隠すように大きな声で「責任とってよねっ!!」なんてふざけながら返していた。
、今となっては本当に責任をとってほしい。
こんなに好きにさせて、こんなに夢中にさせて、俺はもう、お前以外に恋できる気もしてないというのに、お前はできるのか、って。
奏斗にはこんなこと言えない、そもそも言いたくない。意地を張ってる、のもあるけど、何よりもバレた時の反応が怖い。
相棒だと思ってたやつから、いきなり”恋愛的な意味で好き”って言われた時、アイツはどんな反応をするのか。
それがわからないから不安になるけど、知ってしまうのが、本当に、怖い。
ふぅ、と一つ息を吐いて、やっとのことで写真から目を逸らし、スマホを手に取る。
あぁ、本当だ、アキラから11件も通知がきてる。
”焦ってた”、というのはセラおが言っていた通り本当みたいで思わず笑ってしまう。
トーク画面を開いてみると
【”たらい今日休みですか?”】
【”担任の教師から聞きました。ゆっくり休みなさいね”】
【”何か必要な物があれば言ってください”】
【”たらい?本当に大丈夫ですか?”】
【”寝てます?”】
”📞不在着信”
”📞不在着信”
”📞不在着信”
”📞不在着信”
”📞不在着信”
【”家行くからな”】
「っふ、くw」
風邪だって聞いてたのに、電話をかけてしまうほど焦ってたらしい。
思わず笑ってしまった。
「”心配させてごめんな!全然元気✌️”」既読
「既読つくのはっやw」
【”セラ夫から聞きました”】
【”お大事にしなさいね、この野郎”】
「くっ、w」
「・・・ん?セラおからもきた」
〖”お大事にね〜、凪ちゃん拗ねてるから次来た時構ってあげてね”〗
それを見て、また笑いが込み上げてくる。
「”おっけー!構い倒すw”」
「”色々買ってきてくれてありがとな!”」
アキラが”行く”って言ってたけどこなかったのは、セラおに止められたからなんだろうな、”俺が届けに行くから凪ちゃんは授業受けてて”みたいな感じで
”私も行きます”って言ってるアキラも、それを宥めているセラおも、あまりにも想像に容易くて、笑みがこぼれる。
一人、クスりとしながらセラおとのトーク画面を閉じると、1件だけ、通知が残っていることに気がついた。
表示名を見た瞬間、時が止まったような気がした。
奏斗
大丈夫ー?ゆっくり休めよー ①
たった二文、俺はそれを、トーク画面も開かずに、ただ見つめることしかできなかった。