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「第三幕 第三章 月影の女剣士」
港町レハルド。
海の向こうへ渡るには、この町唯一の大船〈セレス・マリス〉を使うしかない。
しかし、その船はすでに月殿の海上部隊に押さえられていた。
波止場に近づくと、白銀の鎧に蒼いマントを纏った女剣士が立っていた。
腰には月光を反射する長剣。
周囲の兵士たちは彼女の一声で動き、船を固めている。
「……あれが、月殿海上部隊長〈リュミエール〉」
ラシードが低く呟く。
「腕も頭も切れる。正面からやれば確実に沈められる」
しかしあなたたちは進むしかなかった。
船を奪い返すため、波止場で激突する。
リュミエールの剣は疾風のように速く、あなたの星槍さえ押し返す。
「お前たちが“星”を守る者か……」
その声には、憎しみではなく、何かを探るような色があった。
戦いの最中、彼女の動きが一瞬だけ止まる。
月殿兵が背後からあなたに斬りかかる――が、リュミエールがその刃を叩き落とした。
「……私は月殿のやり方に疑問を持っている。
だが、逃げれば家族が処刑される」
彼女の瞳が揺れる。
「海の向こうの本拠地を潰すなら……私も連れていけ」
ラシードは一瞬だけ睨み、やがて頷いた。
「裏切るなら容赦しない」
「望むところだ」
こうして、月殿幹部リュミエールは、奇しくもあなたたちの船旅の仲間となった。
彼女の案内で、月殿の海上封鎖を突破する計画が動き出す――。