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#御曹司
鷹槻れん

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#極道
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俯いたまま小さく鼻をすすったら、
「立てますか?」
いつの間にか私のすぐ背後に立っていらした修太郎さんに、耳元でそう問いかけられた。
不意をつかれて、彼の声にゾクリと身体を震わせてギュッと目をつぶったら、その隙に頭からふわりと修太郎さんの香りに包まれた。
「え?」
気がつくと、修太郎さんがお脱ぎになられたジャケットが、私を頭からすっぽりと覆っていた。
「失礼……」
その予想外の展開に、わわわっ、と照れまくっている間に、今度は身体が宙に浮かんで、抱き上げられたことを知る。
「そんな可愛い泣き顔、誰にも見せるわけにはいきませんから」
私をお姫様抱っこして、私だけに聞こえる小声でそうおっしゃると、修太郎さんはそのままスタスタと歩き出される。
「ギュッと捕まっていてくださいね」
言って、襖に手を掛けるために私からほんの一瞬片手が離されて……私は落ちないように必死で彼にしがみついた。
引き戸を抜けて私を外に連れ出しながら、修太郎さんが室内に向かって再度声をおかけになられた。
「――では、失礼します」
私も、修太郎さんの服と、彼の肩に阻まれて見えているかどうかはわからないけれど、その声に合わせて小さく会釈をする。
「あ、あの……修太郎さん、どちらへ?」
色々ありすぎて、涙はいつの間にか止まってしまっていた。
「私、もう泣いてませんので、その……皆さんのところへ戻っても……」
大丈夫です、と言おうとしたら「嫌です」と言われて、意味をはかりかねた私はキョトンとしてしまう。
「せっかく晴れて親公認の仲になれたというのに……貴女を手放すなんて絶対に嫌です。お願いだから、もう少しこのままで。――ね?」
まるで駄々っ子のようにそうおっしゃる修太郎さんが愛しくて、私は思わずクスリと笑ってしまった。
修太郎さんは私を抱っこしたまま、部屋を出てすぐの縁側に腰かけると、抱いたままの私を膝の上にお載せになられた。
背中を彼の胸に合わせるように修太郎さんの前へ座った私の頭から、被せられていたジャケットが取り払われて、外気が頬を優しく撫でる。
「出会った頃を……思い出しますね」
背後から私の腰に腕を回していらっしゃる修太郎さんを仰ぎ見るように振り返ってそう申し上げたら、修太郎さんが照れたように微笑み返していらした。
「本当に。でも……あの頃より随分大きくなられた」
言って、私の唇を親指の腹で優しく撫でる。
「あの頃にも思いましたが、本当に愛らしい唇です」
食べてしまいたくなる、と溜め息混じりに呟かれてから、「幼い貴女に感じた激情を、まさか大人になった日織さん相手に再び我慢しなくてはいけなくなるなんて」と溜め息混じりに仰られた。
「え?」
問いかけると、「さすがに今ここで口付けたらまずいでしょう?」と淡く微笑んでいらした。
確かに、仮にも襖をひとつ挟んだ向こうには皆さんがいらっしゃる。
「今、日織さんにキスしてしまったら、僕は歯止めがきかなくなる自信があります」
そう吐息をおつきになる修太郎さんに、私は思わず笑ってしまう。
「もう、それ、どんな自信ですかっ」
二人して顔を見合わせて笑ってから、なんて幸せなんだろう、と思った。
コメント
2件
修太郎さん、時折ひおりちゃんのこと好きすぎて、子供っぽくて可愛いんだけど(笑)
「貴女を手放すなんて絶対に嫌です」の駄々っ子な修太郎さん、ずるい。耳元で問いかけて不意打ちしてくるのも反則です。泣き顔を誰にも見せないっていう独占、たまりません。襖一枚向こうに皆さんがいる緊張と、縁側で膝に載せての甘い時間の対比が効いてて、キスしない自制の理由が逆に滾りました。「あの頃より大きくなられた」で積み重ねた時間まで沁みる。続きも追います🔥