明那side
[たす、けて]
震えた声で不破くんが言う
いつも教室で見ている、元気で
明るい不破くんとは異なり
今にも消えてしまいそうな
弱々しい不破くんが
俺に助けを求めている
[あ、い、いや、]
動揺した様子ですぐさま不破くんが口を開く
[やっぱ!なんでもないよ、気にしないで]
[ちょっと変なこと言っちゃったね、ごめん]
なんて、辛そうな顔をしながら否定する
その姿があまりにも可哀想で愛おしいかった
あぁ
俺はこの人を守りたい
この人が心から笑えるように
幸せになってほしい
『 不破くん。隠さないで話してほしい』
俺が、俺が必ず救うから
地獄のような環境からかならず
『 連れ出して見せるから』
その後
話しにくそうにしながらも
不破くんは休んでた理由や悩んでいることを
一つ一つ俺に話してくれた
親に暴力を振るわれていること
約束を破ったせいで学校に行かせてもらえなかったこと
でも、それら全ては自分が引き起こしたことで
全て自分が悪いということ
そんな内容だった
泣きながら話す不破くんをみて
この子はどれだけの思いを抱えて生きてきたんだろうかって
今まで誰にも助けを求めず、辛いことをずっと
1人で耐えてきた
そんな男の子の肩があまりにも弱々しく、儚げに思えて
一緒になって涙を流した
これからは俺が
必ず守るから
不破くんは居候という形で俺の家に
住むことになった
最初はぎこちない笑顔ばかりだったけど
一ヶ月も経つ頃には自然な笑顔が時々現れるようになった
実の親とはまだ連絡が取れていない
とらなくていいと俺は思う
不破くんを守るために父親とは合わせてはいけない
[明那!]
そんなことを考えていると愛おしい声が聞こえる
[洗濯物取り込んでおいたよ]
不破くんはここの家に居候している分
積極的に家事をしてくれている
まるで同棲しているみたいだ…
勝手に自分の中でテンションが上がる
不破side
[洗濯物取り込んでおいたよ!]
助けを求めたあの日から
俺は明那の家に居候させてもらっている
こんな俺が、ここにいていいのかなんて
そんな申し訳ない気持ちを少しでも減らすため
こうして家事を手伝っている
『 ありがとう!不破くん!』
いつもの不破くん呼び
居候していた期間で俺は明那との距離が少し近づいたと思う
もっとラフな呼び方でもいいのではないか
ふとそう思った
[今更だけど、不破くん呼び固くない?]
[ほら、俺も明那呼びにしたしさ!]
明那ともっと近づきたいという下心も交えて
提案をしてみた
『 そっかー、じゃあ湊とか?』
湊か…
“おい゛!湊ぉ゛!!”
“酒買ってこいよぉ゛!湊ぉ゛!!”
“お前はゴミ人間゛なんだよぉ?湊ぉ゛?”
ビクッ
過去の記憶がフラッシュバックする
[あ、ぁ、ごめん、湊は、ちょっと]
『 あ、そっかごめん』
明那は何かを悟ってくれたようだった
ごめんね、いつもこんなので…
『 じゃあ、ふわっちにしよう!
音の響きも可愛いしさ!』
[…!嬉しい、ありがとう]
ふわっち…か
初めて人からつけてもらったからだろうか
それとも名前が気に入ったからだろうか
なんだか胸がものすごく熱くなった
コメント
1件
苦しんでるfw助けるakn大好きなんだが