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溺愛されすぎる兎ちゃん🐇

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溺愛されすぎる兎ちゃん🐇

7 - 溺愛されすぎる兎ちゃん🐇 第7話

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2022年09月10日

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💜俺は両親がいない。

俺が中学2年生のときに死んだ。

そもそも俺の家族がやばかった。

父は家で酒ばかり。

母は家から出たら帰るのは朝。1週間帰ってこないこともあった。

唯一良かったのが姉。成績優秀、運動神経抜群。まさに文武両道だった。

しかし、俺に対してだけはひどかった。親が文句を言えばそれに合わせて文句を言ってくる。

自分にとって都合の悪いものはすべて俺のせいにした。

そんな家族だった。

姉が成績優秀だったせいか、俺も”理想の息子”として育てられた。

俺も「親にとって都合のいい子にならなきゃ」と必死だった。

テストがあれば必ず満点、コンクールのあるものには必ず応募した。

家での手伝いもして、学校の成績も良くて…、とにかく頑張った。

でも、やっぱり見てくれたのは姉で。

何をやっても、どんなすごい賞を取ったとしても。

俺には見向きもしなかった。

ああ、何やっても駄目だ。俺は、駄目なやつなんだ。

そう思って、それからは頑張ることより、常に家族の顔色をうかがい、怒らせないように努力した。



―――しかし、ある日突然に事件は起こった。

文武両道、完璧だった姉が、学校で受けた検査で、βということが判明した。

その日、母は泣きじゃくった。

今でも鮮明に覚えている。

あの姉がαじゃなかったのを―――、自分と同じ性別ではなかったことにがっかりしていた。

そして今度は”理想の子”を俺に向けた。

また頑張った。でも、俺が中学1年生で受けた検査結果は、―――Ωだった。

愕然とした。

あれだけ頑張ったのに。親の期待に応えられように、頑張ったのに。

全て台無しになった。

必死に隠した。

俺はαだって。―――Ωでも、βでもないって。

隠し通した。――中2の夏までは。

中2の夏。

俺が学校から家に帰ると親が2人とも首をつって死んでいた。

その足元には、ずっと隠し続けていたΩの検査結果だった。

おそらく俺がΩだったから。αじゃなかったから。

親の期待に応えられなかったから。

自殺したんだ。

俺が、俺が、俺が全部悪い。

親の期待に応えられなかった、俺が悪いんだ。

ごめんなさい、ごめんんさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!!

それから、姉からの扱いはひどくなった。

姉は、俺をまるで家政婦家のように扱った。

掃除、洗濯、食事、片付け、風呂の準備―――、全てやらされた。

こんな―――、こんな人生なのか。俺の一生は。

嫌だな。

辛い。

こんなところで。終わっちまうのか?俺の人生…。

―――そうだ、Ωだってバレなければ、皆を困らすことはない。

αじゃなくても、βなら。Ωじゃなければ良いんだ。

そうして、俺は無理やり姉から離れ、たくさんバイトして、学費をためて。

高校に入学した。

でも、直ぐにバレた。そのたびに転校。

何回もした。そのたびに「初兎くんにはがっかりした。βだと思っていたのに。ひどい。」と、理不尽な言葉を散々に投げつけられた。

だから―――、今、こうやってなにも考えずにいられる時間が愛おしい。

こんなにも俺のことを思ってくれている仲間がいて。

なにも知らずにのんきに過ごして。

ご飯を食べて。

俺、今普通の暮らしをしている!

そう思うだけで涙が出そうだった。

どうせまたすぐに転校することになるのだろうけど。

それでもここで楽しいと思えた、今、この時間に感謝だ。

💜「ありがとな、いむくん、りうちゃんたち。」

❤💎「…どうしたの?wwいきなり…。」

💜「いや、なんでもないわ。じゃ、さいなら。」

❤💎「うん!またね!」

💜「――!」

…またね、か…。そうやな、俺がΩだってバレるまで。

それまでは、”またな”。

溺愛されすぎる兎ちゃん🐇

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