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💜俺は両親がいない。
俺が中学2年生のときに死んだ。
そもそも俺の家族がやばかった。
父は家で酒ばかり。
母は家から出たら帰るのは朝。1週間帰ってこないこともあった。
唯一良かったのが姉。成績優秀、運動神経抜群。まさに文武両道だった。
しかし、俺に対してだけはひどかった。親が文句を言えばそれに合わせて文句を言ってくる。
自分にとって都合の悪いものはすべて俺のせいにした。
そんな家族だった。
姉が成績優秀だったせいか、俺も”理想の息子”として育てられた。
俺も「親にとって都合のいい子にならなきゃ」と必死だった。
テストがあれば必ず満点、コンクールのあるものには必ず応募した。
家での手伝いもして、学校の成績も良くて…、とにかく頑張った。
でも、やっぱり見てくれたのは姉で。
何をやっても、どんなすごい賞を取ったとしても。
俺には見向きもしなかった。
ああ、何やっても駄目だ。俺は、駄目なやつなんだ。
そう思って、それからは頑張ることより、常に家族の顔色をうかがい、怒らせないように努力した。
―――しかし、ある日突然に事件は起こった。
文武両道、完璧だった姉が、学校で受けた検査で、βということが判明した。
その日、母は泣きじゃくった。
今でも鮮明に覚えている。
あの姉がαじゃなかったのを―――、自分と同じ性別ではなかったことにがっかりしていた。
そして今度は”理想の子”を俺に向けた。
また頑張った。でも、俺が中学1年生で受けた検査結果は、―――Ωだった。
愕然とした。
あれだけ頑張ったのに。親の期待に応えられように、頑張ったのに。
全て台無しになった。
必死に隠した。
俺はαだって。―――Ωでも、βでもないって。
隠し通した。――中2の夏までは。
中2の夏。
俺が学校から家に帰ると親が2人とも首をつって死んでいた。
その足元には、ずっと隠し続けていたΩの検査結果だった。
おそらく俺がΩだったから。αじゃなかったから。
親の期待に応えられなかったから。
自殺したんだ。
俺が、俺が、俺が全部悪い。
親の期待に応えられなかった、俺が悪いんだ。
ごめんなさい、ごめんんさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!!
それから、姉からの扱いはひどくなった。
姉は、俺をまるで家政婦家のように扱った。
掃除、洗濯、食事、片付け、風呂の準備―――、全てやらされた。
こんな―――、こんな人生なのか。俺の一生は。
嫌だな。
辛い。
こんなところで。終わっちまうのか?俺の人生…。
―――そうだ、Ωだってバレなければ、皆を困らすことはない。
αじゃなくても、βなら。Ωじゃなければ良いんだ。
そうして、俺は無理やり姉から離れ、たくさんバイトして、学費をためて。
高校に入学した。
でも、直ぐにバレた。そのたびに転校。
何回もした。そのたびに「初兎くんにはがっかりした。βだと思っていたのに。ひどい。」と、理不尽な言葉を散々に投げつけられた。
だから―――、今、こうやってなにも考えずにいられる時間が愛おしい。
こんなにも俺のことを思ってくれている仲間がいて。
なにも知らずにのんきに過ごして。
ご飯を食べて。
俺、今普通の暮らしをしている!
そう思うだけで涙が出そうだった。
どうせまたすぐに転校することになるのだろうけど。
それでもここで楽しいと思えた、今、この時間に感謝だ。
💜「ありがとな、いむくん、りうちゃんたち。」
❤💎「…どうしたの?wwいきなり…。」
💜「いや、なんでもないわ。じゃ、さいなら。」
❤💎「うん!またね!」
💜「――!」
…またね、か…。そうやな、俺がΩだってバレるまで。
それまでは、”またな”。