テラーノベル
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第69話
「リュック!」
後ろを向くと、あの時のままの死ぬ間際のリュックが霊になっていた。
「リュックじゃない。リュックの魂を乗っ取った呪いといったところだろうか」
「うるさい。口でも、耳でも、何でもきり裂いてやる……」
クソっ!
なんだよ……こんなやつに、つきまとまれて……
リュックの気持ちを踏みいじって……
「ロルフが……おこってる……?」
確かに、いつも思ってても顔に出さないからな……でも、こればかりは、怒らないでいられない。
「これ以上、誰かを傷つけようなら、封印するか痛みつける」
「殺してしまっては意味がないのでは?」
馬鹿にされたし……ムカつくな……
「こう見えて、体についての知識はそんじょそこらの医者よりかはある」
「ほう。自惚れてるのでは?」
「口、縫い付ける? それとも裂く? 今直ぐにでもその声を発せなくさせたいんだけど」
「おぉ、怖い、怖い。戯言はよしてください」
もういい。こうなったら、封印してやる。
……そしたら、忌み子も出ない。
僕が光の力を固めてると「ロルフっ! やめて……もう、居ても立ってもいられない……貴方が傷つく姿なんて見たくない」とアニカが僕の敵意ムンムンの腕をつかまれた。
「そうしないと、終わらないんだ」
『でも、自分の人生まで終わっちゃうぞ。それは、何があっても避けろ』
シルビオさん……
「兄さん……何で、今……」
『フリオ。お前なら、ロルフを支えられる。そうだろ?』
「ロルフさんも、今の内に冷静になってください」
そうだよね……
深呼吸をしてから「よし、ここに終止符を打とうよ。皆でね」と僕は剣を構え直した。
✡
強くなったな……
勇者と呼ばれ、いつの間にか、このホルムの未来を明るい道へ導いて……
私は、その勇者に何度も救われた。
私が記憶を失くしたって、死ぬ覚悟で盾になって……
私も恥をかかないようにしないと……
「アニカ。なんだか、さっきまで目標を見失ってた。ありがとう」
「うん!」
ロルフが剣を上げたら、皆、一斉にリュックと呼ばれる呪いに斬り掛かった。それと同時に、空も黒雲に包まれた。でも、今までよりかは小さいように見える。
私は、光の力でやつの動きを封じた。
でも、ロルフと私以外近づけてない。
フリオさんや、ビタリさんとかは、剣で呪いをきり裂いているけど、また再生してくる。
ニコラさんの矢も途中で呪いに阻まれて当たらない。
レーナさんの魔法は掠るけど殆ど攻撃になって無い。
「ロルフ! 私は、丸め込むのに徹するから、ロルフは攻撃を防いで」
「うん」
私は、集中して力を集めた。
でも、ロルフも余裕が無くなってきたように見えてきた。よく見れば、皆の事も庇ってるようにもみえる。
早くしないと、皆が保たない……
「姫様。落ち着いてください。焦ったら上手くいく事も失敗してしまいます」とフリオさんが耳打ちしてくれた。
私は頷いてから集中させた。
大丈夫。皆は強いから……信じよう……
何とか豆粒くらいの大きさに縮めるところまできた。そこまできたら、攻撃は段々と鈍くなる。
でも、これからが勝負。
力の込めぐわいが絶妙なのだ。私も秘密の特訓をしたり、昔よりかは上手くなったはず……多分だけど。
私は今まで以上に集中して、呪いを完全に消した。
私たちがいる周辺まで眩い光が届いた。光は、どれだけ集中させるかが勝負だって、お母様に聞いた。
もう、跡形もない。
終わった。やっと……
「ニコラさん。レーナさん。ビタリさん。フリオさん……そして、ロルフ。ありがとう」
「僕の所為で、こうなったんだ。皆、ここまでやってくれてありがとう」
ロルフ……
「こればかりは、ロルフの所為じゃないぞ」
「それに、結果オーライじゃないですか」
「ビタリの言う通り、結果良ければいいんです」
「これで、ロルフさんを恨む人なんていません」
皆……
「ゔぅ〜。皆っ……」
そう言ってロルフは皆に泣きついた。
良かった。感情を出せるようになって……
「アニカっ……ちゃんと、僕の道が見えた。ありがとう」
「ロルフ。少し、休憩して……って!」
フリオさんがそこまで言うと、ロルフは安心したように目を瞑って倒れた。
息も、脈も、顔色も普通だ。モヤも無いし、光も普通。傷も癒やしたし……疲れかな?
「一月ぶりに起きて、人の枠を超えるような戦い方をしたんだ。そりゃ、体力も消耗するだろう」
「えぇ。これで、一段落ついたですかね」
それから、王城へフリオさんがロルフの事を抱いて帰った。
他の三人もついてきている。
「ロルフ! 大丈夫なのか?」と騎士団長が肩で息をしながらとんできた。
「少し、疲れただけですよ。休ませてあげてください」
「黒雲が上がったら皆、魔物で手一杯でな……」
「えぇ。あんだけの量の魔物がいたら、大変だったですよ……皆さんは休んでて下さい。私は、一つやりたい事があります」
「姫様もゆっくり休むようにして下さい。お疲れの体で無理に動こうとするのは体にとって毒ですよ」
「お気遣いありがとうございます」
私はそういってからロルフを寝かせた部屋の中で情報整理をした。
コメント
1件
みぅです🖤🥀 第70話、読み終えたよ…。 リュック…いや、呪いとの決着。もうロルフの感情が溢れて、戦いにまで影響してて、胸がぎゅっとなった。自分を責め続けてたロルフが「皆…」って泣き崩れたシーン、ほんとに来るものがあった。 アニカの「信じよう」って決意もすごく好き。皆で支え合う形が美しかった。 ラスト、倒れるロルフを運ぶフリオの優しさも染みたよ🧎♀️🤍 …ひとまず、ここが終わりじゃなければ、次が気になるね。こはるさん、お疲れさま。
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