テラーノベル
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荷物をレンタカーのトランクに積み込み、彼がまた運転してくれると言うので、僕は大人しく助手席に乗り込んだ。
「ごめんね、運転任せきりで」
「んー?そんなん全然!それくらいせな悪いわ!」
そう言いながら、彼は車のナビを設定していた。
いや、僕はここまで何一つしていないのだけど、一体何が悪いのだろう。
「車で一時間半くらいやな〜。お昼食べ損ねたし、途中でラーメンでも食べていこうや!札幌ラーメン!」
「札幌ラーメン!!食べたい!」
「せやろー♪ 行きたいところあるんよ!!……あ!ここ!」
にっこにこの笑顔でスマホの画面を見せてきた。
「うわぁ〜、美味しそう!」
グウ〜、と情けない音が車内に響いた。
「……あ」
はずかしい。
お腹が鳴った。
「フハハッ!じゅう、めっちゃお腹空いてるやん!!」
仕方ないだろ。
もう13時を過ぎているのだから。
真っ赤になっている僕の顔を見ながら、彼は声をあげて笑う。
「任しとき!!すぐ食べさしたる!」
なんて嬉しそうに言いながら、車を発進させる。
「じゅうの体はえらい素直やな!」
「うるさい!お腹空いたんだからしょうがないでしょ!」
「かわええなって事やで!」
「は?いつもそうやってかわいいかわいい言ってなんなの?嬉しくないし!」
「えー、でもかわいいもんはかわいいやん?」
「だから僕は、男!」
「いや、そこら辺の女の子より余裕でかわいいで?」
「はぁー??女の子たちに謝れ!!」
「なんでなん?」
「こんなのと比べられたら失礼でしょ!」
「だって、本当にそう思うんやもん……」
「それを言うなら、しゅんの笑った顔の方がよっぽどかわいい!」
「え、なにそれ嬉しい!!」
「……え、うん、……ならいいけど」
ずっと言い合っていたのに、ストレートに喜ぶ彼にふっと肩の力が抜けてしまう。
それと同時に、なんだかおかしくなってきた。
彼の顔を見た途端、二人して堪えきれずに吹き出してしまった。
「もう、じゅうといたらほんま楽しいわ!」
そんな風にまっすぐに気持ちを伝えてくれる彼が、やたらと眩しく思える。
「あ! あれやん!!ラーメン!じゅうの腹ペコお腹さん、お待たせしましたぁ!!」
道路沿いにラーメン屋の看板が見えた。
僕はもう、わくわくが隠しきれない。
「ふふっ、キラキラな目やなぁ!ほら着いたで!行こ行こ!!」
「うんっ!!!!!」
お店の外まで、すでにスープの良い匂いが漂っている。
もはやスキップしたい気分だ。
「じゅう、はやく〜」
車の外でこちらを振り返り、大きく手招きする彼を小走りで追いかけて、僕たちは暖簾をくぐった。
「いらっしゃいませー!」
店員さんの元気な声が店内に響く。
「二名様ですかー?」
「二人です!」
「こちらの空いてる席にどうぞー」
店員さんの誘導で、僕たちは空いているカウンター席に並んで座った。
「お決まりになりましたらこちらのベルでお呼びくださーい」
「はーい!」
しゅんがメニューを手に取り、二人でのぞき込む。
「え、全部美味しそう!!」
「ほんまやね。じゅう、どれで迷ってるん?」
「えっとね、これと、これ」
「なら、この二つ頼んで半分ずつしようや!俺もこれ食べたかったし!」
「え?いいの?」
「もちろん」
しゅんは悪戯っぽく笑って呼び出しベルを押し、手際よく注文を済ませてくれた。
マジで優しいじゃん、と思う。
「彼氏かよ」
冗談のつもりで、ふっと笑いながら言った。
「そうなれたらなって思ってる」
「……はぇ?……あぁ、はいはいそうだね~」
あまりに自然に返されて、心臓が跳ねた。
あぁびっくりした。
本当に人たらしめ。
冗談は顔だけにしろよ。
僕はそっぽを向いて、適当に聞き流すふりをした。
また顔が赤くなっているかもしれない。
もう嫌だ。
「お待たせしましたー」
運ばれてきた器から、湯気と一緒に香ばしい香りが立ち上る。
「ありがとうございまーす!いただきます!じゅう、どっち先に食べたい?」
なーんにも気にしていない様子の彼に若干の腹が立ったけれど、目の前の美味しそうなラーメンを前にしたら、そんなことはどうでもよくなった。
どっちも甲乙つけがたい。
迷ったけれど、手前に置かれた方を指差した。
それぞれラーメンを自分の前に引き寄せて、手を合わせる。
「「いただきまーす!!」」
ずずっと麺をすする。
「「うんまぁーーーーーー!!!」」
見ごとにハモってしまった。
再び目を合わせて、思わず吹き出してしまう。
本当に美味しい。
太めのちぢれ麺に、濃厚な味噌のスープがしっかりと絡んで箸が止まらない。
半分ほど食べたあたりで隣を見ると、相当気に入ったのか、いつものように頬袋いっぱいにご飯を詰め込んだリスみたいになって食べている。
「しゅん、またリスになってるよ」
「そ……い……わ……もーー」
「ふはは、もう!何言ってるか全然分かんないから!」
「ん!!!!」
彼も半分食べ終えたらしく、器をチェンジしようとジェスチャーで伝えてくる。
飲み込んでから言えばいいのに、なんて思いながら、お互いの残り半分のラーメンを交換した。
うん、こっちも美味い。
味噌スープにバターのコクとコーンの甘みが、驚くほどよく合う。
美味しすぎて、ここからはお互いに無言でひたすら箸を進め、あっという間に完食してしまった。
「はぁーーーー、うまかったわぁ」
「一旦、北海道最高だわ」
「まだ始まったばかりやで?」
しゅんが楽しそうに目を細める。
「分かってるけど!」
「よーし!お腹いっぱいになったことやし、旅館行こ!」
「ごちそうさまでしたー」
「ありがとうございましたー!」
お会計を済めて店を出て、僕たちは再び車に乗り込んだ。
to be continued……..
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#ちゃのざき
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